ローカリゼーションマップ の記事

Date:10/8/4

ローカリゼーションマップ研究会の勉強会、8月のお知らせです。

先月、7月の勉強会は2回実施。 どちらも色々な分野から多くの方に参加いただき、これから日本企業が活性化するにあたり、ローカリゼーションが重要な視点であるとの認識がじょじょに芽生 えつつあることを肌で感じました。一回目は「明日の日本発を描く試み」として日本デザインの動向を整理。 二回目は「アジアを向いたローカリゼーショ ン」。アジア研究の動向と住宅機器の海外市場戦略の一端をご紹介しました。

さて、今月の勉強会は以下要領で実施します。参加希望者は、安西洋之(anzai.hiroyuki(アットマーク)gmail.com) か中林鉄太郎(t2taro(アットマーク)gmail.com) 宛てに、お知らせください。あるいはTwitter上で@anzaih か@designer_tetsuあてに#lmap を入れて参加希望と書いてく ださい。議論に積極的に参加していただける方、本研究会の今後の活動に貢献していただける方、大歓迎です。内容に一部変更になる可能性がありますが、その 際は、ご了承ください。

2) 8月16日(月曜日) 1830-2030 六本木JIDA事務局
(http://www.jida.or.jp/outline/)

「ローカリゼーションの基礎を学ぶ」

ローカリゼーションという言葉は、対象市場の法的規制や文化的に期待される言葉やカタチあるいは色などに適合させる作業を指す、比較的一般的な言葉です。 しかし、コンピューターソフト産業が拡大するにつれ、ローカリゼーションといえばソフトウェアの現地化を指し、ローカリゼーション産業といえば、言葉やソ フトウェア(インターフェースも含む)の周辺と限定されることも多いようです。

一方、ローカリゼーションマップ研究会は、オリジナルの意味に近い広義の視座を提供することを目的としています。しかしながら、狭義のローカリゼーション を基礎知識として学んでおく必要も同時にあると考えます。この理解が、ハードやサービスの商品企画にあたり何を最初に考えないといけないのか?の助けにな るはずです。そこで、世界に数千人規模のスタッフを抱えるこの分野のリーダー的存在であるナスダック上場会社、ライオンブリッジ(http://www.lionbridge.com/lionbridge/ja-jp.htm)のお二人を講師に招き、お話いただきます。

ソフトウェアに関わる方が知識整理を目的に参加される方ももちろん歓迎ですが、ソフトウェアのローカリゼーションノウハウを他の分野に応用する意欲をお持ちの方、今回の勉強会は見逃せないはずです。

―グローバリゼーションとは何か?国際化とどう違う?
ーローカリゼーションとは何か?(特にソフトウェアローカリゼーション)
―ローカリゼーションプロセスとその事例
―Q&A

参加定員数:20名
参加費:1000円

永島 和暢(ながしま かずのぶ)

1976-83まで製造会社勤務後、アメリカに渡り1984年にKansas State UniversityでMS in Industrial Engineeringを取得。帰国後、システム会社勤務を経て、再度渡米1996年にUniversity of Texas at Austin でMBA を取得。1997年よりライオンブリッジ ジャパン株式会社にてSolutions Architectとして様々なローカリゼーション業務のシステム作りをしている。

古河 師武 (ふるかわ おさむ)

1996年大学卒業後、広告代理店勤務。1998年に渡米し、2002年にCalifornia State University, FullertonでBA in Communicationを取得。その後、ロサンゼルスの広告代理店に勤めながら2005年にCalifornia State University, Long BeachでMBAを取得。2009年よりライオンブリッジ ジャパン株式会社にてアシスタント セールスマネージャーとして海外進出する企業へ向け、 ローカリゼーションのコンサルティング、ソリューションを提供している。

→ローカリゼーションマップ研究会とは?

ローカリゼーションマップ研究会をJIDA東日本ブロックのデザインプロセス委員会でキックオフしたのが今年3月。それよりTwitterの #lmap やリアルで討議や勉強会を重ねています。そして、目標としては、来年、ローカライズされたモノを陳列し、その背景を説明した展覧会を開催することを考えています。

Date:10/8/3

世界地図、アジアの地図、日本列島の地図、町内の地図・・・これらはどれ一つとって全てを満足することができませんが、どれかが欠けてもいけません。それぞれがそれぞれの必要性に応じて存在し、しかも、それらの全てを見ないと全体像が描けません。そして、できれば年表も読む。時の流れによる状況変化を把握してこそ、現状の区分けの由縁が分かる。ぼく自身、それが全て常にできているわけではないですが、それを目指すことの重要性を忘れてはいけないと考えています。自戒しつつ・・・。

