2008 ミラノサローネ(43) 欧州文化ー2

欧州文化の特色、二つ目です。「コンテクストの存在」と書きましたが、コンテクストとは、テキストを共有するという意味です。つまり、同じベースをもっているかどうかということです。あくまでも日本との比較ですが、日本では歴史の把握に連続性が欠け、皆が同じように持つべき知識や観念が断片的になっているのに対し、欧州では、「まだ」共通の話題が持てる傾向にあることが、コンテクストの存在を挙げた理由です。

その筆頭は、キリスト教になります。カトリックやプロテスタントなど色々と分かれていても、キリスト教という括りでいけば、 聖書の内容をどんな欧州人も何らかの角度から触れることができます。以前のように日曜に教会に通う人は少なくなりました。クリスマスや復活祭など、何らかのイベントの際にしか教会に出かけない人が多くなりました。かつて洗礼をうけたけどそのままという人が多いなかで、しかしながら、小学校から宗教の授業がある(選択制であっても)など基礎メカニズムは失っていません。

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教養という点でも、共通のテーマがあります。ギリシャやローマ、あるいはルネサンス文化について語り合うことは、日本で飛鳥時代や平安時代の文化を語り合うより易しいでしょう。 それは、教養の範囲が分散していないからです。欧州での教養は、東洋の文化について知っていることを期待されていません。もっと日常生活に関わることで言えば、食生活がそうです。日本では和食にプラスして西洋料理とインド料理と中華料理が家庭料理化しています。しかし、欧州ではよほどの人でなければ、外食で中華や和食を食べても、自宅ではそれらを作りません。

このように、話題や選択肢の範囲が比較的限定されていることが多いことが、一見、新しいことにノリが悪く見えたりすることもありますが、話題になるテーマについては、やや深いところまで突っ込むことができるようになります。ここで少々注釈を加えておきますが、ぼく自身は、日本の多選択主義を悪いとは思っておらず、欧州が逆のタイプだからこそ、日本が多くの国の文化についても詳しいのは優位性をもつのに効果的であろうと考えています。しかし、それにしても、冒頭で述べたように、あまりに断片が浮遊するような姿はいけないでしょう。

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Category さまざまなデザイン, ミラノサローネ2008 | Author 安西 洋之