目次のない旅がはじまっている

旅がより重要な時代に入ってきたと思います。それも目次のない旅です

70年代、ジャンボジェット機によって国際大輸送時代に入りました。それまで海外に飛ぶことなど考えたことのない人が、低価格で文字通り大陸を跨ぐことができるようになったのです。そして、「百聞は一見に如かず」という感想を多くの人がもつに至りました。ヨーロッパについて言うなら、ベルリンの壁の崩壊が鉄のカーテンをはずしたことで実際的な活動面積が広がり、シェンゲン協定域内ではパスポートコントロールがなくなり、統一通貨の導入は文字通り財布一つで国境を越える世界を実現しました。並行してネット社会の定着により、物理的距離が化学治療のごとくに障害の一つを急激に縮小させ、ソーシャルメディアはそのスピードの加速度化を促しています。デスクの前のPCではなく、行動を共にするスマートフォンが「留守の時間」を消失させていきます

それがゆえに、逆に、人は他人とリアルに会う動機が増加しています。人と知り合うチャンスの増加もありますが、やはり YouTube の情報やスカイプでの会話だけでは駄目だったんだと思った経験も同時に増えているのです。ここでも「百聞は一見にしかず」であることを痛感。この動向にマッチするのがLCC(Low Cost Carrier)であり、数百ユーロではなく数十ユーロで各都市を飛び歩けるようになりました。しかもスーツケース一つに料金設定がされますから、より旅は身軽になります。こうして旅は地図上、より脈絡がない動きを作ります。リヨンの友人に会ったらバルセロナに足を延ばすより、リヨンからベルリンのほかの友人に会いに行く。各国のガイドブックより各都市のガイドブックのほうが、よりポイントを衝いています

トレンディな店のレイアウトが複合化しているのは、このような気分と衝動にフィットするからでしょう。書籍、陶器、Tシャツ、CD、バッグが、あるキーワードで結びついてディスプレイされるのは、ゴーグルにキーワードを入れて検索結果を実際に見るようなフィーリングを与えてくれます。カテゴリーという言葉がじょじょに重みを失い、Aの経験とBの経験をリンクする糸の張り方自身がキーになってきたのです。ただ気分の問題だけではありません。それは本でいえば、目次のない本です。Aの本の第一章とBの本の第二章を自分でつなげていく読書です。もちろん、ある著者の思考全体を知るのに、そういう読み方ではいけません。が、ある基礎があれば、そういう島を渡り歩くことができます。そう、大陸をベタに歩くのではなく、島を飛び歩くイメージが強いです。

カジュアル化したファッション、軽くなりつつあるバッグ、モノの売り方、旅のガイドブックの変化、アジアやアフリカの台頭・・・さまざまなアイテムから、目次のない旅のはじまりを感じます。

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Category その他 | Author 安西 洋之

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  1. [...] This post was mentioned on Twitter by manabu m, 安西洋之. 安西洋之 said: カジュアル化したファッション、軽くなりつつあるバッグ、モノの売り方、旅のガイドブックの変化、アジアやアフリカの台 [...]