ピレッティと語り合おう(5)第一部終わり

1970年代の前半、ロンドンであるテストが行われました。そのテスト結果を雑誌で読んだピレッティは、ひとつの確信をいだきます。そのテストとは、10脚の折りたたみ椅子を並べ、10人のデザイナーに実際に座ってもらい心地よさを判断してもらうというものでした。一回目は目隠し。二回目は目隠しなし。10脚のうちの一つはプリアです。

一回目の目隠しテストにおいてプリアは5位か6位でした。しかし、二回目のテストでプリアは1位だったのです。「・・・・ということは、選ぶのは目であって、必ずしも座りごこちではないということになるね。第一印象は外見にある。このタイプの椅子は、他の用途の椅子とは違い、座りごごちは優先されない補助的なものだ。 長時間座るものではない。よって外観で選ばれたのです。これはすごいことだよ。」とピレッティはあらたな視点を獲得した経緯を語ります。

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彼はこの頃、正確にいうと1972年、 12年間在籍したカステッリを離れます。ロイヤリティ契約もまともになく、自分の努力にみあった報酬が得られていないという不満もありましたが、彼自身の思考の自由が奪われているという感覚が耐えがたかったのでしょう。その後もカステッリのためにデザインをしていますが、彼の立場が違います。

「イームズのエクスプリントという作品を見たときには興奮して、すぐ買おうと思った。わたしには芸術作品と同じだからね。ヴェグネルの椅子もたくさんもっているけど、彫刻品として買ったんだ。こういう風にわたしにはベースとなる規律のようなものがある。 こういう作品が土台になっているんだよ。アートとしての完璧さがないと、わたしは買わないんだ。」

ピレッティは美術学校で学んだデザイナーで椅子も彫刻のひとつと考えているのです。実際、彼はいまも彫刻の制作を続けています。 人によって世界ってこんなに見え方が違うんだ、ピレッティの語りはそういうことを思わせてくれる、そして実に気取りがない。写真でみるように、本当にいい男という表現がピッタリの人物です。

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Category さまざまなデザイン, ピレッティと語り合おう | Author 安西 洋之