トスカーナの露天風呂ー2

漢字を覚えるのはアルファベットと比べると、とてつもなく面倒です。書くのも複雑で時間がかかります。しかし、一つの漢字そのものが伝えられる情報量はアルファベット以上です。その点にアレキサンダーの驚きがありました。何が効率的であるかということについて、彼はここで今までとは異なる座標軸を得たと言って良いでしょう。同時に、漢字の使われている象形文字が馬、牛、木、竹、草など自然や農業に関係のあることを知り、机上ではなく日常生活のなかでものを考える大切さを理解しはじめます。また、漢字を上手く書くために、左利きから右利きへも変えます。

<上の写真はアレキサンダーの父親です。第二次大戦時、アフリカで連合軍であるフランスの捕虜になり、戦後’48年に釈放になります>

アレキサンダーは半年間、日本に留学します。そのあいだ各地を一人で旅しますが、都内の下宿先は、昔ながらの冬は冷える家の二階で、彼は畳の上に座りひたすら哲学の本を読みます。日本で西洋人とつきあっても意味がないと、かなり禁欲的な生活を送ります。

彼が変わったのは日本文化だけが原因ではありません。’87年、母親がトスカーナに別荘を買います。イタリアで有名なTVジャーナリストの家で、今の自邸です。それまでもバカンスにはモンテカティーニを時折訪れていましたが、この’87年を境により頻繁にイタリアに来るようになります。イタリアで生きるには、すべからく実質的で実践的である必要があります。彼はこれを身につけていきます。彼の家系は15世紀のイタリアに遡るわけですが、自分の血にあるイタリアを発見していくプロセスがはじまったといえます。

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Category さまざまなデザイン, トスカーナの露天風呂 | Author 安西 洋之