Date:12/12/30

ローカリゼーションマップの2012年も終わろうとしています。

今年はワークショップをスタートさせました(WSの様子はこちら)。9月にはバンコクでタイのビジネスパーソンやデザイナーに「異文化市場進出のポイント」を学んでもらいました。

さらに、11月になって新たなコトをスタート。えるまっぷガールズ」との協力です。社会的問題を若い女の子たちが解決していくことをテーマに事業を行っている Over the Rainbow のメンバーたちが、色々なネタを自分の関心領域に引き寄せーあるいは自分の関心領域から挑戦ネタをみつけー、lmapを考え方として自分たちのモノにしていきます

代表の佐野里佳子さんはダイアモンドオンラインでのインタビューで、ジャカルタで過ごした少女時代に人権への意識が芽生えたと語ります。しかし、高校と大学を通じいわゆる「社会貢献型」を錦にした活動の限界にぶち当たります。そして人々の意識を変えていくにあたっては、ふつうの女の子たちとファッションという共通言語を用いてビジネスのメインストリームを語り合っていく必要を感じたというのです。←このあたり、ぼくの20代の時の想いと繋がります。彼女の方がずっと「生きていて」エライですが・・・余談ながら。

これがソーシャルファッション Over the Rainbow のはじまりです。

Over the Rainbowのもとには1500人以上の女性たちが集まっています。そのうちの有志が「えるまっぷガールズ」になったというわけです。綿栽培、栗かのこ、コスメ、恋愛観・・・などテーマはさまざま。青森の十和田にある裂織を世界の女の子の間に広めて伝統技術の継承を図ろう、という活動もあります。2月後半、ミラノの工房でワークショップを行う準備を進めているところです(日々の活動ブログ→こちら)。

この新しいコラボを「えっ!」と意外に思う方もいるかもしれませんが、グローバル企業のエグゼクティブたちにビジネス指針を提供する一方、若い世代と新しい世界を作っていく。その両方をカバーすることが必要、とlmapは活動当初から考えてきました。また、そうした構図が一覧で見られるPDFリーフレットがダウンロードできますので、ご覧ください。→ http://bit.ly/WwFF0O

 

さて、研究会の勉強会開催のお知らせです。17回目になります。今回から「えるまっぷガールズ」たちも多数参加します。

参加希望者は、anzai.hiroyuki(アットマーク)gmail.com かt2taro(アットーマーク)tn-design.com までお知らせください。議論に積極的に参加していただける方、lmap の今後の活動に貢献していただける方、大歓迎です。内容に一部変更になる可能性がありますが、その際は、ご了承ください。場所はいつもと同じく、六本木アクシスビル内のJIDA事務局(http://www.jida.or.jp/outline/)です。

2月16日(土)16:00-18:00 「デザインのコンセプトって何?」

最近、サンケイBIZに「アップル VS サムスン 微妙なデザインの差 ・・なぜ注目を集めるのか」というコラムを書きました。以下、引用します。

A国では「消費者が一目でコピー品とオリジナル品の区別がつくか?」が、デザインの類似をみる際に優先的な項目になる。いわば素人目線の重視だ。B国では素人の意見もヒアリングするが、意匠の専門家による形状の定義が尊重される。

スマートフォンもタブレットもグローバルコミュニケーションの象徴である。各国の伝統や文化とはあまり関係のない「世界を股にかける」モノだ。ソフトウェアにおいては地域適合が求められても、ハードのデザインにそのような配慮はあまりない。

「我々はグローバルに動き回る先端的なユーザーを相手にしている」とメーカーは語り、ユーザーもボーダレスを謳歌することを夢見る。

しかし「競合製品と類似であるかどうか」が法の世界に入ったとき、デザイン観の地域差がビジネスの生命線を決定する要素になっているのだ。

ここで目にみえるデザインだけでなく、デザインに対する考え方そのものの違いがビジネスを左右することを指摘しました。

今回の勉強会はデザイナーの田子學さんを講師に迎えます。東芝勤務時代に提携先のスウェーデンの家電メーカー・エレクトロラックス社の開発者たちと一緒に働き、日本と比べて「概念とモノのデザイン」の距離の近さを実感したそうです。話はここから出発です。amadana の大ヒットしたリモコンや携帯電話、鳴海製陶のOSOROシリーズなど田子さんがかかわった実例を説明していただきながら、「デザイン観やコンセプトの文化差とは?」の周囲を巡りながら、「デザインのコンセプトっていったい何?」との最終ゴールに迫ります。

