下坪裕司さんとのおしゃべり の記事

Date:08/12/19

下坪さんへのインタビューの最終回です。(ーで始まるのが下坪さんの台詞です)

これからの話をしましょうか。来年とかじゃなくて、もう少し遠い、そう5年くらい先かな。このあいだ、イタリアの巨匠にもう少し迫ってみたいと言ってましたね。

― ええ、イタリアでかなりの巨匠であっても、日本では正統に評価されていないことが多いですね。そういう人の作品をもっと仕掛けていきたいですが、巨匠を相手にするにはそれなりの準備期間が必要なんで、今はその時期っていうところ。

それはぼくも思うのだけど、日本におけるイタリアって歴史に連続性がないんですよね。ローマやルネサンスの後に、急に第二次大戦直後のカンツォーネや映画のブームに飛ぶ。その後、80年代のアルマーニだったりね。それがフランス、ドイツ、イギリスと違うところで、フランスだったら、フランス革命、印象派、アールヌーボー、アールデコ、映画のヌーヴェルバーグと言った風に、もう少し代表的なターミノロジーで連続させられるんですよね。

― ぼくにとって最初のイタリアって、スーパーカーなんですよ。だから、その前のイタリアの巨匠は、ゾクゾクする相手なんです。で、全体的なことに話しを戻すと、今もそれなりの種類の製品を扱っていますが、もっと豊富な品揃えにしていきたいし、そして、ミラノの刃物のロレンツィのように、小さいけど磨きがかかったものを増やしていきたいですね。

最後に。自分の顔を表に出していくことについては?

― いやあ(笑)、こういう性格なんで、必要に応じて表に出ますが、あまり露出はしない方向ということで・・・・(笑)。

そのキャラクターがグッドデザインを見つけ育てるにあたり生きているわけだから・・・じゃあ、ここは一回だけ、出演してください(笑)。90年代前半、下坪さんが20代の時に初めてパリで買ったジョエ・コロンボのスパイダーの前で、今も仕事をしているシーンで・・・。

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Date:08/12/18

下坪さんへのインタビューの続きです。(ーで始まるのが下坪さんの台詞です)

エヌ・クラフツで手作りの世界が多くなりましたけど、2003年からのビトッシもそうで、前々から手作りをやっていなかったわけじゃない。でも、このハンドクラフトに力を入れ始めたのは、どうしてですか?

― 確かに20代の頃もガラスものは好きで扱ってきましたが、30代の半ばを過ぎたあたりから、手仕事から学ぶことが多いなと思うことが増えたんですよ。指の先でモノが出来てくるわけですが、そこからできる微妙な美しさがたまらないんです。

― 若いときは機械でパカパカできるものの方がスマートでカッコいいと思っていたんですね。手作りで出来たものってモタッとした感じをもっていたんですよ。ぼくは基本的に、何でもモノを判断するには、自分で買ってみてそれを手にとり、触っていじくっているうちに分かってくることを信じる性質なんで、そうして良さが分かってきたのが30代半ばなんでしょうね。

でも、じゃあって、これからハンドクラフトだけで、それこそアートギャラリーのような一点もので生きたいとは思わないのでしょう?

― そう、機械で作られたものの魅力も消えないです。で、ぼくって、一点ものより、一定数作られたモノに惹かれるんです。エヌ・クラフツの方針もそうですが、手作りでありながらも、必ず一定量の生産が可能であることを条件にしているんですよね。一つの絵画より、何十枚分の一と書かれるリトグラフが好きで、そっちを買うんですよ。まっ、すごくお金をもったら分からないけど・・・(笑)。

なるほどね・・・下坪さんが小学生の頃、ミニカーのコレクションに夢中だったエピソードを最初の方で紹介したけど、そのままですね(笑)。

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Date:08/12/17

15回にわたって、ぼくが知っているメトロクスの歴史を書きました。それでは下坪さん自身の目からみて、この15回の連載をどう読んだのか? それを知りたくなります。下坪さんの感想をインタビュー形式で聞いてみましょう。(-で始まる台詞が下坪さんです)

― そうですね。一つ触れていないのは、2003年に東京店を開いてから、エキシビションを年2回くらい企画するようになったことですね。2回と言っても、大きいのを1回、小さいのを1、2回という感じですけどね。こういうことをやるようになって、商品プランとか色々な面でよい影響がありました。インパクトがあったなと思えるのは、ブラウンですかね。特定のデザイナーに絞ったものや大型の製品を集めたブラウンの展覧会はあったのですが、ライターやシェイバー、時計などの小物を中心としてブラウンの全体像に迫ったのは、メトロクスの成果と言っていいでしょう。

― ブラウン以外でそれなりの貢献をしたなと思えるのは、オリベッティやマックス・ビルかな。プロダクションは一級品なのに、ちょっと派手さに欠けるというか・・・・マイノリティを救ったというか(笑)。

オリベッティは派手じゃない?いや、だいたい派手って何でしょうね。人でいえば、スタルクでしょうか、例えば。これは誰ということより、ある意味、トレンドにのっている人や作品かな。ピエール・ポランの60年代の作品はトレンディだけど、50年代は正統派でいっているとか・・・。そういう意味では、リチャード・サッパーなんかは、トレンドとデザインが結びつくのを避けているようなところがあるから、彼を派手とは言わないかもね。

― そう、いぶし銀がいいんですよ。ゆるぎなく、流行に左右されなくて・・・。話題やスター性より、プロフェッショナルな感じがにじみ出ているものに惹かれるんだと思います。

ああ、じゃあ、下坪さんの性格そのものですね。これから、「いぶし銀下坪」って名づけよう(笑)。ところで、目指したい理想のショップってどういうものですか?

ー 見た目のインパクトが強くなくても、それぞれがとっても高品質。決して安くはないけど、がんばれば手が届かないわけじゃない、そういうモノが揃っている店がいいですね。世界中のいいものがあり、でもオリジナルがある・・・ミラノのモンテナポレオーネ通りにある刃物のロレンツィ(http://www.lorenzi.it/)が理想の商売ですね。どの店員も質が高く深い知識があってね。それで、コレというものを、世界中の人がそれを目指して買いに来る。

そうですね、あの店、いいですね。今度、あそこの店の紹介をブログで書いてみましょう。

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