メトロクスものがたり(6)-イームズのブーム

アンティークをメインとするメトロポリタンギャラリー以外にも、20世紀半ばのアメリカンデザイン家具を中心として扱う米国モダニカ社の「モダニカ札幌」というポジションもありました。日本のモダニカは東京が中心で、名古屋、福岡、そして札幌は下坪さんの会社が運営するという協力関係が形成されました。メトロポリタンギャラリーで開催した「‘60年代の室内」という展示会に、雑誌編集者などと共に、モダニカ関係者が訪問してくれたのが契機です。そして、ここでイームズのシェルチェアがヒットします。札幌のお店で4万円の椅子が毎日一脚は売れたのです。

米国のモダニカが新聞に広告を出し米国全土からシェルチェアを買い集め、5桁にのぼる在庫を倉庫に積み上げ、それを大々的に米国、英国、日本で売り出しました。従来のアンティークショップより、モダニカは1-2割高い価格でした。しかし、アンティークショップでは2-3脚が販売ロットだったのに対し、モダニカは100脚をいっぺんにすぐ用意できたのです。日本で評判となったのは、もう一つの幸運があります。雑誌『ブルータス』がイームズの特集を組んだのです。これがイームズブームに火をつけました。

その頃、パントンチェアがヴィンテージものとして6-7万円したのですから、4万円のシェルチェアは割安な価格です。しかし、シェルチェアブームには別の意味もあります。それまで、イームズの椅子は建築家やデザイナーが買うアイテムでした。それが20代の普通の女性も買うようになってきました。それまで彼女たちがデザインという時、雑貨、それも花柄のファンシーな商品がメインでした。その彼女たちがインテリアの椅子に目が向くようになったのは大きな変化です。70-80年代に「自立しはじめた女性」が、90年代になって余裕がではじめてきたという時代背景とも関係があるでしょう。

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Category さまざまなデザイン, メトロクスものがたり | Author 安西 洋之