ローカリゼーションマップ の記事

Date:11/10/15

先週の「海外で売るための電子書籍」の勉強会もとても盛況でした。その分野のエキスパートもエキスパートでない人も、それぞれの自分の経験と視点からコメントや質問を自由にされており、非常に爽快でした。来月もインフォグラフィックをテーマに勉強会を開催します。

参加希望者は、anzai.hiroyuki(アットマーク)gmail.com かt2taro(アットーマーク)tn-design.com までお知らせください。議論に積極的に参加していただける方、本研究会の今後の活動に貢献していただける方、大歓迎です。内容に一部変更になる可能性がありますが、その際は、ご了承ください。場所はいつもと同じく、六本木アクシスビル内のJIDA事務局(http://www.jida.or.jp/outline/)です。

11月19日(土)16:00-18:00 「インフォグラフィックにみる文化差」

言葉が通じないけどアイコンなら分かるだろうと思う傾向があります。しかし、日本においては現物のコピーを忠実に表現し、欧州では現物のコンセプトを伝えることに注力しようとします。そうすると例えば、日本のデザイナーが作ったクルマのワイパーのアイコンが欧州においては扇子にしか見えなかったというエピソードがあります。このように、あるモノに対するイメージとその表現は文化によって違います。したがって、アイコンには言葉での説明の併記が望ましいという議論が生まれるわけです。

今、インフォグラフィックの重要性が盛んに語られます。多くの言葉と情報があふれるなかで、一定品質の情報を如何に共有するかは大きな課題です。情報は伝達されてはじめて意味があります。しかし、コミュニケーションに100%はあり得ません。でも100%を目指す態度は必要です。そのためにどうすれば良いのでしょうか?

その目標実現の一つとしてインフォグラフィックが大切な役割を果たせるかどうか。これを今回の勉強会のテーマにします。講師は、セキュリティシステムのエキスパートである石垣陽さん。人気ブログ「デザイン思考ー無限の発想を生み出す方法」の筆者です。このブログをちょっとでも読めば、話しを直接聞いてみたいと思うはず・・・。

参加定員数:20名
参加費:1500円(18:00以降の懇親会参加費を含む)

講師:石垣 陽(いしがき よう)

1976年東京生まれ。
デザイン・科学・アート・工学の界面に興味を持っています。ブログ「デザイン思考 / www.design-thinking.jp」を運営。電気通信大学大学院修了、多摩美術大学大学院修了、修士(工学・芸術)。大手サービス会社にて10年間、政府認証基盤・遠隔医療・セキュリティシステム の研究開発に従事。情報処理学会SPT研究会委員。国際デザインコンペティション、富士通モバイルフォンデザインアワードなどを受賞。

尚、フェイスブックのページ(下記)でもローカリゼーションマップの最新情報を提供していきますので、このページを「いいね!」に入れておいてください現在、1203人の方にフォローいただいています。

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Date:11/10/9

横浜のみなとみらいに先月オープンした「カップヌードルミュージアム」。1958年発売の第一号から並んだあらゆる種類のインスタントラーメンを眺めながら、10年数年前くらいの時代を懐かしいと話し合っている人たちの声を耳にしながら、旧東ドイツの生活空間を再現したベルリンのDDRミュージアムの様子を思い出しました。「え~!パパやママ、これ知ってるの?」と子供が叫ぶと満足そうな顔をする親たち。あまりに過去過ぎては自慢のネタにならないけど、「近過去」あたりが親の地位向上には良いのでしょうか。

カップヌードルが発売されたのは1971年。日本にファーストフードが一斉に入り始めた時代です。それまでの通常のインスタントラーメンの海外市場拡大を考えていた1960年代後半、米国のスーパーの担当がインスタントラーメンを砕いてカップに入れてフォークで食べるシーンを日清食品の創業者が見てカップヌードルのヒントを得たといいます。

「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか』(←ちなみに「マルちゃん」は東洋水産です)では、ローカリゼーションを考えることと同時に、異文化のロジックとの出会いがイノベーティブなアイデアを生む重要性に言及しました。人は無から何か新しいアイデアを生むのではなく、コンテクストの違う環境に入った時に、自分の今までのナレッジや感覚とのずれからアイデアを生むことが多いのです。

