チャートで構造を語ろうとしない!

今朝、日本に着きました。街全体が汗をかいてジトッとした匂いがありますね。

ウィーンからの飛行機の約10時間、モレスキンのノートに本の目次案を書いてきたのですが、なかなか満足がいきません。実は今年のはじめから何度も何度も書き直しています。今までの二冊はどちらかといえば読者層をある程度想定していました。一冊目は書店の社会学や異文化社会論の棚におかれること、二冊目はビジネスやマーケティング。しかし、今回は新しい読者層を見つけるという目標があります。

今春からサンケイBIZに毎週連載コラムを書いていますが、これは一昨年から1年間、隔週に連載した日経ビジネスオンラインと違います。ある意味、日経ビジネスオンラインのほうが楽でした。有名企業のローカリゼーション事例を取材して書けば、その企業名で自動的に読んでくれる人がいます。しかもカタカタ英語が書きやすかった。が、サンケイBIZではカタカナを極力排除して書くようにしています。読者層が違うのです。新聞記者は小学6年生が分かるように文章を書くのを目標とすると言いますが、それを心がけてもカタカナや抽象的な単語をクセで打ちやすく、それらを易しいひらがなに直すようにしています。

そしてなによりも有名企業名をタイトルに出さないで、読者の注意を引かないといけないわけです。そのために1500文字で一つのことしか語らず、事実説明で押し通し、結論は200-300文字に留めるとの指針を自分に課しています。しかし、1000文字くらいのところで抽象的表現が出てきてしまうのです。このブログの読者はお分かりのように(!)。それを引っ込めてあと一段落、事実を書き連ねるのが思ったより大変です。この数回は、ローカリゼーションという言葉も「禁止」に追いやりました。ローカリゼーションという言葉を使わずに、ローカリゼーションを考えてもらうのです。それがぼくのトレーニングです。

すると、こんなことを考えます。考え方を伝えるにいくつかの方法がありますが、その方法に伝えられる内容は限定されます。今、ぼくが使っている方法だと、以下の順序で「伝わった」との実感があります。動画がなかに入ることがありますが、動画だけで伝えることはありません。

会って一対一で話すこと > 書籍の文章 > チャートと静止画を使ってのレクチャー

上記のように並べてみましたが、読解力のある方が本気で読んでいただけたら、一冊の本のほうが対面の話よりも有効かもしれません。2時間の対面より2時間で本を読んでくれた方が、情報量は圧倒的に多い。問題は情報量だけではありません。2時間の読書のほうが圧倒的に何かをつかみ取ろうという意欲が強いケースが多いのです。そして、記述は全体の構造から切り口のディテールまでを全てカバーします。プレゼンでのチャートや静止画にはそういう威力がありません。チャートや静止画は切り口です。構造の説明には至りません。しゃべりがメインでそれらが補うという補完関係にあるものの、レクチャーでチャートを出すと聞いている方の写真撮影率が一挙にあがります。

現在、構造の把握よりも切り口への食いつきが良いのは、書店に並んだ書籍のタイトルを見ても分かります。それだけ「切り口の時代」なのです。だからこそワークショップが必要になります。文章での構造把握が低調な分をワークショップで補わないといけないのです。切り口をみせる易しい言葉を使った書籍+ワークショップという組み合わせが受けやすいのは、こういう背景があると思います。チャートで構造を見せようと思うと失敗します。これは文章かワークショップに任すのが良いと考えています。

・・・という流れを読みながら、冒頭に書いたように本の趣旨を弄繰り回して半年がたってしまったというわけです。何とか結論を早急に出したいです。明日は名古屋の中部産業連盟で講演、土曜日は六本木で勉強会、来週の木曜日は表参道で日経デザイン主催のレクチャー+ワークショップです。残りの日もレクチャーやワークショップを企業内向けに行います。今年はローカリゼーションマップのワークショップ元年としましたが、着々とその道を歩んでいます。

ああ、それにしても、実際に自分でやってみないと分からないことが多すぎる!

 

 

 

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Category イノベーティブ思考, セミナー・講演など, ローカリゼーションマップ | Author 安西 洋之