「日本とイタリアの食文化の融合実験」

自分が開発に絡んだクルマを街中で偶然に見かけるのはとても嬉しく、それも国境を越えていると感慨もいや増します。かつて、日本のカーメーカーにいた時に関わったクルマをヨーロッパの道で見かけたとき、思わずクルマに駆け寄ったことが何回かあります。それだけ、自分のアウトプットがどこか地球の片隅に届いていたことを自分の目で見るのは心躍ります。しかも、それがもっと生活の奥深いところに浸透していたりすると、さらに喜びが増します。あるいは、「それって、こういうことじゃない?」という他人の言葉の前提が実は、自分たちが発信した考え方だったりすると、もっと充実感がある。食ビジネスは、これに近い感覚があります。

3月に幕張メッセで開催されたFOODEXでオリーブオイルの紹介をした話を書きました。初日に確認したことは以下でした。

ある味を賞賛するのは味覚、触覚、臭覚、視覚だけではなく、ロジックで評価するということです。もちろん頭でっかちの味覚は話になりませんが、必ずしも舌だけで人は簡単に振り向かない

舌に限らないことですが、舌なら「食べ慣れる」ということが重要です。馴れるには、馴れるための環境を含めた条件が揃わないといけません。したがって、オリーブ漬けについて、以下のような発想がでました

実はアレキサンダー自身はオイル漬けオリーブは日本での漬物であると考えていました。しかし、そのようにヨーロッパ人が説明するのではなく、日本人が日本人の思考枠のなかで、「これは漬物である」と自然に思えることが重要なのです。日本で漬物は野菜のできない季節の保存食として考えられました。それはイタリアでも似たような事情があるのですが、しかし、その周辺事情だけでは同じカテゴリーと定義するリアリティに欠けるのです。石森さんが居酒屋で言った漬物って特に欲しいと思わなくても、テーブルの上にあると、なんとなく食べているんですね」という感覚が日本とイタリアで一致していることが、似たものを同じものとするに際しての決定打ではないか

この最後の部分、これが肝です。似たものは世の中に沢山あるけど、それを似たものではなく、同じものとするには大きな溝を飛び越えないといけない。こういうコンテクストが作れてはじめてモノは売れ定番化していきます。ローカライズからローカルへの道筋です。先週から今週にかけ、デルポンテ社の七味オイルやエキストラヴァージンオイルの販売現場を歩きながら、「定番化のキーとは何か?」を考えていました。

上は赤坂TBS前にあるワールドが経営するF.O.B COOP ENTHESE です。下は同じ店内の別の棚です。真ん中にある赤とうす緑のボックスがデルポンテの商品です。

また、下は浅草橋にある油専門店、金田油店です。

同じ商品ながら、違った文脈におかれています。両方ともきれいなディスプレイですが、全く異なったコンテクストのなかにあり、当然ながら、世の中は複数のコンテクストで成立していることがよく分かります。ある程度のコンテクストの固定化と流動性のバランスの上に定番が成り立つと思いますが、ここで面白いのは、F.O.B.COOP ENTHESE はいわばヨーロッパ文脈からアプローチし、金田油店は日本文脈から見せていることです。似たものを同じとする試みの一つといえるでしょう。

因みに、先週、マガジンハウスのサイトで「日本とイタリアの食文化の融合実験」というタイトルで紹介されているので、宣伝しておきます 笑。

http://webdacapo.magazineworld.jp/lifestyles/gourmet/29232/

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Category イタリア料理と文化, ローカリゼーションマップ | Author 安西 洋之

Comment

  1. [...] This post was mentioned on Twitter by 安西洋之, デルポンテ. デルポンテ said: ヨーロッパ文化ブログが更新されています。「日本とイタリアの食文化の融合実験」→ http://bit.ly/dwtHAW [...]