イタリア料理と文化 の記事

Date:09/10/19

先週のことを週末に書こうと思っていたのですが、叶えず。まずはヨーロッパ文化部ノートに「駐日ドイツ大使の講演会」「JETROでの勉強会」で書いたように、自分より若い世代にヨーロッパ文化について語りかけていくことが大事なのだと痛感しています。もちろん同世代も、その上も大事なのですが、ある会話でピンときました。

上記の集まりとは別のところで、夕食を何人かでとっていたのですが、そのときに新聞記者の方が「我々の世代が日本の社会を変えていくしかない。上の世代にはお引取り願い、我々に任せて欲しい。我々は団塊ジュニアで数が圧倒的に多く、ここで日本を変えていかないといけないと、後にチャンスがない!」と強い意志を示しました。すると、同じ30代後半の国会議員の方が「そうだ、同じ気持ちだ」と言いました。

30代の人たちの焦燥感をひしひしと感じました。今までもここで何回かネット上でみる「世代間ギャップ」「世代間論争」には触れてきましたが、自分たちが今やらないと後がないという状況認識は正しいと思います。全員が全員、このような気概をもっているわけではありませんが、この世代がもつ危機感に対応することが重要なのではないかと遅まきながら気づいたのです。そして、やはり圧倒的にフットワークが軽い。JETRO内の勉強会をオーガナイズしてくれたのも30代の方です。

閉塞状況への打破と新しい社会のあり方を考えている人たちはどの世代にもいますし、それは個々人の問題であることは確かです。が、ぼくが話しているビジネスにおける文化理解の重要性は、ヴァーチャルのリアリティをどれだけ肌身で知っているかがベースになります。とすると、それなりの電子機器デバイスやネットの経験を人と日常で語り合うことがないと、テーマへの親近感に欠けるのだと思います。もちろん、そういう側面からだけでなく、時代の住みにくくさを体のなかで感じているのでしょう。だから、社会変革への切望度と必要度も高いのです。

話は変わります。ぼくはオリーブオイルのビジネスにも関わっているのですが、そのために先週は、トスカーナに住むドイツ人のメーカーオーナー(上のハイパーリンクにあるYouTubeのビデオの主人公)と一緒にスーパー、デパート、ワインバーなど新しい市場の開拓のために足を棒にして歩き回りました。そこで感じたのは、東京ではエスニック食材が割とプレスティージが高いということです。ヨーロッパで南米や中東などエスニック食材店は街の中心ではなく、移民の多い街のはずれにあり、ある特定の階層を除いて、あまり積極的に足を運ぶことがありません。それにたいして都内では「外国人の客が多い」ことは、トレンディのしるしになっており、日本人のフォロアーがつくという構造が「いまだ」にあります。

「地産地消」という言葉のもとに生産者の顔がみえる国産の食材がかなりの価格で取引され、一見、輸入食材は劣勢のような風景があるようにも見えますが、一橋大学大学院教授の石倉洋子さんがいうように「ORからAND」の今、どちらの食材にもマーケットがあることが、上の例でもよく分かります。実際、国産品を売りにしているレストランでも、メニューをよく見ると、輸入品が少なくありません。「売り」と「実際」のギャップをよく把握しないと、表面的な空気で判断が左右されます。これは危険です。

銀座から西麻布に移ったレストラン・NARUKAMIはミシュランの星つきです。創作料理が中心ですが、ぼくは、ここで夕食をとって新しい経験をしました。それは何かというと、食事をして頭の中が開放されたことが感じられたのです。どの皿も嗅覚を心地よく刺激してくれるのですが、目と口あるいは鼻だけでなく、頭のなかが自然に楽しめるというのは面白い経験です。自由な関係性が、現実に迫ってくる。多くの創作料理が「こういう方向できたのね」という感想を抱かせますが、ここではそういう頭の働きを促すのではなく、結果として頭が開放されたことが後で分かるというプロセスをとりました。話は冒頭の内容に戻りますが、ヨーロッパ文化に関する話も、こういう快感が味わえるような経験を提供できればいいのだが・・・・と思いました。

Date:09/9/16

先週、「トスカーナで七味オイルを作る」というエントリーを書きましたが、そこで撮影したビデオ編集が終わったので、YouTubeにアップしました。本来手袋をすべき七味オイル工程ですが、撮影のためのデモで、がたがたやっているうちに忘れてしまいました(苦笑)。もちろん本番の生産ではちゃんと手袋も頭巾も最初からつけるのですが・・・・。

いずれにせよ、ぼくは、先週、時間の流れ方について文章を書いたわけですが、動画だとやはりリアルに伝わりそうです。でも、だからといって全てが動画であればいいというわけでもないのが、難しいところだと思います。これがトスカーナに流れる時間と空気です。ビトッシの工房ポルトロノーヴァの工場に行くと、これと同じであることを感じます。昨年、ぼくはビトッシの品質をどう考えるかについて以下書きましたが、このビデオも文化文脈の違いを知ってもらう一助にもなればと願っています。

商品を売るというのは、そのモノだけを売るのではなく、それを取り囲む文化全体を知ってもらい楽しんでもらうことだ、という考え方の妥当性を聞いてきます。もちろん、そのことはメトロクス東京の片岡氏もよく分かっており、だからこそストーリーの作り方に頭を捻るのです。例えば、デザインショップの棚に商品が陳列してあるのではなく、イタリアンレストランの中においてあり、それをそのまま売るのであれば、異文化の文脈を違いとして受け入れるでしょうか。仮にそれで問題が解決されるなら、どうしてデザインショップでもオンラインでも、その文化をもっと伝えないのかという反省がでてきます。

Category: イタリア料理と文化 | Author 安西 洋之  | 
Date:09/9/9

(1)で七味オイルの作り方を紹介しましたが、ここでは、こうしたプロジェクトを実現する風景の一こま一こまや時間の流れをお見せしましょう。アレクサンダーの生き方を変えた要因の一つである日本文化との出会いについて、七味オイルの開発ストーリーの一部を抜粋します

日本学を勉強しはじめ、彼の生き方に変化が生じます。合理的でスピードがすべてという効率主義に疑問を抱きはじめたのです。きっかけは漢字の学習です。ここで 効率以外の価値があることを見出したのです。アルファベットからすれば複雑な形状の漢字は、覚えるにも書くにも時間を要します。しかし、表現された漢字は 沢山の意味を同時に伝えることが可能です。大きな驚きがここにありました。より広い構図からものを考える拠点を見出したと言ってよいでしょう。また漢字に ある象形文字が、牛、馬、草、竹など農業に関係のあることに気づき、日常の生活からものを考える世界にも惹かれていきます。漢字を上手く書くために、左利 きから右利きに変えました。

午前中の仕事を終え、本宅の居間でビールを飲みながらくつろぐアレクサンダー。彼の朝は早く、5時ごろには起床。

al.bee

外では子供たちがツィスターゲームで遊ぶ。

twister

アイリッシュ・ウルフハンドと戯れるアレクサンダーの次女とわが息子。

ird.chi

林の中で飼育される黒豚と白豚の混合種、チンタセネーゼ。最高級生ハムになる運命だが・・・。

c.se

露天風呂で一日の疲れを癒すアレクサンダー。

al.ro

露天風呂で物思いに耽るとあっという間に時がたち、山の向こうに日が沈むのは早い。

sun.s

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