三井公一『iPhonegrapher』を見る・読む
Date:10/8/8
今週、広島の原爆慰霊祭に出席していた某国会議員がTwitterで実況中継をしていたことを非難するコメントをTwitter上で目にしました。報道人ではない、参列者である国会議員がその場の実況中継をすることが、良いのだろうか?その場に誠実に向き合っていないのではないか?という疑問から発しています。数年前、ケータイのカメラ機能が一般に普及しはじめた頃、亡くなった方の顔をケータイで撮影するのは非常識ではないか?という論議がありました。葬式に来れなかった方のために撮影した行為であったとしても、その是非が問われたのです。そこには、一眼レフであれば違うかもしれないが・・・というコメントもありました。
ケータイをはじめ各種情報デバイスの発達が、人の日常生活をピンポイントではなく、1日24時間記録して発信することを可能にしました。実際的には監視カメラでもない限り非連続的です。しかし、あたかも連続性があるかのように日常世界を見せてくれる。そのため、一方では個々人の編集能力が云々されることになります。いや、その前に「君は一体何を見ているんだ?」という問いがよりシビアになされ、その証拠が容易に揃う分、記録をとらない意味をも突き詰められる可能性とプレッシャーは高くなっています。「日本にいても、YouTubeなどで生の英語に接することが可能なのに、英語ができないなんて怠慢そのものではないか?」といわれ勝ちなのと同じく・・・・。
上は写真家、三井公一さんの「PIA」です。米国西海岸の2月の風景。三井さんはにわか写真家ではなく、プロの写真家ですが、彼はiPhoneカメラで撮影することに拘っている。加工も全てiPhoneで行い、そこからネットにアップしています。街を歩きながら、そこである断面を記録していく。が、そこには見るものにコンプレックスを持たせるような切迫感がありません。連続であるようでいて、非連続の居直りがあるように思えるのです。切り取りから浮かび上がる「視点」にこそ意義があることを、彼、iPhonegrapher は語りかけるからです。
一般の携帯電話でも可能かもしれないが、日本の端末はあまりに解像度を追求して機能を詰め込みすぎているのでカメラの起動が遅い。また保存も時間がかかるので”カメラ”としてテンポよく使うにはあまり向いていない。その点iPhoneならば約200万~500万画素なのでストレスなく写真を撮ることができる。また内蔵メモリーも小さいものでも8GBもあるので、撮影枚数を気にすることなく大量の撮影が可能だ。
「iPhonegrapher」にあるショートレクチャーからの抜粋です。よりリアルな姿を撮るにiPhoneが理想的であると書くと、何か宣伝じみているようで気が引けるのですが、それはそれで事実である限り、彼の言葉をそのまま引用するしかありません。
三井さんが熱弁している姿をぼくがiPhoneで撮ったイメージは「はたしてリアルな視点か?」という問いをされそうで、これまた顰蹙ものですが、ここは許してください。少なくても、倫理的な問いを受けるような内容ではないでしょうから・・・・。話を彼の写真に戻すと、ここには「ケータイだからこその視点」といういやらしさがありません。きれいな風景にも、街角の汚れた風景にも、それは「結果としてのiPhoneで撮影された写真」でしかありません。問題は彼のスタイルであり、そのスタイルが何をみることをもたらしたか?というのがテーマであろうと、ぼくは思いました。
上は、三井さんの写真展を企画したIsland Galleryの店長、安斉紗織さん。三井さんの写真集を手にしたところです。壁にある写真にある赤丸を眺めながら気づいたのは、ぼくの好みではないが、いわゆる売れそうな写真に赤丸があったことです。「iPhoneがみた世界」は、やはり結果だと思いました。なかなか考えさせられることが多い展覧会でした。
三井公一 写真展「iPhonegrapher ~around the water~」
会期:7月31日(土)~8月15日(日)※会期中無休
OPEN / 11:00~19:00 (平日20:00まで)
会場:Island Gallery
東京都中央区京橋1-5-5 B1
tel:03-3517-2125
入場料:無料










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