新興国の動向を何処で掴むか?

昨晩ミラノに戻ったのですが、9時ごろに空がかなり暗くなっているのをみて「もう、こんなに日が暮れるのが早くなったんだ」と気づきました。もちろん東京の夜9時は真っ暗ですが、1日前に経験していたことを比較するのではなく、10日以上前のミラノの空が一瞬にして比較の対象になる・・・・こういうふうに経験って層別化されているんだと改めて思いました。全ての経験が連続的に並んでいるのではなく、それぞれカテゴリーに収まっているわけです。「夏のミラノの夕暮れ」「夏の東京の夕暮れ」というそれぞれのなかで瞬時に比べられるよう記憶が整理されています。

さて、約10日間の日本滞在中に割と驚かれたネタがあります。「今、ヨーロッパの高級レストランやファッションのお店の上得意はブラジル人ですよ」と話すとエッ!という表情をされることが多かったです。ブラジルが景気が良いのを何となく新聞で知っていても、それが実感になっていないんですね。「中東、中国、ロシア・・・ときてブラジルという順序で富裕層ブームが到来してきたのが目にみえる」と説明すると、納得した顔をします。ブラジルの金持ちが銀座を群れをなして闊歩しないし、インドネシアのバリ島の高級ホテルに大挙することもないのでしょう。

日本でブラジルは日系移民の出稼ぎの印象が強く、高級レストランに入り浸っているなど想像もしていないんだなと感じました。一時期、ヨーロッパで気の利いた連中が「来週はドバイだよ」と話していた時、日本からドバイはそこまで近くはなく、ドバイが情報の拠点として認知されたのはもう少しあとでした。ブラジルをよく知る友人に聞くと「ブラジル人はアメリカに抑えられてきたから、まずヨーロッパかもね」とのコメントが返ってきました。世の中のトレンドのつかみ方はいろいろありますが、お金を持ち始めた人たちがどこに最初に旅するか?は貴重な指標になります。

コンテンポラリーアートの国際サーキットが北米と欧州がメインであることに見られるように、アートが好きなブラジル人もこれらの地域に出かけ、ミシュランの星つきのレストランで食を楽しむのでしょう。東京はミシュランの星つきレストランが多いと言いますが、世界中からそれを目指して富裕層が押し掛けるという現象には至らないのだと思います。アジア圏の国々の一部の人が東京の限定された場所に「生息」するのを観察することができますが、成長著しい国でお金をもった人たちの動向が何気に眺められないのは、日本の人たちが世界でビジネスをするにあたって大きなハンディではないかなと思います。

かつてバブルの時代、日本の自動車メーカーのデザイナーたちが高級とは何か?を実感するために、芦屋の住宅地をドライブしたり帝国ホテルのスイートルームでブレーンストーミングをしていました。一方、フェラーリであれブガッディであれ、これらの高級車のデザイナーたちが、わざわざモンテカルロのカジノで金持ちと付き合うマナーを身に着けに行ったなどと言うエピソードを聞いたことがありません。京都の隠れた場所で日本の洗練された美学に接する外国人は、新興国の最初にお金をもった人たちではなく、先進国のインテリか新興国の2代目になるでしょう。とすると、新興国の動向を知るにニューヨークやパリに足を運ぶ習慣ももっておいた方が良いということになります。

 

 

 

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Category ローカリゼーションマップ | Author 安西 洋之