食デザインを時代の記号として読み解くと?

この数か月、新たな本を書きたいなと考え始めています。「イタリアの食デザインの現在」に関する本です。企画書にしてどこかの出版社に打診するというレベルではまだありません。しかし沸々とそういう気になってきた、というわけです。そろそろ、いわゆる食関係者以外の人間が、食とその周囲にあるテーマを多角的につっこむタイミングにきたのではないかなと思うのです。料理本でもない、ファーストフードやマス加工品の害を告発するのではない、広い範囲からの食の捉え方があるだろう・・・と。

ローカルの活性化の話になると、観光と食が語られることが多いです。食はレストランの食と土産品の両方が取り上げられることが多いのですが、ふつうの食加工品で且つ距離のある経済圏に移動するという次元のことが割と把握されていないという気がします。サンケイビズの連載にも書いたのですが、ある日本の地方の加工品のローカライズのプロジェクトをやっていて、高級品ではない加工品を海外市場に出していくにあたり考えるべきことは沢山あります。

一方、イタリアの経済人の動きをみていて気がつくのは、この数年、農業に投資する人が増えていることです。もともとイタリアではビジネスで成功するとワイナリーのオーナーになるというコースがあります。スポーツ選手もそうです。広い農園を散歩しながら自然を堪能し、自分のワインブランドが世界の食卓に普及するのを夢見るのです。が、ワインだけでなく、他の農産品に食指を伸ばしつつあります。オーガニック食品専門の大手スーパーの株主に誰がなっているかをみると、それははっきりとします。一人は「質の高い食こそが、現代の贅沢である」と話しています。

これは、世の中が動いている証拠です。今週、ファッションのブルネッロ・クチネッリ氏のプレス発表にでかけました。彼が使われなくなった他社工場を壊して自然の姿に戻すと語ったのですが、それがブルネッロ・クチネッリという企業ではなく、ファミリーの財団として行うことを強調しました。そして、この会場には自分の上場企業を観察しているアナリストたちがいることを何度も何度も繰り返しました。戻された自然のなかで子供たちがサッカーをする、畑でとれた野菜を自社の社食で使う・・・との説明がありましたが、この決断の肝は、風景という財産の形成にどう貢献するか?です。(←詳細は、次回のサンケイビスの連載コラムを読んでください)

ローカル、風景、農業、文化。これらを目がきく経済人たちが真剣に語っている様子を眺めていると、ビッグデータの動向を追っておくことと同じように、食とその周辺に対する人々の関心のありようを知っておかないといけないことに気がつきます。ライフスタイルのトレンドの理解において、ファッション、インテリア、クルマ、情報空間・・・を象徴的にみてきたように、食が表現する記号を読み取れないといけない時代であるとの認識が求められるのです。

来年5月からは食をテーマにしたミラノ万博がスタートします。ぼくの情報収集や思考もスピードアップできるはずなので、さて、本の下準備を考えようか、という気になるわけです。

 

 

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Category イタリア料理と文化, イノベーティブ思考 | Author 安西 洋之