2008 ミラノサローネ(31) アートとデザイン
Date:08/4/28
友人から聞きました。欧州のあるデザイン批評家が、トリエンナーレでのキャノンの展示を「表現が稚拙で古臭いコンセプトだ」と彼に話したそうです。ぼくはそれを聞いて、なるほどと思いました。キャノンは、リアルとコピー、現実と非現実を三つのセクションで表現しました。日経BPに記事があるので、説明と写真を見てください。
ぼくがなるほどと思ったのは、このキャノンの展示をみた時、あるコンテンポラリーアートの作品を想起したからです。 それは、この「2008ミラノサローネ」シリーズの(5)以降で紹介した、廣瀬智央氏の作品です。作家は、「レモンプロジェクト」で、ものの存在自身を問いました。床一面にレモンがしき詰められています。壁はレモンと同色です。そして床のレモンの上にはガラスのブリッジがかかっています。床のある本物のレモン。しかし、これには農薬が使用されており、人の手が加わっています。壁のレモン色。ここには本物のレモンを使った香料が塗られています。すべては相対化され、リアリティの危うさが語られています。

1997年から2001年にかけて、各地で展示されました。この作品と比較してしまうと、今回のキャノンの展示はどうも見劣りしてしまうのではないか。そういう印象をぼくは持っていたのです。狭義のデザインのレベルで語るならば、コンテンポラリーアートの作品を引用するのは躊躇します。しかし、今回のイベントについて、キャノンは広義のデザインからのアプローチを考えていたはずです。そうするとファインアートと表現を競う運命にあるといえます。
欧州においては、およそレプリカやコピーに対して冷淡な態度をとる文化があります。 本物とは何なのか、という基本を継続的に問い続ける土壌があります。そういう文化土壌のあるところでキャノンが更なるブランド性を獲得するには、コピーという技術をもっと別の文脈にひっぱっていく工夫が必要だったのではないかと思いました。この「別の文脈にひっぱっていく」ということに関しては、別のテーマで明日以降に書いてみます。
<以下、写真情報です>
Lemon Project 03, 1997/ 2001
Flesh lemon, Glass, Stainless, Paint, Essential Lemon oil
Dimensions variable
Installation view at Museum of Contemporary Art, Sidney, Australia, 2001
Photography by Greg Weight
Courtesy Museum of Contemporary Art, Sidney