尚、以下のOpeners の柳本浩市さんのインタビュー記事を事前に読んでおいてください。

「田子 學氏とデザイン・マネジメントについて語る」

http://openers.jp/interior_exterior/yanagimoto_kouichi/news_tago_121018.html?rp=kan

http://openers.jp/interior_exterior/yanagimoto_kouichi/31.html

参加定員数:20名
参加費:1500円(18:00以降の懇親会参加費を含む)

講師
田子學(たご まなぶ)さんの略歴

MTDO代表取締役 アートディレクター/デザイナー 東京造形大学II類デザインマネジメント卒。
株 式会社東芝のデザインセンターにて多くの家電、情報機器デザイン開発にたずさわる。同社退社後、株式会社リアル・フリートのデザインマネジメント責任者と して従事。その後新たな領域の開拓を試みるべく、2008年株式会社エムテドを立ち上げ、現在にいたる。現在は幅広い産業分野において、コンセプトメイキ ングからプロダクトアウトまでをトータルでデザイン、ディレクション、マネジメントをしている。

GOOD DESIGN AWARD、iF design award、red dot design award、JDCAデザインマネジメント賞、ILS AWARDデザインビジネス賞、他受賞作品多数。 2010年~日本デザイン振興会(JDP)「グッドデザイン賞」審査委員

 

尚、フェイスブックのページ(下記)でもローカリゼーションマップの最新情報を提供していきますので、このページを「いいね!」に入れておいてください現在、2104人の方にフォローいただいています。

http://www.facebook.com/localizationmap

Date:12/12/28

今年4月からサンケイBIZに毎週日曜日に連載コラムをアップしてきましたが、先日の日曜日までの39回分のコラムを振り返ってみます。FBの「いいね」とは関係なくアクセスが多かったコラムを順不同で5つ選ぶと以下です。一つ一つに簡単はコメントを書いておきましょう。

サイゼリヤがイタリアの店より上? そんなバカな…食べて納得、コスパに感服
http://www.sankeibiz.jp/business/news/121007/bsg1210070731000-n1.htm

この記事が一番のヒットでした。月間ランキングの上位にずいぶんと長く滞在していました。サイゼリヤという敷居の低いネタとイタリア料理の本場を比較するというのは、みなさんの好奇心をいたく刺激したようです。それと、ぼく自身がそうとうにサイゼリヤをけなしていたのに寝返ったという実経験が文章ににじみ出ていたのだろうとも思います。サイゼリヤに限らず、ダイソー、ユニクロなど低価格の店を取り上げると読者が増えそうです。

2ちゃんねるなどでもスレッドができて、好き勝手なことを書かれましたが、それらの多くは記事まともに読んでいただいていないことがよく分かります。「ちゃんと読んでくれよ」と当然ぼくは思うのですが、もう片方のぼくは「どんなに適当に読んでも肝心な点が伝わる技を磨かないと」と思いました。読者はちゃんと読んでくれない!ことを基本におかないといけないのです。

因みに村上龍などがサイゼリヤを褒めていたのは後になって知りました。冒頭で紹介したTweetした作家とは辻仁成です。

 

厳しいルールは「無理無理!」 日本が世界でトップに立てない理由
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120812/mca1208120916001-n1.htm

藤井敏彦さんの話を基調に書いたので、ぼく自身の主張が入っていないのではなく、ぼく自身の主張そのものを藤井さんの世界で表現してくれている・・・と読んでください。上位概念を使いきれないのは、日本企業の大きな欠点です。

