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Date:13/7/11

寿司屋のカウンターがやや苦手な時があります。板前に趣味を判断されているようで心地よくない。振り返ってみると、20代では寿司屋のカウンターは贅沢な場所でした。銀座の値段の出ていない高級寿司屋に女の子とデートで出かけ、食べた気がしなかった冷や汗モンの経験など数知れず・・・パリで美術を勉強して乗馬を趣味としていた彼女の前で虚勢を張ろうとした自分が情けない 苦笑。どちらかといえば熱海にクルマを走らせ男友達と寿司を食べる方がずっと気楽で楽しかったです。ただ、ぼくがまだ苦手と思うのは、たぶん、友人たちが寿司屋のカウンターのマナーを学ぶ30代以降、日本にいないからです。寿司は大好きなのに、板前との会話には何となく距離を感じるというか・・・バーのバーテンダーと話すにはまったく抵抗がないのと逆です。

寿司屋の板前は、客をよく見ています。注文の仕方や注文する順序だけでなく、船ちょこといわれるつけ皿に、むらさきを入れる量、握りの持ち方、箸の置き方までです。

やっぱり!ちょっと叶わないなあ、と思ってしまいます。それも板前だけでなくカウンターの隣の客にも見られている風なのが。寿司屋は客がメニューを自分でつくる分ー本書によれば「寿司は総合芸術だ」とありますー客に緊張を迫る余地が沢山あるというわけです。あえていうと、天ぷら屋のカウンターもうるさい親父の目が光っていることが多いですが寿司屋ほどではありません。まあ、ラーメン屋でも「俺の流儀で食わない客は出ていけ!」みたいなムードがあることもありますので、どのジャンルに限らないか。とにかく、こういうの大嫌いです!好きにさせてくれ!

というわけで「魚道」なんて言われると、自らを批判されるようで実に居心地が悪いです。しかし、この著者のお二人を直接知っているぼくとしては、単に緊張を強いるためにこの本を出したわけではないことがよく分かります。相模湾の魚を味わう葉山の「稲穂」の鈴木さんは清々しい方ですし、本書に何度と出てくる今はない四谷の「纏寿司」の親父さんも無駄に客にプレッシャーをかける人ではありませんでした。水谷さんも鈴木さんも、すてきなことを言ってくれます。

寿司屋は、季節を食べに行くところです。(中略) 寿司屋のネタケースを、きちんといつも見てください。季節折々に、その季節に旬を迎えた魚が並んでいます。それを食べながら、海の四季を知る。これが、鮨の醍醐味だと、私は考えています。

と水谷さんが書けば、鈴木さんはこう書きます。

海の四季を感じることは、漁師でもない限りなかなか難しいからでしょう。でも、実は、簡単に海の四季を感じる方法があります。それは、寿司屋で鮨をつまみながら、板前とそのときどきの海について話せばよいのです。板前は魚のプロ、当然折々の海についても、よく知っています。その話から、季節を知り、そしてその季節のおいしい魚を、海の中の様子を思い浮かべながら楽しめばよいのです。

そう、話せばいいんです。コミュニケーション。分からないことがあれば板前にメニューをお任せにして、それぞれ教えてもらえばいいわけです。鈴木さんは、こうも書きます。

私が、寿司屋の小僧だった半世紀前と今で、何が寿司屋で一番変わったかといったら、やはり、ネタケースに並ぶ魚の種類と数でしょう。あの当時は、本当に江戸前、東京湾で獲れた魚を出していました。ネタケースには、東京湾の四季、季節がありました。今は、寿司屋によっては、世界中の魚が、季節を超えて並びます。これは、いいことなのか、わるいことなのか、私にはわかりません。

そうだよなあ、海外の8割以上の非日本人による寿司に対して、日本の寿司が正統であると主張するに相応しい状況に日本の寿司はあるのか?と思います。このテーマの水谷さんの考え方には賛成です。

単に江戸前寿司が、本当の姿、それが本物と、日本のどこでも、冷凍物や輸入された魚でその形に近づけて、またネタも同じようにして、その土地の客に提供するのではなく、ある程度は、妥協はやむを得ないにしても、その土地土地の魚を素材として、その土地の海の味を、いのちを、客に楽しんでもらう。これが、鮨の本道なのではないでしょうか。

つまり、イタリアであれば地中海やアドリア海の魚を最大限生かすことに注力するのが「本物の鮨」の考え方であり、そういった地産地消的なポリシーの普及材料として鮨が語れることはもっとあるのではないか、との感想を本書を読みながらもちました。「地中海の四季を伝える」という名前の寿司屋がリグーリアの海外沿いにある・・・いいなあ。だいたい、寿司屋は鮨だけを食べるところじゃなくて、魚を中心とした料理屋であるという定義にもっと近づかないといけないですね。

