Date:13/6/11

このところブログの使い方を間違えているなあと反省しています。本来は最初にネタを掴んだときにTwitterやブログに書き、それを発展させてサンケイBizの「安西洋之のローカリゼーションマップ」に書くのが良いと思っているのですが、いつも逆です。どうしてもサンケイBizが最初になりやすい。これでは、ブログがぼくの第一次情報発信基地としての機能が果たせていない。とは言うものの、そういうルールで徹底しようという意識がそんなに強いわけでもないので、まあ、許してください。

この金曜日から月末まで日本に滞在します。勉強会は満席以上の参加申し込みを頂いています。初めてお会いする人や常連復帰組もいて、また新しい輪が広がりそうです。この勉強会に限らず、今回、初めてお会いする人の数を意識的に増やしてみました。ソーシャルメディアで知り合った方もいます。また今まで何冊か読んでいる本の著者にもお会いしてみようと思います。ある年齢になると、紹介もなしに面談を申し込むのがやりにくいー人から紹介されるのを待つのが大人だ、とーとかつて言われましたが、そういうことを気にしていたらいつまでたっても会いたい人に会えません。

ぼくは学生時代から30代にかけ、会いたいと思った人に片っ端からお会いしてきましたーそれでイタリアに来ました。肝心な人に会わずに周辺事情を調査して「知った気になる」ことを避けていました。大企業のトップの方たちや社会をリードする人たちと話すことは若いぼくにとって刺激的でした。同世代と会うことが少なくなった時期です。しかし40歳周辺くらいで変化が生じます。二つあります。一つは自分のビジネスに繋がらない財界人と会うことが減り、20代の人たちとのつきあいが増えました。30代は「現実を知っている競争」に励んでいるので、相変わらず30代とは距離がありました。

しかし、この20代も落し穴があります。当然ながらほっておくとすぐに30代になってしまうので、常に新しい人と会うことに力を入れないと会えないのです。大学の先生をしているわけでもない、大企業で毎年新入社員が入ってくるわけではない、そういう条件で20代とのつきあいをキープするには「意図的」である必要があります。結果、日本でもイタリアでも、今、20代のつきあいがかなりある方だと思います。そして今や30代の「現実競争」も気にならない年齢になったこともあり、30代の方ともお会いすることが多いです。こうしたなかで、気になるのことがあります。「40代って結構、年寄り!」と思うことがわりと多いのです。50代のぼくに言われたくない、という反論や反発があるのを覚悟してあえて言うと、30代の現実競争で「現実に負けた」人たちは、極めて保守的になります。

さて今日、ボストンに住んでいる渡辺由佳里さんが、最近の政治家や大使のお騒がせ発言をとらえて、以下のようなTweetをしていました。

1)最近の政治家や大使の失言についてですが、同じような仲間としかつき合わない人たちによくあるパターンです。アメリカでも特権階級のカントリークラブ と職場だけの人間関係しかない人は、トンデモ発言します。毎日会ってる人が同じこと言うから自分が間違っているとは絶対考えない。

2)仲間内でばかり飲みに行く暇があるなら、ボランティアで自分とはすごく異なる人たちと関わるとか、商店街に行って店の人と喋るとか、なるべく自分の小さな社会から離れる機会を作ったほうがいいです。すごく学びになります。

3)これはわが家の夫にも進言してることです。その辺のおじさんやおばさんになって、耳を傾けると、いろんな人がいろんなことを語ってくれる。

基本的に年代は関係なく、狭い世界に閉じこもっていると、とてつもない失言をするわけです。特に30代の「現実競争」を経て「小さな現実」に住処を定めた40代は要注意です。「50代以上よりは若い」と思い込んでいると穴に嵌るわけです。因みに、この渡辺さんとはミラノで先月お会いしましたが、常にオープンであることに努めている様子が窺えました。旦那さんはデジタルマーケティングのエキスパートであり、『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』を書いたディヴィッド・ミーアマン・スコットさんですが、ご夫妻、その点、よく似ていらっしゃいます。

そう、そう、一つ忘れていました。ぼくはこのブログを運営しているメトロクスのコンサルタントもしているのですが、十数年の取引があるイタリアのB-LINE社が来年のミラノサローネで発表する作品への提案を募集しています。手元にブリーフィングがあります。イタリアのデザイン界で自分の力を試してみたいと思うデザイナーの方、ぼく宛(anzai.hiroyuki(アットマーク)gmail.com )にご自分のバックグランドを記してメールをください。英文要旨をお送りします。提案の締め切は7月15日です。もちろん年齢制限なしです 笑。

 

 

Date:13/5/16

この2週間連続でサンケイBIZの連載に以下の記事を書きました。eYeka(アイカ)というコ・クリエーションコミュニティを運営するフランス企業について、日本で独占販売権をもつアサツーディ・ケイの原口政也さんにインタビューしました。「ボーダレス」「C世代」「クリエイティブ・コンシューマー」「多様性」「周縁」といったキーワードが飛び交う世界に、どれだけビジネスリアリティがあるのか?といった疑心暗鬼ともいえる疑問に回答のヒントを提供できればと考えました。

