「日本はアメリカモデルを信奉し過ぎたんじゃないの?」

ミラノから約1時間ほど南にいった丘陵地帯にある知人のセカンドハウスでのこと。昨日、よく晴れ渡ったすがすがしい日曜日の午後、知人はこう語ります。「30年も高度成長を続け、その後、15年以上も低迷を続けるというのは、どうにもよく理解できない。なぜなんだろう・・・日本は・・・。私の経営する会社では中国には、三つの都市に事務所をもっているんだけど、日本には行けない、というか行く気がしないんだな。どうにも良く分からないんだ、日本は。強い産業はあるんだけど、どうもヨーロッパでは、こう存在感が不足しているところがあって、ドイツではドイツ語でフランスではフランス語で商売する駐在員が少ないし・・・。」と日本の分かりにくさについてこぼします。日本の文化に興味あるのですが、伝統的な文化と現代のビジネスシーンを繋いだイメージがよく描けないという問題を指摘しながら、まず何よりも、今の日本の政府やビジネスマンの考えているところが見えないと言うのです。それは個々の人や会社というより全体として漠然とした不安を抱かせる空気があると言いたいようです。

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こういうことを彼は、敷地内にあるボートを浮かべた池のまわり(上の写真)を散歩しながら話し続けます。「やっぱり、アメリカモデルを信奉し過ぎることに問題があるのだろうか。今回の経済不況をみても、金融システムそのものはそんなに脆弱ではないはずなのに、影響をもろに受けている感じがするね。あっ、また、ほら、鯉が飛んだよ。ここには、鯉が沢山いるんだ。釣りもできるよ」。見るとそこには、釣竿が何本か用意されていて、チェアもあります。まあ、なんと準備がいいことかとぼくは感心します。テニスコート、プール、それぞれの脇に更衣室やシャワールームのしゃれた小屋を作り、その場で思いたったらすぐできるようになっています。ぼくの息子も、その快適さに満足の様子です。

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ぼくが「日本の弱点というのは、何かをやってうまくいかなかったとき、目標設定自身に疑いをもつ傾向だと思うのです。反省のし過ぎというか、ヨーロッパの人のように、『目標はいいが、やり方に問題があったのではないか』という考え方をしないんですね」と話すと、「そう、そう、ヨーロッパのやり方はそうだ」と。彼は、日本にも何回か滞在したことがありますが、日本について、そう詳しいわけでもありません。ぼくが、こういう話をしていて怖いものだと思うのは、結局、人は間接情報で状況を判断することが多く、この間接情報の是正をどう図るかに日本は力を入れないと、この彼のように漠然とした不安でアプローチをやめてしまうということが多々起こるということです。

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この心地よい空間で休日を送っていると、彼があえて日本とのビジネスをしようと思わない理由がぼくには何となく想像がつきます。決定までに時間がかかり、そのわりに中国ほどには大きなビジネスになりにくい国と付き合うビジネス的に正当な動機が得にくいのです。何事も試行錯誤です。ですから「これは駄目だ」と判断できるまでの時間があまりに長くては、最初の一歩が踏み出せないのです。いわば「お試し期間」という設定が、日本との関係では成立しずらいということでしょうか。こういう話をしながら、ぼくは金曜日の午後、NYの会社と電話で話したときに聞いた、「アメリカは即決だから」という台詞について考えていました。即決だから良いわけでもないし・・・・と。

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Category その他 | Author 安西 洋之