 

 

 

 

 

Category: 本を読む | Author 安西 洋之  | 
Date:13/6/11

このところブログの使い方を間違えているなあと反省しています。本来は最初にネタを掴んだときにTwitterやブログに書き、それを発展させてサンケイBizの「安西洋之のローカリゼーションマップ」に書くのが良いと思っているのですが、いつも逆です。どうしてもサンケイBizが最初になりやすい。これでは、ブログがぼくの第一次情報発信基地としての機能が果たせていない。とは言うものの、そういうルールで徹底しようという意識がそんなに強いわけでもないので、まあ、許してください。

この金曜日から月末まで日本に滞在します。勉強会は満席以上の参加申し込みを頂いています。初めてお会いする人や常連復帰組もいて、また新しい輪が広がりそうです。この勉強会に限らず、今回、初めてお会いする人の数を意識的に増やしてみました。ソーシャルメディアで知り合った方もいます。また今まで何冊か読んでいる本の著者にもお会いしてみようと思います。ある年齢になると、紹介もなしに面談を申し込むのがやりにくいー人から紹介されるのを待つのが大人だ、とーとかつて言われましたが、そういうことを気にしていたらいつまでたっても会いたい人に会えません。

ぼくは学生時代から30代にかけ、会いたいと思った人に片っ端からお会いしてきましたーそれでイタリアに来ました。肝心な人に会わずに周辺事情を調査して「知った気になる」ことを避けていました。大企業のトップの方たちや社会をリードする人たちと話すことは若いぼくにとって刺激的でした。同世代と会うことが少なくなった時期です。しかし40歳周辺くらいで変化が生じます。二つあります。一つは自分のビジネスに繋がらない財界人と会うことが減り、20代の人たちとのつきあいが増えました。30代は「現実を知っている競争」に励んでいるので、相変わらず30代とは距離がありました。

しかし、この20代も落し穴があります。当然ながらほっておくとすぐに30代になってしまうので、常に新しい人と会うことに力を入れないと会えないのです。大学の先生をしているわけでもない、大企業で毎年新入社員が入ってくるわけではない、そういう条件で20代とのつきあいをキープするには「意図的」である必要があります。結果、日本でもイタリアでも、今、20代のつきあいがかなりある方だと思います。そして今や30代の「現実競争」も気にならない年齢になったこともあり、30代の方ともお会いすることが多いです。こうしたなかで、気になるのことがあります。「40代って結構、年寄り!」と思うことがわりと多いのです。50代のぼくに言われたくない、という反論や反発があるのを覚悟してあえて言うと、30代の現実競争で「現実に負けた」人たちは、極めて保守的になります。

さて今日、ボストンに住んでいる渡辺由佳里さんが、最近の政治家や大使のお騒がせ発言をとらえて、以下のようなTweetをしていました。

1)最近の政治家や大使の失言についてですが、同じような仲間としかつき合わない人たちによくあるパターンです。アメリカでも特権階級のカントリークラブ と職場だけの人間関係しかない人は、トンデモ発言します。毎日会ってる人が同じこと言うから自分が間違っているとは絶対考えない。

2)仲間内でばかり飲みに行く暇があるなら、ボランティアで自分とはすごく異なる人たちと関わるとか、商店街に行って店の人と喋るとか、なるべく自分の小さな社会から離れる機会を作ったほうがいいです。すごく学びになります。

3)これはわが家の夫にも進言してることです。その辺のおじさんやおばさんになって、耳を傾けると、いろんな人がいろんなことを語ってくれる。

基本的に年代は関係なく、狭い世界に閉じこもっていると、とてつもない失言をするわけです。特に30代の「現実競争」を経て「小さな現実」に住処を定めた40代は要注意です。「50代以上よりは若い」と思い込んでいると穴に嵌るわけです。因みに、この渡辺さんとはミラノで先月お会いしましたが、常にオープンであることに努めている様子が窺えました。旦那さんはデジタルマーケティングのエキスパートであり、『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』を書いたディヴィッド・ミーアマン・スコットさんですが、ご夫妻、その点、よく似ていらっしゃいます。

そう、そう、一つ忘れていました。ぼくはこのブログを運営しているメトロクスのコンサルタントもしているのですが、十数年の取引があるイタリアのB-LINE社が来年のミラノサローネで発表する作品への提案を募集しています。手元にブリーフィングがあります。イタリアのデザイン界で自分の力を試してみたいと思うデザイナーの方、ぼく宛(anzai.hiroyuki(アットマーク)gmail.com )にご自分のバックグランドを記してメールをください。英文要旨をお送りします。提案の締め切は7月15日です。もちろん年齢制限なしです 笑。

