ホテルマンが一瞬目を逸らすとき

よく日本の「おもてなし」のサービスが話題になります。きめの細かいところまで神経が行き届くことを指します。一方で、タイのホスピタリティの質の高さもよく語られるところです。たとえば、マンダリン・オリエンタル・バンコクについてウィキペディに次のような記述があります。

「1人の宿泊客に対して4人のスタッフがついている」と称されている程の、タイ風のきめ細やかなサービスが世界的に高い評価を受けており、そのサービスは、インスティテューショナル・インベスター誌やコンデナスト・トラベラー誌などの権威ある雑誌による調査で常に世界のトップクラスに選ばれている。

ぼくは残念ながら、このホテルに泊まったことがありません。でも、タイに二度旅した経験から、タイ風のきめ細かいサービスがどんな点を言っているのか、なんとなく分かるような気がします。やはり、客の欲することへの想像力が優れているのでしょう。日本の「おもてなし」が独自なスタイルを伴い、そのスタイルがそれなりに評価もされているなかで、日本の「おもてなし」に欠けていることがあるとしたら、なんだろうとも思います。いや、ぼくは日本のホテルや旅館のサービスが、世界レベルの調査のなかでどう評価されているか知りませんが、ぼく自身が日本で気になることがあります。

ぼくが、日本でこの15年近く定宿にしてきたホテルは、常時ロビーに沢山のスタッフを配置していました。アシスタントマネージャーも必ずいて、ぼくはそれらの人とほぼ顔なじみであったと言って良いでしょう。そして滞在中、何度もロビーを通過します。したがって、何度も顔をあわせます。で、気がつくのは、たまに客を見なかったフリをするスタッフがいるのです。目での挨拶を避けるための本能的な動作です。彼らも、実際に話せば、まったく普通に話すサービスマンです。しかし、一瞬、怠惰になるのです。躊躇ではなく怠惰。それはきっと目で挨拶することが、DNAのなかに組み込まれていないからではないかと思うほどです。

イタリアのホテルでサービスマンが客を無視するなら、それは堂々と無視をしている。頭にくるほどに無視する。中国料理屋に入って中国人のウエイターにも無視されることがある。でも、それは日本のホテルで味わう、あの一瞬の怠惰とはどうも違うのです。挨拶すべきと任じているからこそ、怠惰になる一瞬。そこで、あれか?と思い出します。イタリアの0歳児からのあまりの人懐っこさ、です。道端で公園で出会う赤ん坊たちの何ともいえない笑顔。日本の赤ん坊と決定的に違う微妙な差が、あの人懐っこさにあると考えているとき、タイの赤ん坊はどうなんだろうか・・・と思いました。他人を目にしたとき、一瞬、腰をひくようなことが、タイの赤ん坊には少ないのだろうか・・・とするなら、マンダリン・オリエンタル・バンコクの評価の高さがよく分かります

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Category その他 | Author 安西 洋之

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  1. [...] This post was mentioned on Twitter by shint@ro→, 安西洋之. 安西洋之 said: 日本の赤ん坊と決定的に違う微妙な差が、あの人懐っこさにあると考えているとき、タイの赤ん坊はどうなんだろうか・・ [...]