ミラノサローネ2011(5)「ガイアの夜明け」でみるサービス産業海外進出

正月のTV「ガイアの夜明け」は「ニッポンの”反転攻勢”~世界を席巻する”和”の主人公たち」というタイトルだったと聞いて、ネットで見てみました。能登にある旅館「加賀屋」の台湾進出、キティちゃんのライセンスビジネス、「10分で1000円カット」のQBハウスの東南アジア戦略、おばちゃんと内職で作った子供服を中国で売り始めたギヤマン・・・という展開。番組の意図は「自信を喪失した日本のビジネスマンへの鼓舞」なんだろうなとは思いながら、ここで紹介されている内容をストレートに受け止めると、それはそれで大いなる誤解がでるでしょう(まあ、ぼくこういうのは余計なお世話かもしれませんが 笑)。

台湾の加賀屋は日本の旅館サービスを徹底し、台湾人のお客でも日本語が話せれば台湾人スタッフは日本語で接するといいます。これはサンジェルマンのフランス人が純日本の味を煩く求め、東京の港区の日本人が純イタリアの味を求めるアレだなと思いました。スイスのチューリッヒに、やはり日本風の旅館を作り、ミシュランの星をとっているところがあるとどこかで読みましたが、アレです。オーセンティックな価値の旗振りです。この加賀屋の教育係の女性の台詞で感心したのは「ここの台湾のスタッフたちは文化が違うのだから70%の出来でいいんです」。たたみの縁は踏むなとか、正座で挨拶するときは縁からの距離をどのくらいとガンガンにトレーニングするのですが、そう言うのです。

キティはH&Mやスウォッチなどとライセンス契約を積極的に推進しているサンリオの戦略の紹介です。これは確かに実感するところで、ミラノの眼鏡屋のウィンドウに子供用の目がねがキティのイラストと共に並べられているのを見ると、商売がんばっているなあと思います。若い子達がこういうバッグをもつことも目にします。ですから浸透している事実に嘘はないのでしょう。問題は、このキティの後景にどんな戦略のもとにサンリオ以外の日本企業がひかえているか?ということだろうと思います。「サンリオさんがんばっているね。うちでもまねしよう」ではなく、このキティの力をそのまま自分に繋げることでどういう商売が描けるか?それも「ライセンス以外」で考えているか?です。

QBハウスについては、ぼくが以前書いた下記「散髪でガラバコス問題を思う」を思い起こさせてくれました。「日本のカット技術は最高で世界に通用する」というスタッフの台詞を聞いてです。東南アジアまでは評価されるかもしれないけど、また世界でカット技術が通用しないわけではないけど、そこにあまりウエイトを置くと道を間違えるかもと思いました。

日本人の頭のカタチと髪質に馴れていることが、その技術者の腕のかなりの部分を占めると言えるでしょう。その難しい条件で技術を習得すれば、髪質が柔らか く頭のカタチもバランスが良いイタリア人にはもっと素晴らしいヘアデザインができるのでは?と思う人もいるでしょうが、そうは直線的に結論が出せないと思 います。髪型の全体的イメージの膨らませ方は、こういう技術レベルとは別の才能だなと思うのです。オーバースペック気味の日本製品のガラバコス問題と絡んでくる話です。

中国に進出した子供服は、ちょっと判断しにくいなあというのが感想です。それこそ、鼓舞することが前面に出すぎているのです。

ぼくが日本のサービス業海外進出について思うことは、「カール・ケイ『日本人が知らない儲かる日本』を読む」で書いたアイテムの解決次第だなということです。合理的側面の納得なしに想いと笑顔だけでは何も利益を生みません。

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Category ミラノサローネ2011 | Author 安西 洋之

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