ミラノサローネ2013(3) 女性的な視点とは?

約2週間前に「『スローファッション』のアイデアを探る」を書きました。

十和田の裂織は世界に数多ある伝統的生地再生技術の一つであり、かつそれらの間にある共通点を見つめることでプラットホームのコアになれるのではないか?という問題提起から、ぼく自身も「自分ごと」として動き始めました。コンセプトは、1)伝統的再生技術 2)マスカスタマイゼーション (例→ 新品商品に自分の古着を切り裂いた生地で自分なりのポケットをつける) 3)リバース・イノベーション(例→ 田舎で活用されていて存在感がなくなりつつあるテクニックが、他の地域の伝統テクニックと融合されて都会で活用されていく) という3つのキーワードから成ります。この2週間もミラノ工科大学のファッションコースの先生とワークショップの相談をしたり、L’HUBのオーナーと協力のあり方について話し合ったりしてきました。あるいはファーストファッションの企業に提案する構想を練り、彼らの商品としては売れないB級品の活用法についても考え始めました。

一方、このプロジェクトを主宰している佐野里佳子さんは3月19日に The HUB TOKYO で開催されたスパーク・プラグというビジネスアイデアのコンテストで優勝しました。ファッションを社会問題の解決の糸口とする事業に一番多くの票が投じられたというわけです。さっそく聴衆の一人だった中国人投資家からのアプローチを受けるなど、各方面から高い関心が寄せられています。

このプロジェクトのコンセプトには世界で通用する普遍性があると考え推進していますが、L’HUBで指摘された点には「なるほど!」と思いました。上記 3)のリバース・イノベーション の視点が高く評価されたのですが、「女性的視点が含まれていることに意義がある」というのです。「女性はいつもあまりものや不要なもので、身近な生活を維持し豊かなものにしようとしてきた」というエッセンスが、女性的視点の導入による社会変化の大切さが叫ばれるなかでフル活用されていることに注目してくれたのです。ここで女性的な視点とは、単に性としての女性の視点ということだけではなく、従来男性が力を発揮できずにいた領域を切り開く目線との意味合いととらえていいでしょう。

特に経済的苦境に陥り社会に行き場がなくなる一方のなかで、自らの周囲を大事にしながら明るくサバイバルするための知恵やメンタリティはもっと重んじられてしかるべきだと思います。「当たり前の日常生活の確立」が、このプロジェクトの底流にあるのだと女性的視点との言葉から再認識しました・・・・さて、ここでふっと思いました。このテーマはまさしくイタリアのライフスタイルのことを話しているのではないか?と。「この裂織りを発信地としながら世界各地の再生技術と融合を図り、エスプリの効いたオシャレなサバイバルを目指す」というのは、イタリアが実験の舞台として相応しいのだあらためて思いました。

今年のサローネをこういう文脈で見て回ってみようという気になっています。

このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

Category イノベーティブ思考, ミラノサローネ2013, ローカリゼーションマップ | Author 安西 洋之