トスカーナの露天風呂 の記事

Date:09/9/9

(1)で七味オイルの作り方を紹介しましたが、ここでは、こうしたプロジェクトを実現する風景の一こま一こまや時間の流れをお見せしましょう。アレクサンダーの生き方を変えた要因の一つである日本文化との出会いについて、七味オイルの開発ストーリーの一部を抜粋します

日本学を勉強しはじめ、彼の生き方に変化が生じます。合理的でスピードがすべてという効率主義に疑問を抱きはじめたのです。きっかけは漢字の学習です。ここで 効率以外の価値があることを見出したのです。アルファベットからすれば複雑な形状の漢字は、覚えるにも書くにも時間を要します。しかし、表現された漢字は 沢山の意味を同時に伝えることが可能です。大きな驚きがここにありました。より広い構図からものを考える拠点を見出したと言ってよいでしょう。また漢字に ある象形文字が、牛、馬、草、竹など農業に関係のあることに気づき、日常の生活からものを考える世界にも惹かれていきます。漢字を上手く書くために、左利 きから右利きに変えました。

午前中の仕事を終え、本宅の居間でビールを飲みながらくつろぐアレクサンダー。彼の朝は早く、5時ごろには起床。

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外では子供たちがツィスターゲームで遊ぶ。

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アイリッシュ・ウルフハンドと戯れるアレクサンダーの次女とわが息子。

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林の中で飼育される黒豚と白豚の混合種、チンタセネーゼ。最高級生ハムになる運命だが・・・。

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露天風呂で一日の疲れを癒すアレクサンダー。

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露天風呂で物思いに耽るとあっという間に時がたち、山の向こうに日が沈むのは早い。

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Date:09/9/9

昨年、「トスカーナの露天風呂」という記事を書きました。ドイツ人の友人(アレクサンダー・フォン・エルポンス)がトスカーナの山のなかに、和式露天風呂を作るに至った経緯を記したのですが、実はこの記事に表裏があります。どちらが裏か表かは問いませんが、もう一面は七味オイルの開発ストーリーです。日本の七味唐辛子の三大老舗(京都、浅草、長野)、長野善光寺前にある八幡屋礒五郎の七味唐辛子と、トスカーナにあるエキストラヴァージンオイルのデルポンテのコラボレーション商品の由来と対になっています。これは「ヨーロッパ文化部ノート」に書きましたが、今週、このデルポンテ製品のプロモーションビデオの撮影をしました。どういう背景で、このような商品ー和洋折衷の新しいかたちーが生まれるのかを知るのは、あらゆるプロジェクトのローカリゼーションのアイデアの参考になると思うので、ここでその風景を紹介します。

イタリアの有名ジャーナリストが所有していた邸宅を1987年母親が購入し、数年後、アレクサンダーがそれを遺産として受け継いだ本宅の門。周囲は林に囲まれている。

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門の反対側には離れがあり、ここに七味オイルを作る工房がある。

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七味オイルは工程として、日本から輸入した七味唐辛子を7グラム、ボトルに入れるところからはじまる。これはビデオ撮影のための実演。

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その次にエキストラ・ヴァージンオイルを注入。これが従来あるペペロンチーノオイルと違うところで、オイルの香りと七味唐辛子の香りを同じレベルで調和させるために、新鮮なオイルを使用。辛いペペロンチーノでオイルの香りを隠すのは「あるべき姿ではない」という判断が商品構想のコアにあった。

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オイルを入れた瞬間はまだオレンジ色にはならない。時間が経つとオレンジ色のオイルになる。この色がまた綺麗だ。

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ボトルにキャップをする。

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キャップに熱でカバーを被せる。

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この工房から外を眺めると、こんな風景。

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実は、この風景が、このようなプロジェクトを実現するにあたって思いのほか大切なことを忘れてしまいがちです。その風景を(2)でご紹介します。

Date:08/9/10

アレキサンダーとファビエンは日本で味わった温泉の全体イメージとディテールを思い出しながら、これから作る露天風呂の概略を検討しはじめます。日本から友人たちが送ってくれた旅行雑誌の写真をみながら、ディテールを再確認していきます。約20トンの大理石をいっぺんに大型トラックで運べるような道はありませんから、何度も何度も山の麓と自宅を往復し石を運び込みました。ぼくも施工中、状況を見に行きましたが、どの目の高さであれば水面と景色が上手く繋がるかを慎重に決めていきました。水面の先にバリアがあり、その向こうに景色があるのではいけません。

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 こうして自分たちが考える日本のイメージを具現化していったのです。出来上がった露天風呂に招いた欧州人も、なかには「水着をつけちゃあいけないなら入らない」という人もいます。ファビエンも娘たちに「ここは、日本の文化を重んじるところなのだから、水着は駄目」と言います。友人たちは、下の写真にあるような西洋そのもののテイストの客間から、浴衣を着て日本手ぬぐいを片手に下駄で敷石を歩き、斜面の中腹にある和式の風呂場に辿り着きます。

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 風呂場につくと、バスタオル、タオル、シャンプー、籠と温泉に必要な全てが棚に揃っています。このホスピタリティの細かさに夫妻の神経の遣い方がよく出ています。しかし、こういう完璧さがちっとも重みにならず、客人をリラックスさせる術を知っています。東洋趣味の西洋人にありがちな青筋が彼らには見られません。知性と教養は人にとって欠かすことのできないものであることを、この露天風呂に入りながら思うことしきりです。

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