メトロクスものがたり(8)-欧州モノへのスタート

1996年、ぼくはミラノではじめて下坪さんと会います。下坪さんがヨーロッパ路線のものを本格的に増やそうと考えていたときです。モダニカの看板を掲げているので、店におく商品はモダニカ(アメリカ)製品が多くを占めるという当然のルールと自分の好きなデザインを扱っていけないとのジレンマに悩まされていた時期です。下坪さんはぼくに ”L’UTOPIE DU TOUT PLASTIQUE 1960-1973”の本を送ってきて、ここに掲載されているジョエ・コロンボを中心とした製品をイタリアから輸入したいと言ってきました。

そこで、ぼくが出したアイデアは、並行輸入はやらず、正規ルートでメーカーから購入するビジネスをするということです。つまり既に日本とビジネスが進行している中に横はいりするのではなく、デザイン事務所やメーカーと正面から向き合えるビジネスを発展させることを提案したのです。下坪さんは、アンティークの世界で商売をしてきたので、著作権やメーカーの事情にあまり強くありませんでした。一方、ぼくはアンティークとは無縁でした。彼のように古いデザインにさほど詳しくもありませんでした。しかし、ぼくがデザイン事務所やメーカーの文化を知っていることが、彼の助けになると考えました。

ぼくはジョエ・コロンボのデザインにどんなものがあるかを本でリサーチし、デザインの著作権を誰がもっているかを調べ、そして肝心の人間からどの製品なら我々が扱えるかを実際に聞いたのでした。そうした下準備ののち、下坪さんとミラノ郊外にあるオールーチェを訪ね、スパイダーの限定生産について協議したのです。まだ金型があり、復刻することは可能だが、最低生産数量は50と言われました。もちろん今では全く問題ない数ですが、その時はどうなるかも全く分からないビジネスですから、50にもどきどきしました。

現在、オールーチェがスパイダーを通常の量産品で扱っているのをみると、かなり感慨深いものがあります。今、”L’UTOPIE DU TOUT PLASTIQUE 1960-1973”に掲載されている商品で、扱った経験のある商品あるいは現在も扱っている商品を数えてみました。ジョエ・コロンボ「ボビー」「ランプ281」、ボネット「マガジンラック」「QQ」、ピレッティ「プランタ」、マルティネッリ「モデル643」、ソットサス「ウルトラフラーゴラ」、デパス他「ジョー」、スーパースタジオ「パッシフローラ」、ザヌーゾ「ドネイ21」、ザヌーゾ&サッパー「アルゴール11」・・・と随分あります。なかには他インポーターから仕入れている製品もあります。

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Category さまざまなデザイン, メトロクスものがたり | Author 安西 洋之