市場の定性調査の必要性が盛んに言われます。量的調査では掴みきれない領域とレイヤーのあまりの広さに気づいたがゆえかもしれませんが、ちょっと気になることがありました。それは往々にして、歴史や古典的文化のありようをあまり視野に入れていないことです。エスノグラフィックなリサーチと地域研究の両輪は欠かすことができないはずです。両方を良い按配に目配せする勘、「これじゃあ、向こうが足りないな」と思う素養がないといけない、それも極端な表現かもしれないけど、生理的にそう思えることが必要ではないかと思います。要は両方にリアリティを感じないといけない

そのような趣旨をこめて、先週の土曜日のローカリゼーションマップ研究会の勉強会では、アジア経済研究所ERIA支援室の吉田暢さんに、アジア研究の基礎の基礎を話してもらいました。まず、アジアって何?何処?というところから。国連の分類が全てではなく、色々な機構が様々な区分をしています。あるいは時間軸の導入で変化します。それから、「アジア」における文化的ダイバーシティの実像 → 「アジア」を見ている複眼 →「外国人の眼」で見ることの重要性と「現地人の情報」の危険性 → 「研究」が政策やビジネスにもたらす効果 と展開してくれました。

参加者からの質問も多様ですが、「どうすれば、市場が見えるのか?」ということへの関心が非常に強いことが確認できました。アジアへの注目度もありますが、しかし、これも裏を返せば、先進国市場のアプローチも発展途上的であるということです。冒頭に述べた両輪が定着していないわけです。吉田さんの次は、橋田規子さん。元TOTOデザイナーで芝浦工大の先生です。TOTOの海外戦略の概要と各市場の習慣と製品つくりの関係などがテーマです。風呂に限って言えば、日本だけが特殊。毎日のように風呂に入り、複数の人と入る。こういう習慣が日本以外のTOTO市場(中国、北米、欧州など)にはない。そこで、風呂は普段あまり使われないがゆえに、逆に贅沢の象徴とした要素が強調される風呂デザインが増加傾向にある・・・というロジックは皆さんにかなり刺激的だったようです。

橋田さんは、現状のところ、住宅機器の分野においては欧州メーカーのデザインブランド力が強く、それ以外の地域のメーカーはそれに追随する傾向があると指摘。そこで日本メーカーは技術力で特徴を出していっているーいかざるを得ないーと話していました。この点は、前回の勉強会で指摘した「技術信仰の強さと精神性への偏り」に繋がるところで、やや気になる点です。TOTOは海外のハイエンド市場に焦点をおいているメーカーですが、電機や自動車などの日本メーカーがハイエンド路線で行き詰っているなか、住宅機器メーカーのハイエンドはいつまで維持できるか?が関心の的になりそうです。いずれにしても、各地域の日常習慣とデザインの関係性は人を魅了するテーマであることがよく確認できました。

ところで、そうした興味を裏付けるかのように、一般ユーザーが描くデザイン像というのは、思った以上にコンサーバティブだなと思う経験がありました。日曜日に参加した日産本社でのEVワークショップです。一般公募した(潜在)ユーザーにEVについて考えてもらうというイベントですが、ぼくも一般(潜在)ユーザーの一人として参加者の意見を聞いているなかで、「あれっ」と感じることが多々ありました。EVの社会的位置やそのコンセプト、あるいはデザインについて話し合っていると、クルマの「近未来イメージ」というのが、もしかしたらこの数十年変化していないのではないか?と思えたのです。時がどう経過しようが、ある固定的「近未来像」がいつも残像のように生きつづけている・・・1970年代にみた21世紀像は、21世紀になった今でも近未来イメージをひっぱっている。これをコンサーバティブと表現するのが正しいかどうかは迷うところですが、「近未来イメージ」も伝統的文化要素の範疇に入れることができるかもしれないとは考えました。

だからこそ、実際に新しいシステムなり技術が現実化してきたとき、案外、それまで無意識的にでも維持してきた「近未来イメージ」をあっさりと捨て去ることに抵抗がない。要するに、あまり合理性を伴わない残像は、それがゆえに長時間保持されることも可能ですが、それゆえに他の合理性に道を譲るのもあっけない・・・ということをワークショップに参加しながら思ったのです。これを「各地域の日常習慣とデザインの関係性は人を魅了するテーマ」に戻すなら、「非合理的な領域とレイヤーは頑固に生き延びるようでいて、思いのほか、もちが悪いことがある」ことを思うとき、もちが良いものは合理性が優先するからなのか?ということが課題にあがってきます。

