今月末からの日本滞在のイベントをまとめてみました。まだ、アップされていないものもありますが、リンクできるものをまとめておきます。
6月25日(土)16:00-18:00 「米国で日本アニメは衰退したのか?」 (六本木アクシスビルJIDA事務局)
米国市場における日本アニメの変遷を辿りながら、アニメをローカリゼーションの観点から議論していく勉強会です。講師は読売新聞記者の笹沢教一さん。科学記者ですが、同時に日米ポップカルチャーのエキスパートです。アニメ映像もみながら、お話し くださいます。尚、震災や原発事故による米国における日本イメージへの影響もテーマになります。
http://milano.metrocs.jp/archives/4340
7月1日(金曜日)18:30-20:00 「異文化市場のお客さんの頭の中を探ろう」(産業技術大学院大学)
ローカリゼションマップの試みについてお話します。今年2月と3月に麻布十番で行ったセミナーの発展系で、7月に出版される本のエッセンスについても触れます。
ゲーム分野のジャーナリストであり、国際テレビゲーム開発者協会(IGDA)日本グローカリゼーション部会・共同世話人をやられ、ゲーム業界のローカリ ゼーションのエキスパートである小野憲史さんを講師にお迎えします。ニンテンドーDSの「世界で受けた理由とその課題」など、数々の事例を含めてお話して もらいます。
http://milano.metrocs.jp/archives/4334
7月4日(月曜日)19:00-21:30 「ローカリゼーションマップ講演会」(渋谷・サイバーエージェント)
ゲームのローカリゼーションに携わっている方たちに、ゲーム以外のローカリゼーション事例などを紹介しながら、ローカリゼーションマップの考え方を説明します。
http://atnd.org/events/16960
7月8日(金曜日)18:00-20:00 第2回 UXD initiative研究会「デザインと食を結ぶ感性とロジック」(恵比寿・株式会社コンセント)
食は見えない世界ではなく見える世界である、ということを基点にお話しようと思います。以下、UXD initiative のブログで、このあたりのテーマについて書いていますが、これをデザインと共通する部分は何かについて皆さんで考えてみたいです。
http://uxd-initiative.blogspot.com/2011/06/2uxd-initiative.html
数日前から日本に来ています。ローカリゼーションマップ研究会の食の勉強会を皮切りに、動き回っています。29日は六本木でiidaの発表を覗いたり、「リアル中西」で喉をガラガラさせたり・・・と。日経ビジネスオンラインの「異文化市場で売るためのモノづくりガイド」も2回目がアップされ、メキシコでの「マルちゃん」の受容のされ方に多くの方が興味をもっていただいたようです。というわけで、11月18日(木曜日)新宿リビングデザインセンターOZONEでセミナーを行います。タイトルは、「異文化市場をデザインから理解するーローカリゼーションマップへの試み」です。日経の連載を一緒にやっているデザイナーの中林鉄太郎さんとのトークです。
<以下、セミナー案内より>
日常生活をとりまくプロダクトは、それぞれの国にあったデザインで成立するのが理想です。しかし、昨今のグローバルに展開するモノづくりの時代では、国境を越えて文化を想 像することが必要になってきます。しかし想像だけでは、消費者に違和感を強いる無理が生じます。これが刺激となって楽しい場合もありますが、ビジネスの世界ではよりシビアになってきます。
このユーザーの文化にマッチすること(=ローカリゼーション)への期待度をジャンルごとにマッピングしてみようというのが、ローカリゼーションマップの趣 旨です。このローカリゼーションマップは商品企画やデザインあるいは市場戦略策定の一助になるのではないかと考えています。目的は異文化市場を狙うときに 何をおさえればいいのかというキーを手にすることです。
異文化市場というと言葉、歴史、地理…、様々なことをインプットしなくてはいけないというプレッシャーを感じ、これを理解しないと全体が分からないのでは ないかと不 安に襲われます。その解消の鍵の一つが、実はデザインを通じた文化の読み解きです。道案内の地図の書き方一つとっても、そこに文化の差異がみえてきます。 目に見えるあらゆるモノやコトのデザインを通じて、日常生活を理解していく。例えば、ヨーロッパの街と日本のそれを比較して気づくことが、台所にも同じよ うにあるのです。日用品、家具、自動車、食などいくつかの事例から異文化市場の理解を試みます。 ローカリゼーションの視点は、海外市場だけでなく、国内「異文化市場」にも応用できます。デザイナーや建築家あるいは企画関係の方などにとって、新たな発 想やヒントを獲得するにきっかけになるでしょう。
日時:2010年11月18日(木曜日) 18:30-20:30
場所:リビングデザインセンターOZONE 8階セミナールーム
〒163-1062 東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー
申し込みはこちらから
デザインやデザイン思考という言葉が、その言葉の定義もさまざまなまま(←まさしく、このブログのタイトルが「さまざまなデザイン」!)、いろいろな場所で使われ、あまり早く疲弊しなければいいが・・・と余計な心配をしています。そんなにフル回転すると、言葉を使うほうも疲れるし、言葉自身も疲れるのではないか・・・と。なにかを積み忘れた不慣れなクルマが街中を彷徨っている。今はまだ日があけない時刻だからいいけれど、そろそろ東の空が明るみを帯びてくると、「君、大丈夫?」ともっと気遣わなくちゃあいけないかもしれない・・・と、そんな風に「デザイン」や「デザイン思考」が見えてしまいます。もちろん、そんなに新参者ではないのですが、従来と違った舞台に立たされつつあるのです。

