メトロクスのイタリアの旅 の記事

Date:10/1/15

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昨年11月に「メトロクスの旅」を書きましたが、そこでBOBYを生産しているB-LINEについて、以下のように紹介しました。

B-LINEのボールディンが盛んに語るのは、コミュニケーションの重要性です。なるべく幅の広い人たちに何かを語り続けること、「ボビーを買ってくれ」「スーパーレッジェーラを売りたい」という直接的な言葉ではなく、色々なアングルから自分たちの姿や考え方をメッセージとして流し続けることが大事なのだと熱く話します。彼らが使っているツールはFACEBOOKです。ジョエ・コロンボやボビーなどB-Line商品のファンたちが集まってきています。今、進んでいるプロジェクトは、下の写真のボネットのクワットロ・クアルティを使ってアーティストに自由に作品を作ってもらうことです。そして、その作品をネットオークションで売り、利益はすべてチャリティに回します

このFACEBOOKのファンページには今日、現在、世界中から2086人が集まってきています。ボネットのデザインをもとにしたアーティストの作品は以下で見られます。月をテーマとしたようです。

http://www.facebook.com/album.php?aid=130316&id=138725109607&ref=mf

Artist and designer Augusto Gentile has chosen the Moon as a theme for his new work focused on the coffee table 4/4.

なかなか面白い発想です。このようにアーティスティックに施された作品が、もとの製品価値をあげるというのは、最近ではFIATの500の試みが注目されています。ぼくも赤い4/4を使っていますが、グレーのタイルのフロアーによく似合い、とても存在感があります

今日、FACEBOOKのB-LINEのページに、昨年11月のわれわれの訪問の様子とメトロクスの正月明けの様子がアップされました。このB-LINEに初めてコンタクトしたのは、2000年12月27日です。年末も最後です。ジョエ・コロンボの著作権をもっているファヴァタ女史の事務所に電話番号とFAX番号を聞き、FAXしたのです。もちろん2000年にはネットは普及していましたが、そのときB-LINEはまだサイトをもっていませんでした。そして翌年1月、メトロクス社長の下坪さんと僕のふたりで、B-LINEを訪れBOBYを日本で独占的に扱いたいと提案しに出かけたのです

それから10年、このようにSNSをつかって両者がメッセージを発信しているわけです。メッセージを発信しないと、いくらよい製品でも良い考えでも、世の中に存在しないのと同じです。ここからも発信は続けていきます。

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Date:09/11/23

トスカーナからミラノに戻ると、トリエンナーレのデザイン博物館や書店を眺め歩き、現在のデザイン動向がどこに位置するのかを考えます。さまざまな角度から距離感をはからないことには、焦点はあってこないものです。Frank O.Gehry の展覧会をみながら、これだけのコストを建築デザインにかける意味があるのだろうかと思ったり、で、本人は満足なんだろうかと考えたり・・・・。さて、翌日はGEDYです。浴室やトイレの商品を作っている大手メーカー。去年、「GEDYの営業担当の話」を書いたことがありますが、その輸出営業担当とはチアンチア(下の写真)です。

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そういえば、昨年、彼が語ったことは、B-LINEのボードィンが話していたことと似ています。コミュニケーションをどう図るがが第一で、「モノを売ろうとしない」姿勢が大事だ、と。

GEDYの営業は、モノを売ろうとしないことが肝心だと言います。まず新しい国に着いたら、その国の人たちに質問攻めをするそうです。遠来の客に自分たち の社会や文化を教えることは、誰でも気持ちよいことです。そうしてその国の人たちが質問に答えながら、GEDYを生む国の文化に興味を持ち始める、そのポ イントが「商売のスタート」になるというわけです。

ここも2009年はマイナスの売り上げでしたが、この10年、倍倍ゲームに近い勢いできたので、さほどの痛手ではないといいます。それより、東欧やロシアなどはガクンときましたが、インドや米国市場の開拓に可能性がでてきたようです。インドは国として新しい市場がでていますが、米国は意外です。約90カ国にモノを出してきて何故?と聞くと、「米国のミドルレベルは米国製信仰が強く、中国生産であっても米国社製であれば、バイアメリカンが効くので、今まで進出しなかった。しかし、この恐慌で対抗馬が撤退した一方、ハイレベルのマーケットを狙えるパートナーが見つかったんだ」と説明してくれます。

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メトロクスが扱うヒット商品、蓮池槇郎さんデザインのトイレブラシ「クッチョロ」は、包装もプラスチックになる予定ですが、片岡さんがその商品を手に持っているのが上の写真です。このあと、アッセンブリーと梱包の工場を見学しましたが、以前見たときより自動化が進んでおり、レベルの高い管理であることが確認できました。GEDYの次はヴァレンチ・ルーチェ訪問です。我々はここから、細江勲夫さんデザインのヘビスタジオペトラルチのピスティリーノなどを輸入しています。

