ピレッティと語り合おう(3)

ピレッティは非常に珍しいデザイナーです。自由であることにこだわります。そういうと、「デザイナーは皆、同じじゃないの」との反論が聞こえてきそうです。しかし、彼の会社の仕事の進め方を聞けば、「ああ、なるほど」と思うはずです。なぜなら、彼のデザイン事務所は発注者なしにプロジェクトを進め、そして金型設計と製作まで行い、それらをすべて意中のクライアントにまとめて売るのです。「わたしは、画家や彫刻家と同じように自由でいたいのです」とピレッティは語調を強めます。

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「こういう方法をとっているデザイナーは他には知らないね。一時パートナーを組んだエミリオ・アンバースは、わたしの方法を学んだけど、彼がそれを使ってるとは思えない。金型なんて高いものをデザイナーが投資するのはね。わたしは好きで、こうやっているけど。この方法をとっていると、アーティストと同じように自分の好きなことができるんだよ。『見本市出展のためのプロトは準備できたか?』などと人に聞かれるのは嫌だからね。」

ピレッティはリスクをとる側に回ったことによって自由を獲得したのです。たくさんのオフィス家具をデザインしてきた彼ですが、いわゆるオフィスシステムには関心がいきません。あくまでも椅子が彼の興味の中心です。コンピュターがビジネス空間で普及したからといって、それじゃあ全体のシステムをどうこうしようと考えるのではなく、その時に必要な椅子はどうか?という発想をするのです。実際、PCを載せる小さなテーブルがついた椅子を彼は開発し、マイクロソフトが上客になりました。

大量生産されるためのルートをいつも追っている。それがピレッティです。 「わたしは椅子を作って死んでいくのだろう。でもわたしが唯一の人間じゃあない。トネーだってたくさんの椅子を作った(笑)。それが美しかった。まだ生産中だよ。1800年代半ばの作品でまだ生産しているものはない。つまりそれだけ完璧ってことだ。」

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Category さまざまなデザイン, ピレッティと語り合おう | Author 安西 洋之