メトロクスの旅(2) B-LINEとBITOSSI
Date:09/11/22
B-LINEのボールディンが盛んに語るのは、コミュニケーションの重要性です。なるべく幅の広い人たちに何かを語り続けること、「ボビーを買ってくれ」「スーパーレッジェーラを売りたい」という直接的な言葉ではなく、色々なアングルから自分たちの姿や考え方をメッセージとして流し続けることが大事なのだと熱く話します。彼らが使っているツールはFACEBOOKです。ジョエ・コロンボやボビーなどB-Line商品のファンたちが集まってきています。今、進んでいるプロジェクトは、下の写真のボネットのクワットロ・クアルティを使ってアーティストに自由に作品を作ってもらうことです。そして、その作品をネットオークションで売り、利益はすべてチャリティに回します。

B-LINEは上手くいっている会社ですが、地方にあるとても小さな会社です。製品は委託工場で生産しています。が、規模とは関係なく、アートや慈善活動に貢献していく。そして、それを企業メッセージとして世界中に発信する。願わくば、どこかで売り上げに繋がるかもしれませんが、まず「コミュニケーション」が第一にくる、そのために自分たちのコンセプトの構築に試行錯誤する・・・こういう姿勢には好感がもてます。社会貢献型事業をすると声を大にするのではなく、ソーシアル・ライフの延長として、こういう活動が自然な発想として思い浮かぶわけです。日本ではよく、キリスト教の影響であると言及されがちですが、「コミュニケーション」「考え方を伝える」という思考における優先順位が、こういう活動を生んでいるとぼくには思えます。

委託工場の金型が陳列する前でひとしきり生産エピソードを聞いたのち、パドヴァ市内でボールディン達と夕食をとりました(下の写真)。最近、イタリアでもよく言われる「霊気」が話題になったので、「じゃあ、今度、日本で滝修行をしようか」と誘ったりと、笑いが絶えない晩を過ごし、翌朝向かったのはトスカーナです。

次の行き先はBITOSSI(ビトッシ)です。ビトッシはもともと地元の伝統的な陶器を作るメーカーでしたが、戦後アルド・ロンディがアート・ディレクターとして自らの作品やソットサスの作品を作り始め、この分野の代表的ブランドに成長します。最近ではアリク・レヴィーやカリム・ラシッドなど、トレンドにのったデザイナー達とも協業しています。また、工業用特殊セラミックを使ったブルレック兄弟の照明器具もロンドンで発表したばかりです。

ここで営業のモンティ(上の写真)は「我々の長年の歴史をどう整理して枠組みを作っていくか、これが来年の大きなテーマである。確かに、今年の売り上げは減少したが、だからといって、こういうことや新しいプロジェクトの推進を止めてはいけない」と語ります。過去の遺産、トレンドにあるデザイナー達の作品、これらをどうつなげていくかです。アルド・ロンディ亡き後、実質的には空席であったアート・ディレクターに就任予定のデザイナーが、この重責を追っていくことになります。自分の原点を常に見つめなおし、自分の辿ってきた道をはっきり定義し、それが世の中にどう認知されているかを認識し、どうこれからの線を延ばしていくか・・・このロジカル思考が基本にありブランドが成長していくことがよく分かります。

上の写真は社内にある自社製品の博物館です。入り口には年表が大きく張られ、自社デザインの変遷が一目で分かるようになっています。感心するのは、行くたびに展示内容が入れ替えられていることです。下は博物館ではなく、ショールームです。片岡さんが展示品を撮影し、下坪さんがその様子を眺めています。

そして、この後に膨大な型の棚を通り過ぎ、製作場面を見学。やはりものをつくるシーンを見るのは楽しいです。


この晩は、近くのアルティミーのホテルに泊まります。メディチ家別荘の馬小屋だったのですが、ムード抜群だし、食事は最高です。参考にハイパーリンクを張っておきます。