集まるアイデア 「共創」が生み出す影響力とは?

http://www.sankeibiz.jp/econome/news/130506/ecd1305060600000-n1.htm

大企業が一瞬でシェアを失う時代 「柵」を見直すとき

http://www.sankeibiz.jp/econome/news/130512/ecd1305120601000-n1.htm

お読みいただくと分かるように、グローバル企業と呼ばれる会社の役員クラスが社内からの新しいアイデアの枯渇に焦りを感じています。能力そのものもさることながら、人と違うコンテクストから獲得する経験の組み合わせ方が新しいアイデア(しかし、それは逆にあくまでも「グローバルコンテクスト」にとって、という意味にもなるが)を生むのではないか、と思せる経過も辿っています。

そこで、6月のlmap勉強会(18回目)は巷に言われる「グローバル人材」なる言葉を四方八方から突っついてみたいと思います 笑。尚、今回のテーマの参考に、「山下範久『ワインで考えるグローバリゼーション』を読む」を紹介しておきます。

参加希望者は、anzai.hiroyuki(アットマーク)gmail.com かt2taro(アットーマーク)tn-design.com までお知らせください。議論に積極的に参加していただける方、lmap の今後の活動に貢献していただける方、大歓迎です。内容に一部変更になる可能性がありますが、その際は、ご了承ください。場所はいつもと同じく、六本木アクシスビル内のJIDA事務局(http://www.jida.or.jp/outline/)です。

6月15日(土)16:00-18:00 「『グローバル人材』って本当にいるの?」

あなたは「グローバル人材」というとどんな人を思い浮かべますか?

何となく世界銀行総裁や国連事務総長をグローバル人材の典型とみて、その下にフォーチュン100社のトップがくるような印象をもっていませんか?じゃあ、アメリカ大統領は?一国の国益を代表する人はやはり「ローカル人材」ではないかと思うのですが、オバマの方が迫力ありますね。とすると、「グローバル人材」ってそんなにエラクない?笑。 

「グローバル人材」という言葉が闊歩しています。さまざまな人が勝手に「グローバル人材」を定義しています。語学力から人間力に至るまで、何でも理想的な要素を「グローバル人材」に押し込んでいる感じです。体育会系国際教養人系宴会幹事とでも?

先日、世界中で講演活動をしているアメリカ人に「どういう国の人が外向きだと思いますか?」と聞いたら、「小国ですね。バルト三国なんてオープンマインドですよ」との答えが返ってきました。ローカルのロジックを突き通せないケースが「グローバル人材」を生む動機になります。とすると、大きな国に「グローバル人材」は育ちにくいと言えないか、ということになります。米系グローバル企業のエリート幹部が「グローバル人材」だなんてのは嘘だ!

今回はデロイトトーマツコンサルティングというグローバルにグループファームを持つ企業に働く岩渕匡敦さんを講師にお迎えします。岩渕さんはボストンで毎年行われるリクルート面接で何百もの人と話し、コンサルティングプロジェクトでは世界中のDeloitteメンバーと連携しながら、日本、北米、アジア、欧州などのマーケットでプロジェクトを推進しています。その岩渕さんが、ご自身の経験から「グローバル人材っているのだろうか?」と問います。

参加定員数:20名
参加費:1500円(18:00以降の懇親会参加費を含む)

講師:岩渕匡敦(いわぶち まさのぶ)さんの略歴

デロイトトーマツコンサルティングのシニアマネージャー。

自動車、ハイテク、通信産業での経営コンサルティングに深い経験をもち、グローバル・ローカルのマーケティング、デジタルマーケティング、カスタマーエクスペリエンス、CRMを中心とした領域に特化。過去5年の全てのプロジェクトがグローバルベースであり、コラボレーションした海外のコンサルタントは数百人に及ぶ。INSEADシンガポール校International Executive Programme卒業。アメリカ、ブラジル、ジャマイカなどの音楽にも深い関心を持ちライフワークとして探求を続けている。

 

尚、フェイスブックのページ(下記)でもローカリゼーションマップの最新情報を提供していきますので、このページを「いいね!」に入れておいてください現在(5月16日)、2333人の方にフォローいただいています。

http://www.facebook.com/localizationmap

Date:13/4/14

「今年のサローネは日本企業の出展も少ないし何か盛り上がりに欠けるのではないか?」という感想を日本から来た何人もの方が話していました。リーマンショック直後の2009年から出展企業が施工コストを節約している傾向はあり、一方、「こんなところにスペースがあったの?」との意外感がフオーリサローネの楽しみであったところからすると、確かに残念な風景をまねていています。こういう感想はイタリア人でも、特に数年以上前のサローネを知らない若い世代はもっています。実際、ドイツ市場の落ち込みを聞くにつけ、イマイチ元気を出しづらい背景は想像がつきます。

また日本企業についていうなら目立つところでのスペースでのイベントは減りました。しかしレクサスが2005年に登場して4年間やっていた時期がインテリア業界以外の参加が多く、ややバブリーであったとも言えます。フオーリサローネが拡大する一方の勢いが一時休止したと判断したほうが良さそうです。その分、そこそこの予算をとってプロダクトをきちんと見せている見本市会場のほうがフオーリサローネより見る価値があるという本来の姿に戻ってきています。既にトルトーナ地区は若い人たちにとってただ酒を飲みに行く場になっています。