先週末、土日の東大のi.school を見学してきました。前回の「新聞の未来をつくる」は、10回のWSの最終回とプレゼンを見ました。そこでは、あるカタチになる前の生の観察結果をダイレクトに知らないと、学生たちが何をリアルに見ているのかがどうも分かりにくいと思ったので、生データに近い段階をじっくり見たかったのです。しかも、テーマは「食文化を知る・広げる」。日本の学生が3日間、韓国の家庭にホームステイ。スーパーマーケット、レストラン、家庭風景・・・などを写真で記録。その次は、韓国の学生が日本で同様にフィールドリサーチ。そして3日間、ワークショップという具合です。ですから、何としてでも、WSの初日ははずせないと思いました。
7-8人のグループが6つあり、一人一人が各20-30枚の写真を披露します。「何に気づいたのか」「何に面白いと思ったのか」「何を違うと思ったのか」・・・韓国のコンビニの前に椅子があって休憩できる。トイレットペーパーの個数単位にバリエーションがある。値段が割引ではなく、一個買うともう一個おまけになる。料理はおかずとご飯をまぜる。冷蔵庫のデザインがエッジがきいている・・・・ということを日本の学生がプレゼンすると、その理由を説明したり、韓国の学生が驚いたりするわけです。日本の学生が「日本ではメインのおかずはスーパーで買ってきたものをそのまま食べる」と説明したりして、首を捻ることも多々ありますが、それが彼の見ている現実である限りにおいて、それに注釈を加える人がいない場合、それがある事実としてWSでは前提の一つとなっていきます。

しかし、現実生活を顧みても、事実の収集というのはこういうもので、往々にして一面的であったり、断片的であったり、まとまった全体像が一気にわかることはあり得ません。その意味でWSを仮想的とは言えないなと思いました。およそ、多層的で多元的な日常生活をインデックス的に理解することはありえず、断片の集積です。日常生活は主観的にとらえるしかなく、その主観の共有したところにネタがある可能性が高い。でも、その共有部分が多いというだけでは、必ずしも問題解決提案のネタとすべき理由にはならない。実際、複数の人間が、似たような場面の似たような対象を問題と切り取っても、その理由と解決期待度は似たようなものではないことが少なくないのです。だから、このWSの最初のステップを見るのが大事です。

今回の目標は、お互いの食生活を知ることで、今後、どのような食生活モデルが作られていくかを考え、しかも、韓国と日本の各エレメントの相互関係を把握していくとのことでしたーぼくの理解が正しければー。食生活というテーマは、誰もがその世界において「権威」であり、目でみることができる要素が多く、しかも、自分の手で触ってみたり、自らの感覚で味わってみることができ、こういうWSにはベストだなと思いました。また、韓国と日本は食生活に似た点が多くー箸を使い小皿があるー、だからこそ気づく差異があります。イタリアと日本では違い過ぎ、こういう短期の滞在で「意味ある差異」を見つけるのは大変でしょうが、近いからこそ見える世界があるわけです。イタリア料理とフランス料理の比較だと、かなり盛り上がるように。
このWSをみていて、同じテーマで年齢層が違う別グループが同時並行でやったら面白いだろうなと思いました。学生たちの食生活への未成熟さが面白い発想を生んだりするでしょうし、実態の差異の背景にある価値体系の差異に目がいかないがゆえに取っ掛かりよく問題をピックアップできるでしょう。だから、そうではない40代以上のグループに同じ経験をしてもらい、年齢層での比較をやると、そこに遠近法的な視点からみえる三次元的ストラクチャーが浮き彫りにされるのではないか。それによって、学生たちのー実際は協賛企業の社会人も入っているのですが、混入させない利点もあるかもしれないー議論と作業の良さも再発見できるのではないか。その時、冒頭で述べた、「デザイン思考」や「デザイン」の議論が経験レベルの競いあいから脱出できるという副産物も獲得できるかもしれない・・・と想像するのです。食生活というテーマだからこそ、こういう組み合わせを行う意義があるかもしれません。