これは人工物発達学のテーマに近似でもあります。イタリアでもあまり風呂に入ることがないと言われていても、豪華版ではなく、普及版の風呂がなぜこれだけ新たに設置され続け、汚れ物の洗濯などに使われるだけではなく、本来の使用がされることが(当たり前ながら)異常なことではない。そこにある合理性は、日本のように毎日のようには入らないことが前提で、風呂という習慣が合理性をもっているということになるでしょう。シャワーを浴びる回数やそのタイミングとのトータルで判断すべきで、風呂の回数自体は合理性の絶対的判断基準にならない。つまり、どれだけ幅広い範囲で生活習慣を見極められるかが重要です。イタリアの伊達男は一日3回シャツを変えるということと、シャワーのタイミングの問題は密接であり、こういうライフスタイルのなかで風呂を考えないといけない、ということになります。しかも、汗臭いTシャツを2日続けて着る。しかし、そこにオードゥトワレットが活躍するライフスタイルもあるなかで、どうこれを暗喩としても考えるか・・・・です。

Date:10/7/28

自分が開発に絡んだクルマを街中で偶然に見かけるのはとても嬉しく、それも国境を越えていると感慨もいや増します。かつて、日本のカーメーカーにいた時に関わったクルマをヨーロッパの道で見かけたとき、思わずクルマに駆け寄ったことが何回かあります。それだけ、自分のアウトプットがどこか地球の片隅に届いていたことを自分の目で見るのは心躍ります。しかも、それがもっと生活の奥深いところに浸透していたりすると、さらに喜びが増します。あるいは、「それって、こういうことじゃない?」という他人の言葉の前提が実は、自分たちが発信した考え方だったりすると、もっと充実感がある。食ビジネスは、これに近い感覚があります。

3月に幕張メッセで開催されたFOODEXでオリーブオイルの紹介をした話を書きました。初日に確認したことは以下でした。

ある味を賞賛するのは味覚、触覚、臭覚、視覚だけではなく、ロジックで評価するということです。もちろん頭でっかちの味覚は話になりませんが、必ずしも舌だけで人は簡単に振り向かない

舌に限らないことですが、舌なら「食べ慣れる」ということが重要です。馴れるには、馴れるための環境を含めた条件が揃わないといけません。したがって、オリーブ漬けについて、以下のような発想がでました

実はアレキサンダー自身はオイル漬けオリーブは日本での漬物であると考えていました。しかし、そのようにヨーロッパ人が説明するのではなく、日本人が日本人の思考枠のなかで、「これは漬物である」と自然に思えることが重要なのです。日本で漬物は野菜のできない季節の保存食として考えられました。それはイタリアでも似たような事情があるのですが、しかし、その周辺事情だけでは同じカテゴリーと定義するリアリティに欠けるのです。石森さんが居酒屋で言った漬物って特に欲しいと思わなくても、テーブルの上にあると、なんとなく食べているんですね」という感覚が日本とイタリアで一致していることが、似たものを同じものとするに際しての決定打ではないか

この最後の部分、これが肝です。似たものは世の中に沢山あるけど、それを似たものではなく、同じものとするには大きな溝を飛び越えないといけない。こういうコンテクストが作れてはじめてモノは売れ定番化していきます。ローカライズからローカルへの道筋です。先週から今週にかけ、デルポンテ社の七味オイルやエキストラヴァージンオイルの販売現場を歩きながら、「定番化のキーとは何か?」を考えていました。

上は赤坂TBS前にあるワールドが経営するF.O.B COOP ENTHESE です。下は同じ店内の別の棚です。真ん中にある赤とうす緑のボックスがデルポンテの商品です。

また、下は浅草橋にある油専門店、金田油店です。

同じ商品ながら、違った文脈におかれています。両方ともきれいなディスプレイですが、全く異なったコンテクストのなかにあり、当然ながら、世の中は複数のコンテクストで成立していることがよく分かります。ある程度のコンテクストの固定化と流動性のバランスの上に定番が成り立つと思いますが、ここで面白いのは、F.O.B.COOP ENTHESE はいわばヨーロッパ文脈からアプローチし、金田油店は日本文脈から見せていることです。似たものを同じとする試みの一つといえるでしょう。

因みに、先週、マガジンハウスのサイトで「日本とイタリアの食文化の融合実験」というタイトルで紹介されているので、宣伝しておきます 笑。

http://webdacapo.magazineworld.jp/lifestyles/gourmet/29232/

Page 49 of 52« First...1020304748495051...Last »