ルールの話と少々ずれますが、色々な交渉場面でも「欠点の露呈」に遭遇します。例えば、日本企業と外国企業の2社間でどっちもどっちのもめ事がおこる。日本企業は「関係の清算のために、これだけの見返りが欲しい」と言いがちです。しかし、外国企業は「精算する相手に何かやるなんてアホか」と思うものです。現実的にいくのではあれば、実際に将来の関係を維持するかどうかは別としながら、交渉上では「あなたとは今後もよい仕事をやっていきたい」とフリを堅持することです。そして好条件を得た時に関係を破棄すればいいのです。

この関係を定義するものが、上位概念であったりするのです。「自由」「平和」とか「人権」とか・・・。一般に「現実的」と考えられていることが如何に「非現実的」であるかに気が付くと、視野が思いっきり開けます

 

“旅人”中田英寿氏はなぜ「文化人扱い」されるのか
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/121021/ecd1210210701000-n1.htm

TV番組のギャラには「文化人枠」というのがあるようですが、中田氏は文化人枠をすごく上手く使っていると思いました。そして、これを上手く使えるのは日本の文化・ビジネス状況ゆえである・・・というのがぼくの見立てです。

日経新聞の最終ページは文化欄ですが、「あれだけ」なんです。あまりに文化がビジネスと乖離しているから、本を他のビジネス人より沢山読んでいるだけで「文化人」扱いされるという情けないことになってしまっています。だから、中田が英語とイタリア語を喋りながら各界のビジネス重鎮と大局的なことを話す風景がTVシーンとして貴重になるんでしょう。

はっきり言っておきます。文化をビジネス視野に含められない人は、状況に霧がかかっていて自分の見方に自信がもてなくなる率がこれから高まります。それもどんどんと霧は深くなる一方です。「文化とか面倒なものいいよ」と独り語ちしている方、この年末に考え方をガラリと変えることを強くお勧めします。東洋経済や日経ビジネスオンラインが盛んに「教養」に目を向けているのは、その動向に気づいたからでしょう。

 

ファーストクラスにしがみつく国内航空 富裕層を把握しているのか
http://www.sankeibiz.jp/business/news/120923/bsd1209230730001-n1.htm

この記事は航空会社のニュースの関連記事として何度も紹介されたこともあり、コンスタントに読まれてきました。「富裕層」という金額ベースで人を見ようとすると、「富裕層」の心のあり様が見えなくなる。そういうパラドックスに陥っているのが国内航空なんだろうし、高級車を出しているトヨタしかりなんだろうと思います。

また自分たちのポジションをよく把握せずにフラフラしているのもよくありません。中東の航空会社のスタイルで戦うのか?欧州や米国のそれらと競うのか? そういう「わけのわからなさ」がここに書いた記事の背景にあります。そういえば、一部、読者のコメントに「ヴァージンを見よ」「今、一番いいのは日本の航空会社なんだ」という意見を拝見しましたが、この記事を書く際、英国のヴァージン航空も窮状に陥っているとのレポートや日本の航空会社の来期の状況は悪化するだろうとの見込みも読んだうえで書きました。

 

会議で眠る非常識な日本人 頼むから「寝落ち」しないで聞いてくれ!
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/121028/ecd1210280631000-n1.htm

この記事はアップした日のアクセス数で過去最高でした。「いいね」のつくスピードも異常に早かったです。あまりに多くの人にとって「寝落ち」は切実過ぎたようです。サイゼリヤ以上に。柳の下の2匹目のドジョウを狙おうと思っても、なかなかアイデアが浮かんでいません 苦笑。

「寝落ち」させるミーティングが悪いとかいろいろと意見がありましたが、ミーティングの当事者意識に欠けていることはどんな理由をつけても正当化できないでしょう。「ミーティングの仕組みが悪い」というのなら、それを改善するためのアクションを怠っている段階で、やはり「現状に寝ている」ことに変わりありません。目を覚まして言葉のやりとりをするしか次の一歩はないのです。

 

以上まとめてきてお分かりのように、アクセスの多い記事は日本を比較対象として話題にしたものです。日本をネタにしないとアクセスが落ちます。英国がどうした、イタリアがどうした、アジアがどうだだけ・・・というと、何か大きな事件で話題になっていれば別ですが、通常、みなさんの関心が落ちるようです。それを関心のある向きに引っ張れないぼくの力量不足を想います。ただ、以下のような記事はアクセスが増えます。英語は常に興味の範囲内のようです。

