『ヨーロッパの目 日本の目』 の記事

Date:08/11/5

ぼくがこの本で語りたかったのは、「ヨーロッパ?なんか色々と勉強しないと、付き合えそうになく、面倒だなぁ」と一歩身を引いてしまわないためには、欧州文化に対してどういう見方をすればよいのか?ということです。欧州文化を理解するには、古い教会や美術館にある、あの膨大な宗教画が分からないといけないという思いにとりつかれすぎている日本人が多い。この点を打破しないといけないのです。

確かに欧州文化を作る重要な要素であるキリスト教の理解があれば、それに越したことはないでしょう。が、自分の目線を意図的に欧州人寄りにすることで、日常の世界から見えてくることが、もっと自然に目に映ってくるはずなのです。自分の尺度が日本のものであることを自覚し、それが欧州の尺度とどれほどの差があるものなのか、それが分かると(あるいは勘がつくと)、欧州文化がまったく違ったものに見えてきます。重さや軽さという表現は、絶対的な重量を言っているのではなく、その文化の全体の価値観のなかで相対的に決まってくるわけです。このことは、以下の「2008 ミラノサローネー日本人のデザイン」で触れました。

http://milano.metrocs.jp/archives/186

上の帯のフレーズを読んで「あれっ?」と思う方がいれば、かなり熱心にこのブログを読んでいらっしゃる方です。10月のはじめ、ぼくが日本の国際関係論の教授とお会いした時に、彼が語った台詞そのものなのです(下記)。しかし、そのとき、このフレーズと同じ内容が既に出版社側で作られていました。が、最終決定はしていませんでした。この教授が「偶然」にも語ったフレーズが最終決定へと促したのです。

http://milano.metrocs.jp/archives/366

冒頭で、欧州文化に対する知識を溜め込むことができなかったことに敗北感を抱く必要はないと書きましたが、ただ、どういう道筋でコトが成り立ってきたかを、代表的な事例をもって知っておくことは欧州ロジック理解に役にたつだろうと思います。その一つとして、本書ではEU成立の経緯そのものを欧州文化の特徴を理解する手立てとして紹介しました。また、デザイナーのピエール・ポランがインタビューで語ったフランスの歴史も引用していますが、これも欧州における「国際性」を知るにキーとなるであろうと思ったのです。

Date:08/11/4

目次はアマゾンでもご覧になれますが、ここにも掲載しておきます。「6 デザインの祭典ーミラノサローネ」は、このブログで3月から3ヶ月近く書き続けた「2008 ミラノサローネ」の一部をまとめたものです。本書では文化をデザイン面から実践で語った部分という位置づけになっています。

まえがき
TVドラマ「のだめカンタービレー欧州編」にみるローカライゼーション

Part1 文化とビジネスの交差点を歩く

1 異文化のギャップを読み解く
地図を描けない人たち
住宅展示場の南欧風住宅に思う
ちゃぶ台をひっくりかえす
風邪も文化のうち
イタリア男はもてるか
中国人の和食レストラン
チョコレートで文化を比べる
フランスの三つの災難
強い人間と弱い人間
政治と宗教から読み解く
ヨーロッパの学校見学
縁ある出会いの数々

2  ヨーロッパのビジネス流儀を知る
対ドルだけで円高と騒いでいいのか
連続性のある欧州文化
ワードとパワーポイント
トップレベルのデザインとは
ヨーロッパ各国の苦手意識
英語を勉強する人たち
メイド・イン・イタリーの謎
戦後復興とビジネス

3 都市空間とライフスタイル
鉄道の駅が行き止まりのわけ
バウハウスの流れ
ジプシーについて何を知っているか
田舎の風景とワイン
伝統的社会とつきあうコスモポリタン
これぞライフスタイル
おしゃべりと都市計画

4 ヨーロッパから眺めた日本
日本神話を信じるか
日本のグローバリゼーション
虫の鳴き声を詩的に聞く?
日本人の教養
なぜ、日本の陶芸品が売れないのか
ひきこもる日本チーム
ヨーロッパの統合とその多様性

Part2 ヨーロッパ文化のリアリティと向き合う
5 柔軟性と想像力の社会
「欧米」という言葉はやめよう
欧州から学ぼうといわない
イタリア人はなぜ遅刻するのか
英国式とフランス式のテーブルマナー
言葉以外の世界
「満足している?」
正当性の領域と範囲
非日常生活が生む出すもの

6 デザインの祭典ーミラノサローネ
ミラノサローネとは何か
解説を読む人、読まない人
欧州人の直感と日本人の直感
楕円と丸い円は同じ円
外国文化は長いスパンでみる
ジャパンデザインへの冷ややかな眼差し
文化を象徴する品質クレーム

7 過去をステップアップに使う
前衛よりクラシック
イタリアに溺れる不幸、イタリアを知らない不幸
古いワインが語ること
カトリック教会が売りに出される
敷居を低くするとは
2800年前の船をつくる
東西の架け橋、フィレンツェの文化財団
隔離された精神病棟のない社会
文化には深さが必要
ヨーロッパ文化の四つの特徴

8 ヨーロッパと日本ー今後の行方
日本からヨーロッパのリアリティが見えるか?
ヨーロッパへの無関心の始まり
活動が鈍いヨーロッパとの姉妹都市
欧州と日本は赤い糸で結ばれていないのか
文化を知らないと命が危険にさらされる
ロジックの次にくる感性
こういう状況で何をするか

あとがき
本書の成り立ちと文化の定義

Date:08/11/4

このブログ『さまざまなデザイン』のサブタイトルに「ヨーロッパの目」をつけたのは、ぼくが今月に出す本の題名からとったことは以前書きました。その本が約10日前からアマゾンでも予約を開始しました。来週半ばには書店に並ぶ予定です。そこで本書について、何回かに分けてお話ししていこうと思います。

まず、この書名にはサブタイトルがあり、「文化のリアリティを読み解く」です。これは欧州文化のリアリティが、あまりに日本に伝わっていないことが背景にありますが、それは欧州における日本文化もそうです。外国文化にはおよそリアリティを持ち得ないのが一般的です。

そういう意味で、外国文化のリアリティをどう捕まえるか、というテーマがぼくの頭の中にいつもあります。そして、このリアリティがつかめない限り、外国人の相手を説得するコツをつかむのは極めて難しい作業とならざるをえないと思います。まったく地図をもたずに荒野を歩くようなものでしょう。どこに自分の感覚の拠点をおくか?というのが、とても大事です。

表紙のデザイン表現をつかえば、やや「雲をつかむような」話に見えるかもしれませんが、本書の内容は日常生活から多くの題材を得ています。しかし、そこから生活記録本にはならず、ノウハウを語るビジネス書ではなく、欧州文化を理解する手助けをするというのがぼくの目的です。

尚、表紙の空の写真は、アーティスト廣瀬智央氏の作品です。以下「2008 ミラノサローネ」でご紹介した作家です。

http://milano.metrocs.jp/archives/133

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