プロダクトデザイナーの弱点克服講座(1)

プロダクトデザイナーが服をデザインするとダサいなぁと前々から思っていました。なにか硬い。ぎこちない。古い例でいえばカーデザイナーのジュージャロのファッションブランドもスマートさに欠けました。あんなにもかっこいいクルマをデザインしていたのに。ファッションデザイナーとプロダクトデザイナーではコンセプトイメージのつくり方に違いがあり、それが影響しているのかもとも考えました。前者が抱くイメージが「動画」であるのに対し、後者が「コマ送り」という違いが、そこまでの表現差を生む要因があるのでしょうか?それで考えました。ファッションデザイナーがプロダクトデザイナーにファッションの描き方を教えるワークショップをしてみたら、プロダクトデザイナーのダサさの原因が分かるのではないか、と。

今月ミラノのデザイン学校を卒業したばかりの2人に生徒になってもらいました。一人はプロダクト、もう一人はインテリア。ファシリテーターは「セント・マーティンズ大学について語ろう」で紹介したファッションイラストレーターです。2時間で行ったワークショップの内容をメモしてみます。道具はA4の紙と鉛筆です。「マークメーキングが大事。点、線、面の違いをよく理解すること」との注意のもと、まず、スケッチです。近くにある花を30秒で描きます。マックス60秒。頭で考える前に描ききるのがポイントです。できれば、これを何度も繰り返すのが良い、と。

次に紙を折るところからスタート。「ファッションですから、紙は縦に使い、4分の1ずつに折り、一番上だけもう一回折って下さい」とい指示がでます。八頭身の折り目を作ったわけです。どの位置に顎、乳首、へそ、足の付け根、膝がくるかを説明し、筋肉や関節の描き方を教えます。レオナルドの人体図を想像すればいいでしょう。男性の位置を確認し、女性はそこから若干下げていきます。ここで大事なのは、一本線で描かないこと。人間の身体は節々があるので、一つのラインで描ききれない。どこをとっても直線はないことを自然と理解します。プロダクトデザイナーは「そうかあ、ぼくたちは輪郭をとることに一生懸命になるんだよなあ・・」と呟きます。

ここで一呼吸おいてファッションの歴史です。ブログで紹介したパターンの遷移を話します。ジャズエイジは直線的であったとか、アレです。ファッションは丸、四角、三角、直線などの組み合わせでできているという基本を頭に入れてもらうわけです。とすると、ベースができました。人体図に三角やマルを加えていけば、ファッションの基礎ができます。

カタチの組み合わせのパターンをさまざまに試みることで、ファッションのパターンが見えてくるのが分かるでしょう。このあと、もう一度、マークメーキングの練習です。ブラインドドローイング。鉛筆をいろいろと持ちかえ、芯を多様に扱うことと、「自分の思っていないことを出してみる」ために、目をつむって描き切ります。ファシリテーターがイメージする言葉を提示していきます。「水が外に向かって波紋を広げる」「ぐちゃぐちゃ」「大雨」「爆発」「雷」「ふわふわ」「スパイラル」「水玉」。これらはスケッチをかいている2人の鉛筆の使い方を見ながら、まだ使いきれていない部分を使わせるために次々にお題を与えていくのです。

「目をあけたまま、自分の思っていないイメージがでてきたらベストなんですけどね」とファッションイラストレーターは語ります。ぼくたちはいかに目に見えるイメージに引っ張られ過ぎているかに気づかされます。言葉と視覚イメージがコミュニケーションの重要なコンテンツになりますが、その視覚イメージを自分が普段意識しない層からどうもってくるか?が問題です。

 

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Category イノベーティブ思考 | Author 安西 洋之