 

 

Date:13/5/16

この2週間連続でサンケイBIZの連載に以下の記事を書きました。eYeka(アイカ)というコ・クリエーションコミュニティを運営するフランス企業について、日本で独占販売権をもつアサツーディ・ケイの原口政也さんにインタビューしました。「ボーダレス」「C世代」「クリエイティブ・コンシューマー」「多様性」「周縁」といったキーワードが飛び交う世界に、どれだけビジネスリアリティがあるのか?といった疑心暗鬼ともいえる疑問に回答のヒントを提供できればと考えました。

集まるアイデア 「共創」が生み出す影響力とは?

http://www.sankeibiz.jp/econome/news/130506/ecd1305060600000-n1.htm

大企業が一瞬でシェアを失う時代 「柵」を見直すとき

http://www.sankeibiz.jp/econome/news/130512/ecd1305120601000-n1.htm

お読みいただくと分かるように、グローバル企業と呼ばれる会社の役員クラスが社内からの新しいアイデアの枯渇に焦りを感じています。能力そのものもさることながら、人と違うコンテクストから獲得する経験の組み合わせ方が新しいアイデア(しかし、それは逆にあくまでも「グローバルコンテクスト」にとって、という意味にもなるが)を生むのではないか、と思せる経過も辿っています。

そこで、6月のlmap勉強会(18回目)は巷に言われる「グローバル人材」なる言葉を四方八方から突っついてみたいと思います 笑。尚、今回のテーマの参考に、「山下範久『ワインで考えるグローバリゼーション』を読む」を紹介しておきます。

参加希望者は、anzai.hiroyuki(アットマーク)gmail.com かt2taro(アットーマーク)tn-design.com までお知らせください。議論に積極的に参加していただける方、lmap の今後の活動に貢献していただける方、大歓迎です。内容に一部変更になる可能性がありますが、その際は、ご了承ください。場所はいつもと同じく、六本木アクシスビル内のJIDA事務局(http://www.jida.or.jp/outline/)です。

6月15日(土)16:00-18:00 「『グローバル人材』って本当にいるの?」

あなたは「グローバル人材」というとどんな人を思い浮かべますか?

何となく世界銀行総裁や国連事務総長をグローバル人材の典型とみて、その下にフォーチュン100社のトップがくるような印象をもっていませんか?じゃあ、アメリカ大統領は?一国の国益を代表する人はやはり「ローカル人材」ではないかと思うのですが、オバマの方が迫力ありますね。とすると、「グローバル人材」ってそんなにエラクない?笑。 

「グローバル人材」という言葉が闊歩しています。さまざまな人が勝手に「グローバル人材」を定義しています。語学力から人間力に至るまで、何でも理想的な要素を「グローバル人材」に押し込んでいる感じです。体育会系国際教養人系宴会幹事とでも?

先日、世界中で講演活動をしているアメリカ人に「どういう国の人が外向きだと思いますか?」と聞いたら、「小国ですね。バルト三国なんてオープンマインドですよ」との答えが返ってきました。ローカルのロジックを突き通せないケースが「グローバル人材」を生む動機になります。とすると、大きな国に「グローバル人材」は育ちにくいと言えないか、ということになります。米系グローバル企業のエリート幹部が「グローバル人材」だなんてのは嘘だ!

今回はデロイトトーマツコンサルティングというグローバルにグループファームを持つ企業に働く岩渕匡敦さんを講師にお迎えします。岩渕さんはボストンで毎年行われるリクルート面接で何百もの人と話し、コンサルティングプロジェクトでは世界中のDeloitteメンバーと連携しながら、日本、北米、アジア、欧州などのマーケットでプロジェクトを推進しています。その岩渕さんが、ご自身の経験から「グローバル人材っているのだろうか?」と問います。

参加定員数:20名
参加費:1500円(18:00以降の懇親会参加費を含む)

講師:岩渕匡敦(いわぶち まさのぶ)さんの略歴

デロイトトーマツコンサルティングのシニアマネージャー。

自動車、ハイテク、通信産業での経営コンサルティングに深い経験をもち、グローバル・ローカルのマーケティング、デジタルマーケティング、カスタマーエクスペリエンス、CRMを中心とした領域に特化。過去5年の全てのプロジェクトがグローバルベースであり、コラボレーションした海外のコンサルタントは数百人に及ぶ。INSEADシンガポール校International Executive Programme卒業。アメリカ、ブラジル、ジャマイカなどの音楽にも深い関心を持ちライフワークとして探求を続けている。

 

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