日清食品の創業者・安藤百福氏は、1)インスタントラーメンの海外市場へのローカリゼーションの必要性を認識した 2)ローカリゼーションの必要性の認識がカップラーメンという革新的な商品のアイデアを誘発した という点において、ローカリゼーションマップの主張の正しさを裏付けてくれることになります。このミュージアムは子供が創造的な思考を体感する場所のためか、クリエイティブシンキングの6つのキーワードの第一番目は「まだ無いものを見つけるー世の中にはまだ無いが、「あったらいいな」というものを探す!」とシンプルに書いてあります。当然ながら、ラーメンがあったところへの+αであり、インスタントラーメンがあったところへの+αです。ラーメンを発明したわけではありません。「まだ無いもの」をどういう範囲で設定するかが、実は課題の第一事項になります

カップラーメンの通気性のない蓋も、飛行機でマカデミアナッツの蓋をみてひらめいたのです。つまり発想の鍵はコンテクストの差異の連続的な体験の蓄積になります。ローカリゼーションの重要性の2本目の柱として、異文化ロジックとの出会い方やイノベーティブな発想への繋げ方について、ぼくも更に説明を深めていかないといけないだろうと思います。これから、もっとこのテーマについて書いていきます。

「イノベーティブ思考」というカテゴリーを新規設定しました。

 

Date:11/10/9

日本企業が商品企画で日本文化はこれだ!というと、かなり決まりきったアイコンが出てくることが多いということは何度も書いてきました。男性的な日本文化ではなく、女性的なそれ。あるいは、花伝書的な表現にエッセンスのすべての源流があると主張しやすい。また、「侘びさび」を好むのは多くの日本人の傾向にあるかもしれないし、はっきりと目に見えやすい表現を当たり前とする日本以外の人たちと違うと思いやすい。しかし、そこにしか自分達の元がないと思い込まないことが大切だと考えています。村上隆が伊藤若冲を連れてきて日本の美術を語ったのと同じことを、商品戦略に携わるビジネスマンは考えないといけないのです。

昨日、ローカリゼーションマップの勉強会で杉岡一樹さんに世界市場で戦う電子書籍のあり方を語っていただきました。日経ビジネスオンラインの記事で一部紹介しましたが、いつものことながら参加者の皆さんからとても質の高いフィードバックがあり、充実した時を共有できました。プレゼンは、中国で生まれた「縦書き」とそれ以外の地域の「横書き」の変遷、文字伝達は宗教的モチベーションによるところが大きかったなどの事情を掘り起こしていきます。日本における漢字のローカリゼーションが西洋文化受容の下地を作った。明治時代の戸籍制度の整備の際に、役所のミスから多くの漢字を派生させることになった・・・これらを振り返ったとき、我々が今後の電子書籍のフォーマットを考えるにあたり、「日本文化はこうだから」というときの「こう」とは何なのか?を常に問いただしていく姿勢をもたないといけないことを教えてくれます。

女子高生の勘違いから新しい表現が広まることを「本来は」と語ることにどういう意味があるのか?新しく生まれた言葉が、漢字の由来から意味を解釈するのが正当であると漢和辞典に根拠を求めることがとるべき態度の全てではない。過去は現在の我々を規定するのではなく、あくまでも現在に生きる我々を豊かにしてくれる糧とすべきであると考えるのが妥当です。よりオプションを多くもてる、と。冒頭で記したように、自分の知っている日本文化とは限定的であると自覚することによって、より柔軟な商品企画がたてられるわけです。実は、これは東大のi.school の田村大さんの、「ローカルを静的ではなく動的に捉えることによって視界が広がる」という指摘と近いところにフォーカスすべきポイントがあります。

尚、次回の勉強会は11月を予定しており、アイコン、サイン、インフォグラフィクスなどの表現にある文化差をテーマとしたいと思います。アイコンだけで世界の全ての人に同じ意味を伝えることは困難であり、必ず言葉による説明を加えないといけないとの指摘がよくされます。その背景などを探りながら、どのような表現をしていくと情報が伝わり伝わらないのかを考えていきたいと思います。詳細は追ってお知らせします。