ピッツァはラーメンである

ピッツァはラーメンです。決してお洒落な位置づけではなく、どちらかといえば、とりあえずお腹を一杯にさせておこう、それも気楽に・・・というムードの強い食事です。両方とも「じゃあ、ちょっと・・・」という誘い文句が似合います。リストランテにはピッツァはなく、ピッツェリアに行かないとピッツァはありません。前菜、ピッツァ、肉か魚・・・という順に食べるのは、あまり一般的ではありません。プロシュート、ピッツァ、サラダというくらいの食べ方はしますが、パスタを中心としたような食事とは完全にコンセプトが違います。ピッツァを食べてからスパゲッティを食べるのは、ラーメンのあとにチャーハンを食べるようなもので、最近の日本の定食ではありえる組み合わせながら、イタリアのなかではちょっと「外れる」ラインです。だから、ピッツァはラーメンです。また、たまにムショウに食べたくなる頻度もお互い似ています。

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ただ、それだけでなく、他にも共通点があります。ピッツァを食べるに、あまり会話に華を咲かせていると美味しくない。つまり話しをしている間にピッツァが冷えると、とても食べられるものではなくなるのです。ピッツァは猛スピードで食べてこそ美味しい。熱いうちに食べないといけないのは何でもそうですが、特にピッツァはその程度が大きい。それが伸びたラーメンが食をそそらないのと同じなのです。のんびり食べていると、大きな丸いピッツァの半分か4分の3くらいのところで、冷えて固くなってきたピッツァ、特に端っこなどは、学校給食の残り物のイメージさえ漂います。だから普段は食べるのがそうスピードが早くないイタリア人でも、ピッツァでは見事な食べっぷりをみせてくれます。日本人のラーメンの食べっぷりで、外国人から「サスガ!!」と褒められるようなものです。

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ピッツァに合う飲み物は炭酸系です。コーラやビールです。水ならガス入りです。あのチーズの「ごにゃごにゃねばねば」したものが口に入っている状態をサッパリ系へと変化させてくれます。このリズムと温度変化がまた大事です。さて、そうなると、暑い日に食べるピッツァがちょうどよいのでは?とも思います。季節を問うものではありませんが、あの釜がお店の中に見える場所で食べるには、やや外気が下がってきたときがちょうどよいです。暑い日、あの空間に身をおこうと思うのは尋常ではありません。

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さて、イタリア料理における問題とは何か? それはピッツァくらいしか、暑い夏の日、ダラーンと食べる脱力系の食事がなかったことです。食欲がそんなにないとき、サラダ、プロシュート、モッツァレッラチーズだけでは飽きます。本当をいえば、蕎麦やそーめんのような冷たい食事が求められ、確かに冷えたパスタという選択はありますが、そちらにいくと脱力系からずれるケースがあり危険(?)です。そこに寿司が嵌ったのです。寿司の定着には、このようなイタリア料理の弱みを衝いたという背景もあります。もちろん、地球温暖化現象が寿司の普及を助けるという面もあるかもしれません

今週もミラノは毎日30度以上、湿度も70%近いと予想されています。

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Category イタリア料理と文化 | Author 安西 洋之