ゴッドファーザーのイタリア

自分の結婚した子供が不倫したとき、親はどういう態度をとるべきなのだろうか。実の子供を守るのか。子供の配偶者を守るのか。どちらが正しいか分からぬが、家族を守るとはどういうことなのか。最近、イタリアのある地方都市で聞いたエピソードについて考えないわけにはいかない。ぼくは「ああ、ゴッドファーザーの国なんだ」と今ごろになって思ったのだ。エピソードは二つある。

まだ学齢の子供が二人いる夫婦。結婚して10年近くたち、夫が職場の同僚と浮気した。相手も家庭のある身だが、二人はお互いの家を出た。駆け落ち。浮気された妻は、夫の突然の行動に唖然。しかし、すぐ戻ってくると信じた。夫を諦めきれない。たまに子供の顔を見に帰る夫を、妻はあの手この手で翻意させようと試みるが、一向に夫は振り向かない。実は自宅は夫の父親名義。夫の浮気が原因であったため、当初、義理の両親は嫁のために色々と助けた。しかし、数ヶ月が経るに従い、じょじょに空気が変わっていく。決定打は事件発覚から1年後。「実は次男が離婚して自宅を元妻に渡さざるをえなくなった。そこで住む家がない。悪いが子供を連れて出て行ってくれないか」と義理の父親が嫁に言った。

二番目の話も、原因は夫の浮気。こちらは結婚後20年を経て子供も大学生。ある日、妻が義理の母親に相談した。「最近、彼の様子がちょっと変なんだけど・・・」 母親はすぐ動いた。相手はやはり同僚の女性だった。そちらにも家庭がある。母親、父親、息子の三人が話し合った。父親は事前にあるリストを用意していた。そこには「離婚してのデメリット」「離婚してのメリット」という項目が書かれ、それぞれに書いてある。「離婚してのデメリット」、いわく。子供と会えなくなる。今のようなファミリーなムードを喪失。住む家がなくなる(家は嫁に渡すべき)。息子名義にしてあった別荘はとりあげ、遺産は渡さない。一方、「離婚してのメリット」は、新しい女とやりたいだけやれる・・・とだけ書かれてあった。浮気をした夫はなすすべもなく両親の前で泣き崩れた。

夫は愛人に別れようと切り出した。しかし、息子の性格を熟知している母親は「詰め」を行った。二人が働いている職場に昼時を狙い女性が出てくるのを待ち伏せ。「あなたのことは全部調べ上げたわ。このままウチの息子とつきあうと、あなたの旦那さんや上司に伝えるわよ」と言葉を放つと、女性は急に顔を青ざめ「分かった」と首をたれた。その日からまもなく、彼女は転勤願いを出して男性から物理的距離をとった。そして浮気事件をおこした男性はもとの鞘に戻った。母親は、ぼくにこういった。「いい女と浮気したわ。顔もスタイルも抜群だった。さすが、我が息子だけのことはあるわ」と。

ぼくはどこに真実があるか知らない。でもありそうな話だ。前者では親は嫁を犠牲にして自分の子供を守ろうとした。後者では息子の翻意に努力し、かつ最終的に嫁を守ることを宣言した。策士などと言ってはいけない。どちらにしても、共通するのは「家族を守る」ことへのはっきりした態度だ。息子を守るにせよ、嫁を守るにせよ、だ。この話を聞いて、『ゴッドファーザー』を思い出すのも当然だろう。久しぶりに、カテゴリー「子育て」のエントリーを書いた。

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Category 子育て | Author 安西 洋之