韓国のNAVERとサムスンの戦略のあいだにある共通点は?

日本滞在記です。今週も企業でローカリゼーションマップのレクチャーをしたり、今後のプロジェクトの種まきに大阪に出かけたりと走り回る日々でしたが、印象的なことをいくつか書いておきます。

今の時代は何に象徴されるか?特に日本で特徴的なのは何か?を考えるとき、「明示的に決して説明できないことに対して、明示的な回答を求める焦り」です。ある状況に70%の説明が可能だとしても30%はほぼ無理であるにも関わらず、その30%が無理であることを理解できないために、70%の延長線上のロジックで説明できないことに精神的焦燥感があると思います。そういう説明不可能の部分が何もない、ということは非現実的であるとふつうの大人は知っているはずなのに、そのラインを踏み越えたいという欲求に勝てない人が少なくない。

このような人たちが日本にはことさら多いなと思います。これは暗黙的コミュニケーションを前提としたハイコンテクスト文化からの脱却願望でもあるでしょう。それが明示的であろうとし続けてきた西洋文化圏で暗黙的であることを受け入れることに、そこまでプレッシャーがかからない理由です。しかも、その30%を巡ってリーズナブルではない時間とコストがかかっています。70%を確実におさえたほうが圧倒的に勝率があがるのですが、70%に霧がかかっているままにしておいて30%の雲上にのぼろうとしていると思います。人の心のやっかいなところです。

水曜日、東京ビックサイトのライフスタイル展に出かけました。このブログを運営しているメトロクスも出展しており、ぼくの関わっている製品のマーケットの反応を知っておくために見学に行ったのですが、こうした分野で動く人たちのタイプが変わってきたなあと実感しました。より中性的な部分にスポットができている。これまでメインだった女性の一部が男性的な部分に惹かれ、マイナーだった男性の一部が女性的な重力に引っぱられていることです。あまりに当然の理のごとく・・・。

さて、鳴海製陶のOSOROは、食器のシステム概念をしっかり作っていて感銘しました。デザインは田子学さんです。日本では、このようにシステム概念をきわめてはっきりとした輪郭で描ききったデザインは少なく、そこに大きなインパクトがあります。あえて、ぼくのなかでの自問ー今、考えているところーしている内容を問題提起として書いておきましょう。このシステムを採用するのは、ユーザーにとってライフスタイルの選択でありますーそれは一枚の皿を買うとは違うところに、このシリーズの意味があると考えるユーザーという限定ですがー。ここでターゲットにしているのは、必ずしも「理想の食生活」ではなく、どちらかというとレトルトも含めた「妥協的食生活」です。

欧州でいえばレトルトを多用する「妥協的食生活」とは英国に代表され、南ヨーロッパでも普及が急速に進んだと思いますが、大きな差があります。そこには 「妥協」のレベルにずいぶんと差があります。幸か不幸か、日本は妥協であることが妥協であるとはまったく意識されず、「妥協のほうがおいしいじゃない」と の表現が説得性をもっているとも言えます。このOSOROは日本国内だけでない市場を念頭に置いているのだろうとの前提でいうならば、「妥協的ポリシー」 にどれほどに積極的な意義をおいたうえで踏み込んでいるのか?を考えました。コンビニであれ何であれ、便利さが世に広まることをぼくは歓迎しますが、「妥 協の文化差」を意識すべきではあろうと思います。

 

金曜日はローカリゼーションマップのワークショップをやったのですが、ある考えや気づきを自由に表現してもらうこと、それらまったく同じ内容を限定的な選択肢のなかから選んでもらうこと、この二つの間には大きな乖離があると思いました。表現の評価に厳密な定義がない限り、どんな差異も差異として見えてこない。見る人の基準と範囲によって解釈が変わる部分が大きく、結論的にいうなら、それは第三者だけでなく本人自身が「気づき」の差異を認識するに至らないケースが多々あることになります。

昨日の土曜日はローカリゼーションマップの勉強会「検索エンジンとローカリゼーション」。講師は検索エンジンの第一人者の井上俊一さんで、使われたスライドはここにアップされています。アップル、アマゾン、グーグル、フェイスブック、これらの4つがスケールの論理で如何に世界の状況と動向を握っているかーいわば個人情報を掴んでいるかーを指摘してくれました。それでも、これらの4つのコピーで対抗しようとする無理を重ねる試みが沢山あります。そして予想されたように死屍累々が続くわけです。

しかしながら、ぼくがここで感じたのは、これら4つが存在感を増せば増すほど、対抗勢力が違った路線をとってくることの期待です。ひとつは西洋的ユニバーサル文化をベースにしてグローバル文化を追加したロジック。これは、スケールで勝負してきます。二つ目は、スケールにのらないロジックです。その場合はグローバル文化と衝突しないローカルにある現代的ライフスタイルに適用されるロジックです。

自分が企画して決断を下すことに価値をおくー生理的というほどにその必要性を感じ、そこに自分の生存理由を見出す人は多数ではないけれど、極めて少数であることもないアメリカにいないー人たちが、コトをおこすなら後者を選択します。韓国のNAVERの戦略とサムスンの戦略のあいだにある共通点を見出すところに一つヒントが「転がって!」いそうです。井上さんのスライドをよく読んでみてください。

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Category イノベーティブ思考, ローカリゼーションマップ | Author 安西 洋之