2009年、パリで渡辺力さんの作品を展示する

昨日、外向きにならざるを得ない話を書きましたが、今日は外向き用デザインの話です。アピール対象を変えるとき、どのように違った見せ方をするかという一例のご紹介です。

インテリアデザインの年明けはパリからスタートしますが、MAISON&OBJET が今月23日から開かれます。JETRO(日本貿易振興会)が今回、”Japan Style 2009 – Phantasmagorical ” というタイトルで、紙をテーマに14社の製品を展示します。その一社にメトロクスが選定されました。渡辺力さんの作品が対象です。

メトロクスのオンラインサイトでは以下のような説明をしています。

http://metrocs.jp/products/detail/241.html

<ここから>

渡 辺力が1965年にデザインした Carton Furniture Series (C.F.S)です。段ボールというリサイクル可能な素材を、完璧な組立構造によって堅牢さを強化。発売当時「4つのスツールで象の体重を支えられる」と 話題になりました。スツールとしてお使い頂くほかに、積み木のように遊ぶこともできます。また段ボールの表面に絵も書けるので、自由な発想を重視する保育 園・幼稚園でも採用されています。

<ここまで>

子供がユーザーになりますが、当サイトでは正統的な見せ方をしています。しかし、今回、パリで展示するにあたり考えました。「ややデザイン、デザインした気取ったラインから外してみたらどうだろう? フランスのエスプリ文化や漫画文化を私たちはリスペクトしていますよ、というサインを送ってみたらどうだろう?」と考えました。かといって、フランス人デザイナーにチラシを作成してもらうということはしません。予算面の制約もありますが、今回は実験的にやってみるので、全てメトロクス社内で作成です。もちろん、欧州で扱ってみようというインポーターがコンタクトしてきてくれるのが狙いですが、そのためにはまず、「あっ、この会社、ヨーロッパのことを分かろうとしているのね」と思ってもらえればいいのです。

出来上がったのが上の写真です。子供と新聞を読むお父さんが仲良く座っているというのは、欧州のユーザーがわりとピンとくるシーンではないかというのがフィンランド人スタッフのアドバイスでした。ぼくは、完成した図をみて、必ずしもヨーロッパのセンスではないかもしれないが、とにかく欧州にアプローチしたい意図は通じるのではないかと思いました。即ち日本の文脈の押し付けからは脱している点は好感をもたれる可能性があると考えています。が、まったく日本のセンスを排除したわけでもないのです。

このスツールが「象をも支えられる」構造をもっているのは、折り紙のコンセプトと通じています。このチラシも上のように、折り紙的プロセスを経ることで製品と全く同じイメージの座面を作りだします。これはメトロクスにとって新しい試みです。今までも、海外の多くの方たちから、メトロクスの商品のセレクションセンスは高い評価をうけてきました。GOOD DESIGNの王道に沿うよう努力してきたといえるでしょう。しかし、欧州市場に出すにあたり、意図的に「外してみた」のです。冒険ですが、このメッセージがポジティブに働けばと願っています。

<本ブログや拙著『ヨーロッパの目 日本の目ー文化のリアリティを読み解く』に関するコメントやご意見は以下のメールアドレスにお願いします>

european.eyes@gmail.com

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Category さまざまなデザイン | Author 安西 洋之