ミラノサローネ2012(11) 記憶に残るデザインを目指す

サローネの若手デビューの場として1997年からスタートしたサテリテが15周年を迎えました。そこで過去の入賞者が招待され「その後のデザイン」ブースを構えています。15年前からサテリテを見学してきたぼくには、この15年のサテリテの「変貌の結果」が本当に良いものなのか?という疑問が頭をよぎりました。最初の頃、そこはロックンローラーの世界だった。学生か卒業したばかりの若手たちが、「ガレージでアイデアをカタチにしてきました」というムードが強く、「製品化したいんならしてみたら?でも、それにはちゃんとコンセプトを理解してよね!」と言うとあまりにエラソーですが、そういう感じがなきにしもあらずでした。自分で商品化の筋書きを書くのではなく、「アイデアを出すから、あとは考えてちょうだい!」という場でした。

今のサテリテを端的にシンボライズしているのは、この上の写真にあるインド人デザイナーのブースでしょう。自らの笑顔の写真を大きく出しているところなど、ロックンローラーの世界とは縁遠いです。良いデザインであるとぼくも思ったのですが・・・とにかく、「ここまで製品化検討をパッケージで考えました」という隙のなさが良くも悪くも目につきます。ファブリカ・デル・ヴァポーレでマエストロクラスのデザイナーも均等スペースー合計200!-でアイデア発表しているAutoproduzione a Milano(↓) となんとも対照的です。

プロトタイプで小さく細かく勝負していこうという時代に、サテリテに出ているデザイナーは商機を見出すことに焦るあまり、自らの強みである「自由奔放な発想」を切り捨てているように見えてしまうのです。その意味で、ベルギーで世界の集合知を生かす試みを1997年から行っているaddictlab.com に好感がもてます。↓の彼です。

また、自分のアイデンティティを形作っている親族が死んだことをきっかけに、その家にあった記憶をリデザインすることが自分がデザイナーになるきっかけであったと語るポルトガル人の女性の世界に「らしさ」を思います。ぼくは最近の「共感が重要」と叫ぶ姿をあまり好みませんがーそんなことに今ごろ気づくな!と言いたいー、彼女と話していると「共感」とは何であるかをよく心得ていると思います。

サテリテを後にしてサローネのコンテンポラリーデザインを見に行きました。CASAMANIAは大物家具とは一定の距離をおきライフスタイルを提案して伸びているメーカーです。ここに、茨木千香子さんの作品があります。

昨年、ランブラーテの倉庫で開催されたデザイナーズ・ブロックの一角で偶然にみかけた彼女の本棚が気になってこのブログで紹介しました(↓)。そのデザインが、このようにして大手メーカーのブースで紹介されているのを見ると、やはりうれしいです。この作品は見ての通り、デザインのロジックそのものが記憶に残ります。

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Category ミラノサローネ2012 | Author 安西 洋之