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輸出担当はカプラです。この会社以前も照明器具メーカーで輸出を担当していた、根っからの「照明器具輸出マン」。「照明器具はできるだけ使用例を見せることが大事。そうしないと、ユーザーは、どう使っていいか分からない。壁にかけるのか、床においておくのか、はたまた天井につけるのか・・・」と力説します。

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我々の道程は続きます。アンティークショップの倉庫にも入ります。メトロクスの扱う商品は基本的に新製品ですが、あるデザイナーの全体像をプレゼンするため、あるいはある時代の特徴を示すため、アンティーク商品も買い集めます。ここにいくと、下坪さんの態度と目つきがガラリと変わります。「メトロクスものだがり」で紹介しましたが、若き20代、一人でアティークの倉庫を訪ね歩く旅をしてきた彼は、こういう場所に入ると、獲物を狙うハンターのようなムードになるのです。普段は、こんな感じの笑顔なんですが、男の勝負どころで豹変する姿をみるというのはいいものです。

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その次の日、リナシェンテのデザインスーパーマーケットで売れ筋商品の選び方をみたり、モンテナポレーネにある刃物のセレクトショップ「ロレンツィ」を覗いたり・・・それにしても、このロレンツィの商品力と店員の出来には、いつもほとほと感心します。ここは、下坪さんが自ら語ったロレンツィの魅力で締めてみましょう

ぼくにとって最初のイタリアって、スーパーカーなんですよ。だから、その前のイタリアの巨匠は、ゾクゾクする相手なんです。で、全体的なことに話しを 戻すと、今もそれなりの種類の製品を扱っていますが、もっと豊富な品揃えにしていきたいし、そして、ミラノの刃物のロレンツィのように、小さいけど磨きが かかったものを増やしていきたいですね。

こういう方向があって、この数日の旅があった・・・ということが、お分かりいただけるでしょう。

最後におまけ・・・モンテナポレオーネにあるFIAT500の「鉢植え」は、アイデアとして抜群です。ここはクルマの締め出しなどを検討しているブランドショップ通りですが、そこに植栽された動かない沢山のクルマが駐車されている。多くの暗示がありますが、FIAT500のブランド構築には学ぶべき点が一杯あります。

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Date:09/11/22

トスカーナの丘にあるアルティミーの朝は気持ちがよいですが、11月も半ばとあって観光客の姿は少ないです。初夏や初秋に来ると、色々な言葉が飛び交っていますが、この朝はイタリア人の出張者らしき人達しかいませんでした。このホテルには古典的な絵画がそこかしこに飾ってあります。ただ、3年前くらいからか、朝食をとるレストランの近くだけに、女性を描いた(最近の作品と思われる)絵画がかかりはじめました。色気がある気になる絵です。

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11月は霧の季節です。晴れていれば、ホテルの前庭からフィレンツェの街もよ眺められますが、この日も霧です。ホテルから出発するときも、こんな感じでした。

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今朝の行き先はプラートにあるポルトロノーヴァです。ソットサス、アウレンティ、ポルトゲージ、アルキズーム、スーパースタジオ、ホライン・・・とデザイナー達と輝かしい歴史を作ってきたメーカーですが危機に陥り、その後、建築を学んだ女性社長が継承しています。メローニの特注のガウン風ジャケットは素敵で、しかも裏地と眼鏡のフレームもオレンジ色なのがお洒落です。

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ここでもビトッシと同じく、過去の膨大な歴史資料をどう生かしていくか、どうユーザーに語りかけていくか、これに腐心しています。栄光の歴史を知っている人には説明は不要ですが、それを知らない人達にどうコミュニケーションしていくかが課題です。時代が進めば進むほど、歴史の重さが増し、同時にそれをリアルに知らない人たちが増えていく、このジレンマです。名作には新しいヴァージョンを考えます。例えば、ロマッツィのジョーも一つです。白いソファです。

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ただ、そういう過去に作った作品だけでなく、過去に使った手法で新しい試みを継続的に行っているのがすごいところです。それも社会的メッセージ性の高い作品を発表しています。下のチェアには現在、争いが起こっている世界の地名が記されています。アフリカやアジアなど・・・その椅子を軍服が覆っています。

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あるいは、ホームレスの生活品一式をまとめたカート。家を失った人達も生活できるという深刻なテーマにやや微笑を誘う表現です。

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かつての作品がそうだったように、若い人達に材料とチャンスを積極的に提供し、商業的に可能性がある提案がでてくれば、個別にロイヤリティ契約をしていきます。この方法のネガティブな面として「若い人達のアイデアを食い物にしてパブリシティを図っている」ということが言われますが、この厳しい経済状況のなかで、常にアイデアをアウトプットするメカニズムを維持しようとする精神的余裕をぼくはプラスに評価します。この心の余裕こそが、次代へ繋ぐ源泉であり、その余裕を失ったところからは希望が生まれない。率直にいえば、整理という言葉とはほど遠いポルトロノーヴァの社内ですが、過去と現在の混在がなんとも心地よい自由な空気があります。

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なんでも取り仕切ってくれるフランチャスカの笑顔が、この自由さを物語ってくれています。

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