ミラノサローネ 2009(11)-西欧近代合理主義

先日も取り上げたDESIGN IT ! w/LOVE から今日アップされた「デザインと文化、あるいはフォルムとファンクション」というエントリーをご紹介します。以下です。

http://gitanez.seesaa.net/article/114477762.html

棚橋さんという方は、連日のように(多分、デザイナーの方たちを対象に)日本文化について長文を書いています。デザイナー達はもっと文化文脈を知った上でクリエイティブな作業にかからなければいけないと熱く説いています。この文化文脈でものごとを理解する必要は、なにもデザインに限ったことでなく、例えば「資本主義」もそうです。1990年前後に瓦解した共産主義を前に資本主義は勝利宣言をしましたが、今、「資本主義の終焉か?」という一般受けするコピーが乱舞しています。しかし、どこの資本主義を語っているのでしょうか。ぼくの本のなかでも紹介しました、「米国の資本主義は、封建制度とも教会勢力とも、あるいは共産主義とも戦ったことがない、極めて温室育ちの資本主義であり、それは、現在も社会主義政党が政権をとる力があるヨーロッパ諸国と米国の両文化を明確に区別する大きな理由となる」という大状況をほとんど見ていないと思えます。

さて、デザインです。以下はDESIGN  IT ! w/LOVE からの引用です。

向井周太郎の『生とデザイン―かたちの詩学1』に収録されている「モダン・デザイン」という論考は、モダンデザインと言語、文化、機能と形といったものの関係を考えるうえで、読んでいて「なるほど」と思ったので、おすそわけ程度に。

まず、向井さんは「モダン・デザインの思想は西欧の歴史そのものの固有性に内在する」という、当たり前ながら忘れられている問題をきちんと捉えることの重要を指摘しています。

向井周太郎氏はウルム造形大学でマックス・ビルの薫陶をうけた方ですが、ぼくはこの本を読んでいませんが、デザインにおける「西洋近代性」のゆえんを語っているようです。

モダンデザインには地域や民族、階級などに縛られずに人びとが自由にものを選べるようにするユニバーサル・デザインを理想としました。しかし、当然、それはモダンデザインを推進した西欧の「当時のそれら先進国が直面した近代化の普遍的な問題と深く関連しているのですから、この二重性をあらためて読み直さなければならない」と向井さんが指摘するように、モダンデザインは理想として普遍を標榜しながらも、一方で西欧固有の問題と深く結び付くものであったという矛盾を抱えていることを見落としてはなりません。

西欧近代自身に普遍性があるのではなく、「普遍性を目指すという志向性」に西欧文化の特徴があり、その流れから歴史性を切り離し、更なる普遍性を信条的にアピールしたのが米国文化であるとぼくは考えています。そこででてきたのが、グローバリゼーションという言葉です。例えば、日本文化が普遍性を目指したことはないはずです。しかし、棚橋さんが言わんとすることは分かります。

当たり前のことですけど、このアルファベットを記号体系として用いる西欧の合理精神は、現在のITや情報デザインに分野にも大きく影響を与えているはずで す。HTMLや各種のプログラミング言語であれ、著しく文脈依存性の低い自律性をもったアルファベットの記号体系の延長線上にある。それは漢字仮名交じ り、さらにはアルファベットも交る世界でも稀有な言語体系をもつ日本的思考とはまったく別の世界観であることをもう一度しっかり見つめ直す必要があるで しょう。

大いに影響があります。インターフェースについていえば、漢字文化圏においては視覚イメージ情報がより有効的(ただ、北欧と南欧では後者が視覚イメージ情報を優先するというヨーロッパ内部の差もあります)であり、アルファベット文化圏では記述情報が重視されます(あるいは、せざるえをえないのです)。そこから、アイコンなどの表現も違ってくるわけです。だからこそ、西欧近代の多くを獲得してきた日本が、どうして欧州市場向けの工業製品にそれらの実績を反映していないのかが気になるのです。以下はぼくが評論家の加藤周一が昨年逝去したときの文章を引用したものです。

http://european-culture-note.blogspot.com/2009/02/blog-post_14.html

要するに、棚橋さんの書かれている内容を、欧州向けのローカライゼーションの必要性を逆に説いているものとして、ぼくには読めるのです。

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Category さまざまなデザイン, ミラノサローネ2009 | Author 安西 洋之