英語しか使えないイギリスの若者 なぜコンプレックスを抱くのか
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120729/mcb1207290901000-n1.htm

さて、次は何を書こうかな。

 

Date:12/12/4

どうも12月に入ると春の到来を感じ始めるという気の早い性格をもっているようです、ぼくは。10月末に夏時間が終わると、「ああ、これから暗い日々だ」ときて11月を過ごすわけですが、一か月もたつと、1月のたまにある春を感じさせる日を想像し「冬来たりなば春遠からじ」の現実感を思うのです。きわめて単純で楽観的な人間なんですね、幸か不幸か。ちょっと、そんなところで、だらだらと最近思っていることをメモしておきます。

ファッション関係の人と話していて、イタリアのハイファッションの世界にどうZARAやH&Mが入ってきたかということを教えてもらいました。いわゆるファッションリーダー的な人達が、この6-7年の間にずいぶんと変わってきた、といいます。「そんなZARAのTシャツ着てるの?」と馬鹿にしていた人が、ブラウスに手を出し始め、そのうちにバッグも買い始めます。そして最後に「靴も悪くない」と言う。かといって全てをファーストファッションで身体を覆うのではなく、シーズン限りのトレンディアイテムを上手く取り入れるわけですね。カシミアものみたいなものは長持ちするから、それなりの値段を出して買うとか。もちろんブランド品も買いますが、必ずバーゲンを待ちます。

ネクタイをしてスーツを着ている人は金融関係者か弁護士か?(←やや大げさですが)というくらいにファッションのカジュアル化が進行していますが、そのカジュアル化、あるいはドレスダウン化とファーストファッションの浸透が無縁ではないでしょう。それは時代が「怠惰への道」を選んでいるという見方もあり、確かに否定しがたいとも思うのですが、硬直化した社会の多くのコンガラガッタ糸を解いていくには「ドレスダウン」というフェーズの通過がどうしても必要なのではないでしょうか。

この日曜日にアップしたサンケイBIZのコラムで日産自動車とメルセデスベンツの動画の使い方について書きました。日本のメーカーはメルセデスのような統一した顔をもつのではなく、「あるがまま」の混沌を自らの企業文化アイデンティティと考えています。「語りベタ」の日本企業は混沌を混沌として伝えるに、動画の量で発信していくしかないのではないか? それを実践しているのが日産ではないのか?と見立ててみました。言ってみればわざわざ市場に分かりにくいブランド発信をしているのだから、それを補う努力が別のところで要望されてしかるべき、ということです。

但し、ここで言っておきたいことは(コラムには書きませんでしたが)、ぼくはメルセデス的な表現様式の無理も感じています。ハイカルチャーという存在がエリート社会の崩壊とともに希薄化したように、ヨーロッパの伝統様式の希薄化がポジティブな意味で必要とされているように思います。それが逆説的に伝統様式のエッセンスを維持する。日本で公開されているメルセデスのアニメ的動画は、クラシックなメルセデスファンは眉をひそめるかもしれませんが、今のメルセデス購買層の感覚と思ったより乖離していないのではないかという感をもちます。それはヨーロッパにおいても、そうではないか、と。前述したように、ファーストファッションが社会的・経済的なアッパー層に普及している現状において、「洗練されたアバンギャルド」こそが先端的である、というわけです。

LVの村上隆や草間彌生のコラボは、今述べたような文脈の上流に入ってくるのだと思います。バリバリに活躍しているヨーロッパ企業のCEOのデスクの後ろにルパン三世のドローイングがかけられているのが「現代の風景」です。シャガールでもカンディンスキーもないのです。正確にいえば、アバンギャルドは洗練されればアバンギャルドでなくなりますが、いわば「ドレスダウン」と近似のところにあるかもしれません。

次回のサンケイBIZのコラムに書いたのですが、デザイン観は世界でそれぞれ違います。色やカタチへの感覚だけでなく、デザインへの考え方そのものが違います。このあたりの理解が、ここで長々と書いたようなことをサポートするのではないか、と考えています。

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