ミラノサローネ2012(12) イケアの文脈の読み方

昨年、ミラノ東北のランブラーテ地区を「イタリアデザインの出口というより、外国デザインの入口である」と書きました。今、そのランブラーテの地下鉄の駅を外に出ようとすると階段の手前に下のようなイラストが壁に貼られています。

「あっ、やったな!」と思わず感嘆の声がでました。もともと工場や倉庫などが多かったのがロフト感覚あふれるゾーンに変わりつつある、そのムードにイケアのブランドイメージがばっちりと合うのです。オランダや北欧群のデザインが溢れ、イケアがポリシーとして押し出す「公平感」がこの地域の文脈と嵌ります。イケアがトルトーナではなくー数年前にトルトーナで出展したことがありますがー、このゾーンで新作発表の展示を行うことが如何に戦略的であるかが見えます。

このメッセージがあるギャラリーの壁に貼ってありました。この近くでイケアは商品を展示しているわけです。このギャラリーの向かいでは英国のRCAの学生たちがコンセプチュアルな作品を多く出しています。時間や経済的な価値の見直しをテーマにした展示があるなか、中庭では「ミラノでお金を作る」というパフォーマンスまでしています。

もちろんイケアは周辺で展示される作品を事前に知って展示場所を決めたわけではないでしょうが、抜群のロケーションです。その次に、ぼくが気になったのは、analogiaproject です。ロンドンで活動する2人のイタリア人の作品です。構造を釣り糸ですべて不可視にしてウールでカタチを作っています。近くでみると縦横ななめに細かく張り巡らされた糸が見えますが、これは「究極のミニマリズム」ではないかと思いました。そして「究極のミニマリズム」とは近寄りがたい存在のことである! 笑。

アイデアと存在感で光っているのは、オランダの Studio Smeerolie です。プレゼントされた花を自分の都合の良い時に受け取れるサービスです。しかも、花を飾っておく物理的システムがあります。花の循環システムとその可視化が実現されていることになります。

デザイナーはメディア、文化、心理学、デザインなどを勉強してきた女性です。人や社会にとって不足している部分をみつけ、新しいシステムを作ってゆきたいと語ります。サービスデザインをやる人には、こういう明るさが欲しいなと思いました。

今日も最後に日本人デザイナーの紹介をしておきましょう。福定良佑さんです。プロダクトデザイナーで家具などをデザインしているなかで、個人的な思いを表現したくなったそうです。そこで家具のカタチをしたお菓子を作りました。ポルトガル人とのコラボです。カステラはポルトガル生まれだと思っていたら、ポルトガル人の知恵に基づいた日本のお菓子だと知ったところに発想のスタートがあったとのことです。遊び心のあることをやっているデザイナーの笑顔はいいです。

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Category ミラノサローネ2012 | Author 安西 洋之