『ヨーロッパの目 日本の目』-3

ぼくがこの本で語りたかったのは、「ヨーロッパ?なんか色々と勉強しないと、付き合えそうになく、面倒だなぁ」と一歩身を引いてしまわないためには、欧州文化に対してどういう見方をすればよいのか?ということです。欧州文化を理解するには、古い教会や美術館にある、あの膨大な宗教画が分からないといけないという思いにとりつかれすぎている日本人が多い。この点を打破しないといけないのです。

確かに欧州文化を作る重要な要素であるキリスト教の理解があれば、それに越したことはないでしょう。が、自分の目線を意図的に欧州人寄りにすることで、日常の世界から見えてくることが、もっと自然に目に映ってくるはずなのです。自分の尺度が日本のものであることを自覚し、それが欧州の尺度とどれほどの差があるものなのか、それが分かると(あるいは勘がつくと)、欧州文化がまったく違ったものに見えてきます。重さや軽さという表現は、絶対的な重量を言っているのではなく、その文化の全体の価値観のなかで相対的に決まってくるわけです。このことは、以下の「2008 ミラノサローネー日本人のデザイン」で触れました。

http://milano.metrocs.jp/archives/186

上の帯のフレーズを読んで「あれっ?」と思う方がいれば、かなり熱心にこのブログを読んでいらっしゃる方です。10月のはじめ、ぼくが日本の国際関係論の教授とお会いした時に、彼が語った台詞そのものなのです(下記)。しかし、そのとき、このフレーズと同じ内容が既に出版社側で作られていました。が、最終決定はしていませんでした。この教授が「偶然」にも語ったフレーズが最終決定へと促したのです。

http://milano.metrocs.jp/archives/366

冒頭で、欧州文化に対する知識を溜め込むことができなかったことに敗北感を抱く必要はないと書きましたが、ただ、どういう道筋でコトが成り立ってきたかを、代表的な事例をもって知っておくことは欧州ロジック理解に役にたつだろうと思います。その一つとして、本書ではEU成立の経緯そのものを欧州文化の特徴を理解する手立てとして紹介しました。また、デザイナーのピエール・ポランがインタビューで語ったフランスの歴史も引用していますが、これも欧州における「国際性」を知るにキーとなるであろうと思ったのです。

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Category 『ヨーロッパの目 日本の目』, さまざまなデザイン | Author 安西 洋之