トスカーナの露天風呂ー5

アレキサンダーとファビエンは日本で味わった温泉の全体イメージとディテールを思い出しながら、これから作る露天風呂の概略を検討しはじめます。日本から友人たちが送ってくれた旅行雑誌の写真をみながら、ディテールを再確認していきます。約20トンの大理石をいっぺんに大型トラックで運べるような道はありませんから、何度も何度も山の麓と自宅を往復し石を運び込みました。ぼくも施工中、状況を見に行きましたが、どの目の高さであれば水面と景色が上手く繋がるかを慎重に決めていきました。水面の先にバリアがあり、その向こうに景色があるのではいけません。

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 こうして自分たちが考える日本のイメージを具現化していったのです。出来上がった露天風呂に招いた欧州人も、なかには「水着をつけちゃあいけないなら入らない」という人もいます。ファビエンも娘たちに「ここは、日本の文化を重んじるところなのだから、水着は駄目」と言います。友人たちは、下の写真にあるような西洋そのもののテイストの客間から、浴衣を着て日本手ぬぐいを片手に下駄で敷石を歩き、斜面の中腹にある和式の風呂場に辿り着きます。

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 風呂場につくと、バスタオル、タオル、シャンプー、籠と温泉に必要な全てが棚に揃っています。このホスピタリティの細かさに夫妻の神経の遣い方がよく出ています。しかし、こういう完璧さがちっとも重みにならず、客人をリラックスさせる術を知っています。東洋趣味の西洋人にありがちな青筋が彼らには見られません。知性と教養は人にとって欠かすことのできないものであることを、この露天風呂に入りながら思うことしきりです。

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Category さまざまなデザイン, トスカーナの露天風呂 | Author 安西 洋之