「枠を超える」とは、いつの間にか枠を超えること

先月末まで新著 『世界の伸びている中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』の原稿に忙殺されていました。同時に新しく立ち上がるビジネスの準備も佳境に入ってきました。本は発売にこぎつけたので一安心なのですが、その合間に、サンケイBIZや日経BPの連載コラムのために人にインタビューしたり文章を書いています。よく知らない人には「文章を書く人」というイメージが強くなっているようです。よく「ジャーナリストですか?」とか「ライターですか?」と聞かれるわけです。基本的に、「何者でもなく、何者でもある」という立場をぼくはとっているので、どう思われようがそれはそれで正解なので、あえて肯定も否定もしないことがままあります。

もちろんビジネスプランナーであることは言います。この言い方は最近ではコンセプトクリエイターと変えたほうがいいかとも思うのですが、もともと会社のサ ラリーマンをやめて成田空港を発つ時、出国カード(あの頃はそういうのがありましたね)の職業欄に「ビジネスプランナー」と書いて覚悟を決めたことに、この名前を使っている理由があります。

最近、ぼくが大学生の頃、どんな仕事をしている姿を望んでいたのかを思い起こすことがあります。ペダンティックな世界に興味がなかったわけではないですが、青白い世間知らずの人の集まりには魅力を感じませんでした。がんがんと突き進むビジネスの合間に、どこか海の近くのサロンで「パスタの作り方」を語り合ったりして、文章もたまに書くような、そんなスタイルに憧れていました。まったく生っちょろいことを夢見ていたものですが、時代が代わり、それが普通のことになってきました。普通というのは、そういう生活を送る人が珍しい存在ではなくなったという意味です。そして、ぼく自身、ビジネスの世界にどっぷりとつかりながら、1週間に5-6回はパスタを食べる日常生活をイタリアで送り、有名無名を問わず、イタリアオヤジに趣味生活を聞いて人生の知恵についてコラムを「趣味的」に書いている生活をしているので、大学生の時に夢みたスタイルはかなり具体化しているのか・・・と思うのです。

ぼくが自動車会社のサラリーマンをやめたのは、自動車の世界も面白いが、それだけでなく色々な世界に生きたいという気持ちが最初にありました。これは高校生の頃からの「世界の全体に関わりたい」という夢の延長線上にあったのですが、それが何十年も経て「従来の分断された分野を超えた経験と知恵が必要」と盛んに言われると、どうしたものかなあ、とも思います。そういう時代の到来は大歓迎ではありますが、枠を超えた経験を長く続けること自身がかなり難しいとの実感があります。かなり個人的な好奇心やエネルギーに関わることなのです。要するに「枠を超える」とは枠を超えようと頭で考えることではなく、いつの間にか枠を超えることです。頭で超えようとして超えたと思っている時は、まだ超えていないのです。また、少々飛躍しますが、それが「何者になろう」と思う人の弱さです。何者は常に枠を設けるからです。

いや、特にぼく自身の人生を肯定するためにそう言っているのではなく、これは何においても普遍的なルールのようなものだと思っています。まあ、そういうわけでというのもないのですが、さ来週からやや長い期間、日本に滞在します。長野や広島と地方にも行きます。会う人はあらゆる分野にまたがります。冒頭に書いたように、今、新しいビジネスの佳境に入ってきており、この1-2か月に1年分のエネルギーを注ごうと思っています。まず、6月26日、バングラデシュのバッグを日本と台湾で展開しているマザーハウスの山崎大祐さんとのパネルディスカッションです。どうぞ、ここでお会いしましょう。申込みは以下からお願いします。

http://www.jida.or.jp/site/information/innovation

 

上の2番目の写真は、ブルネッロ・クチネッリがメモを書いているところです。© Satoshi Hirose Studio

 

 

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Category ローカリゼーションマップ, 僕自身の歴史を話します | Author 安西 洋之

Comment

  1. Washington 

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