僕自身の歴史を話します(17)ーミラノでのスタート

下坪氏の選択眼には揺れがありませんでした。自分の目にかなうデザインをたくさんの書籍から選び、ひとつひとつ輸入可能か打診されました。デザインの本に書いてあるメーカー情報は最新でないことが多いし、だいたい連絡先など書いてありません。会社年鑑やその他の資料を手繰りながらメーカーを探していきます。同じ名前の会社もありますから、全く関係のない会社にコンタクトしてしまったこともあります。この作業をしていくうちに、1950年代から70年代のデザインの歴史がモノを通じて見えてきました。しかし、既に生産停止になっている商材も多いのでした。

メーカーを訪ねると、金型が倉庫にはいったきりだが、市場トレンドから復刻も検討したいという情報がじょじょに入ってきます。デザイナー本人にメーカーをプッシュしてもらうという技も使いました。デザイナーのアーカイブに眠っているスケッチや図面との出会いも楽しいものです。多くのスケッチのなかから、どうしてこのヒットデザインが生き残ったかが見えてくることもあります。自然と時間に耐えるデザインがもつ価値に惹かれるようになっていきました。

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一方で、全く別の分野のプロジェクトも仕組んでいきましたが、それはアジアのハイテク製品を欧州市場に紹介していくことです。建築やデザインなど文化性が強いビジネスの反対側にあるのがハイテク製品ではなかろうかと考えました。便宜性や性能が勝負の世界には別の面白さがあるのではないかと。ただ、このブログの趣旨とは少々離れるので簡単に書いておきます。結論だけ言うと、ハイテク製品といえど文化性に無縁であるはずがないということです。どういった機能をどれだけ求めるかは、全てライフスタイルやユーザーの思考傾向と密接に結びついており、例えば、日本の技術者がいくら特許内容を誇っても、その技術を採用するかどうかは、極めて文化的判断に基づくことが多い。したがってアプリケーションまで含め、どこまでストーリーを作るか。欧州文化文脈を把握する必要性に、ここでも迫られていきます。

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Category さまざまなデザイン, 僕自身の歴史を話します | Author 安西 洋之