ミラノサローネ2008 の記事

Date:08/7/29

このブログがアップされる頃には終わっている(はずの)、キムタク主演の政治ドラマ「CHANGE」について話します。ちょっと意外な題材かもしれませんが、この5回目のストーリーに印象的な場面がありました。アメリカの通商交渉代表がキムタク演じる朝倉総理の自宅に押しかけ、総理の自宅の和室で向き合う場面です。アメリカは日本に農産物輸入の拡大を迫り、日本政府はNOというのです。ここで総理は、前職の小学校の教師時代のエピソードを出します。

クラスでは、いじめや喧嘩が多いから、とにかくとこんと話し合おうと生徒たちに語りかけたと話はじめます。そして、とことんと話し合うのは、そこでお互いが分かいあえるという幻想のためではなく、相手と自分は違う人間なのだと分かるためだと説明するのです。人は同じだと思うから、人の違った振る舞いや意見にいらついたりして、いじめや喧嘩が起きるのだと言います。相手は違うのだから、説得するためにはどういう言い方をしなければいけないかをより丁寧に考えないといけないということです。

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人は皆同じだと考えるのではなく、人はそれぞれに違うというのは正鵠を得ています。人は結局同じなんだから平和になれると思うのは想像上の産物に過ぎません。違うという前提でお互いの共通項を見出して共生の道を探っていくべきなのでしょう。

さて、ぼくがこの話題を取り上げたのは、ミラノサローネに出展していた多くの日本企業が、ほんとうに、それこそ「とことんと欧州人と展示のコンセプトについて話し合ったのだろうか?」という疑問がずっと頭を離れなかったからです。それでドラマ「CHANGE」のこの場面をみたとき、とっても良いことを言っているなと感心しました。デザインプロジェクトに関わる人たちにも聞いて欲しい台詞だと、つくづく思ったのでした。

Date:08/7/24

2003年、MH WAYの蓮池槙郎氏への下記インタビューのなかで、以下に引用したことを、5年経た今になってもう一度考えています。

http://www.metropolitan.co.jp/designdictionary/interview/makio_hasuike/vol3.html

「遊びの世界、あるいは若い連中のやるものですね。不安定と仮住まいみたいな提案が多いわけです。何か、非常に簡単で、貧弱 で、すぐに駄目になっちゃうような物がいっぱいある。しかし私が見ることころでは、その不安で貧弱なところに将来性があるような気がするわけです。そうい う試みの世界、まだはっきり回答が出て来ないような不安定な世界に新鮮な感じを受けますね」

「ひとつはあまり頑張らない。仕事の上でも、プロジェクトの上でも、直感的なのを好むというか。今、我々も仕事をしていて、 はっきり言ってあまり理詰めなものは誰も好まないのです。そうすると考えに考えたものでも、逆になるべくそれを隠すような操作をしないとデザインにならな いってことですね。我々は考えた後でそれをやろうと思うのですが、学生達、若い人達は、考えないでそれをやろうとするわけです。その辺の違いはちょっとあ りますが、傾向としては何かそういう、非常に単純化したものが多いですね」

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欧州人はワードを使い文章を書いてコンセプトを整理する傾向にあると「2008 ミラノサローネ」で書きましたが、このような事情が少しずつ変わりつつあることは確かです。しかし、理詰めではなく直感で仕事をするようになったと聞いて、日本人が指し示す直感をイメージすると間違えます。これは以前書いた、日本人のどうしても出てしまう軽さと同じで、直感でカバーする範囲と量に欧州人と日本人では差異があります。いずれにせよ、何か完璧な論理ではなく、どこか曖昧な部分を残した構想に将来性があるとの蓮池氏の指摘には、とても同感します。尚、蓮池氏の事務所のHPもご紹介しておきましょう。以下です。今年でミラノで独立事務所を発足して40年になります。

http://www.makiohasuike.com/

Date:08/7/22

人はよく文句を言ったり喧嘩をします。どこか自分に納得がいかない部分に怒ります。しかし、相手の事情がはっきりと分かると、「そうか、あいつも大変だったんだ」と思って気持ちが静まることがままあります。人は部分だけで生きるのではなく、全体で生きるものです。これが心とコミュニケーションのありようの基本です。心は常にバランスがとれた状態を探し求め、どこかしらでアンバランスに陥ったとき、自然や人とコミュニケーションをとることで安定状態に持ち直すことができます。

「僕自身の歴史を話します(24)」で、メトロクス東京の片岡氏の以下の台詞を引用しました。ビトッシの陶器皿の品質レベルに言及しているときの言葉です。

「また、そういうイタリアのゆるやかな文化を話しながら 、目の前のお客様に買っていただく場合は安心なのですが、オンラインで顔を合わせないでお客様に売る場合、特に神経を使います。不具合品と勘違いされるお客様がいないとも限りませんから」

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イタリアの文化をオンラインでどのように説明していけば良いでしょうか。不具合品であると勘違いされないために、「これは不具合ではありません」と注釈をつければ解決できるものではありません。片岡氏が語るように、その製品が作られた文化そのものをお客様に理解いただくことが大事です。「いい加減だから」というのではなく、「遊びが生む味は、ある程度の許容範囲を設けておかないといけない」という考え方を説明しないといけないでしょう。これを色々な角度から話していくのは、どのような構成にするのが良いのか、考えなくてはいけないことはたくさんあります。

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