とにかくフオーリサローネでは、大きな空間を暗くして光で人を驚かすインスタレーションが実は何ものでもないのは、ヒュンダイのつまらない展示をみて、逆に認識したはずです。結局において見本市会場のブースと同じく、オランダのMOOOIの展示からインパクトのあり方はプロダクトとコンテクストの構想力によるところが大きいと更に確信したのではないかと思います。

レクサスが「環境とデザイン」をテーマにコンペを行い優秀作品を展示したのは、以前4回のデザインポリシーL-Finessの訴求よりはずっとまともな取り組みです。が、テーマそのものの切り口があまりに凡庸で、相変わらず建築家の的外れなインスタレーションであるのもいただけません。実はこういう「ぬるさ」がレクサスに限らないこの数年の日本企業の出展の特徴で、言ってみれば 1)事業部にはよく見えないデザインセクションの練習を名目にしていた 2)経営層がデザイナーの「アート志向」にストップかけられなかった(←「もともと」アーティストになりたかったデザイナーや建築家は多い) という傾向がありました。韓国企業においては、この罠にはまらないのがサムスンであり、勘違いしてミスを犯したのがヒュンダイであったと評することもできます。いずれにしてもフオーリサローネはゲリラ戦で戦う場所です。大企業なら何度でも小さく試行錯誤できるチャンスです。この良い例がかつてのTOTOだったのではないか、と思います。その意味で今回の東芝の展示サイズは適正でしょう。あるいはルノーも上手い見せ方をしていました。

3Dプリンターが今までのモノづくりのカタチを変えると喧伝されていますが、「デザインの著作権はどうなる?」と提起しているのがロッテルダムのデザイナーです。音楽や文章と同じことが、これからデザインの世界で起こってくるわけですが、デザイナーは自分でデザインした椅子と同じモノをつくった第三者に著作権侵害を訴えられるのか?このデザイナー自身はデザインの著作権は崩壊していくだろうと見ているようです。これから世論を二分にしながら議論が始まっていくのでしょうが、その議論がはじまらないと3Dプリンターが一般の世界で普及しないということでもあります。

デザインのフロンティアはどこにある?といったとき、サービスや食ではないかとの意見をよく聞きます。身近にある日常ネタがある、それぞれの地域にその地域にしかないものがある・・・・という文脈で考えた時、食がテーマになるのは必然です。実際、小さいながらも成功例が数多ある。食ではないと否定するほうが難しいくらいです。が、同時にシンプルな食の良さが失われて「なんで、これがこんな値段になるの?」という裏切られる経験も数知れずあります。デザインはダサいと言われたエリアに入り込むことでデザインの力を発揮しますが、場合によっては不当な(と思われる)値付けをすることにもなります。これが「デザインってね」とため息交じりにデザインが語られるネガティブな部分で、この価値再発見と不信感の間にある緊張が、デザインを面白い試みにします。上の画像はランブラーテで開催していた学生たちの作品です。因みにランブラーテ地区は、前述した3Dプリンターとデザイン著作権のあり方を問うような試みもみられましたが、今までにあったロックンロールな感じが消えて、やや面白みが欠けました。

以前からこのシリーズで何度も書いていますが、欧州の社会変化を追うには税金の使い方をみるべきだと思います。要するに国や自治体が企画するプログラムに長期的視点が窺えます。したがってパブリックな場で何が行われているかを知るのが大切で、その一例がFabbrica del Vapore です。内容は(5)で紹介しましたが、震災後に活動をはじめた石巻工房もここで展示を行ったので、追加して紹介しておきます。自分の手で生活様式を創っていく、という場のコンテクストに石巻工房は完全にマッチしています。この工房のコミュニケーションデザインをやっているSPREAD のLife Stripe も昨年に続いてギャラリーで展覧会を行ってました。

膨大な数の人々(あるいは動物)の1日24時間を21色のカラーで表現するとても面白いコンセプトです。その色の下には、その物語が書いてあります。この上の作品は震災の日のタクシーの運転手の24時間です。赤が労働している時間を表しています。ぼく自身もローカリゼーションマップのワークショップでカラーを使って人の記憶や認識差を確認することをやっているので興味深いです。ただし、これを仮にアート作品として展開していきたいのなら、今のようなプレゼンテーションは違うのではないか?と思いました。サローネというデザインの祭典にアートはまったく別の世界です。アートに相応しいタイミングでやるべきで、しかもギャラリー内にデザイナーとしての実績資料を置かないほうが良いでしょう。ぼくはこのような作品はチューリッヒやそこから北のギャラリーが似合うのではないかと素人ながら思ったのですが、やはり文脈の読み方とその戦略は重要だと思います。せっかく長い年数を経てやってきた仕事なので、ぜひとも「嵌る市場」に辿りつくまでに落し穴に墜ちないで欲しいなと強く思いました。今後、応援したいと思ったプロジェクトです。

 

 

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