2008 ミラノサローネ(27) 未来派

スピードをイメージするとどんな表現が可能か、それがクルマだったらどうか、バイクだったらどうか。動きを絵画に表現するとどうなるか。それでは日常生活における感覚はどうか。それが20世紀初頭の未来派によるアートですが、現在、王宮ではジャコモ・バッラの展覧会が開催されています。没後50年です。このスピード溢れる21世紀の初頭に100年前の感覚表現を知るのは、とても興味深いことです。まさしく脳科学の発達で人間のあらゆる感覚の根元が解き明かされつつある今、未来派の提示したテーマを振り返るのは良いタイミングでしょう。

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バッラの展覧会の意味するところ、これを追々考えていきたいと思いますが、会場にいる人たちは、非常に愉快そうにこの企画を見ています。作品とのダイレクト感が強いのでしょう。先進国に生きる多くの人たちが自分のアイデンティティを喪失しつつあるなかにあって、何らかのベースが欲しいと心の底で思っています。その時に、自分の感覚がどこまで通用できるかという確認が欲しいのは確かだと思います。

トリエンナーレにおけるキャノンの展示の説明不足を指摘しました。同じ感想をレクサスの展示でも感じました。二つのセクションに分かれているなか、手前の部屋の説明は丁寧になされていますが、奥のプロトタイプカーがある部屋には、何の説明もありません。今まで白やシルバーを基調としてきたのに、今回黒を選んだ理由も書かれていません。どうしてこのような歯抜けのような展示をするのか理解に苦しみます。

コルソ・コモ10では、ヤコブセンのエッグチェアをコンテンポラリーアーティストが様々な生地で覆っています。いくつも並べられたエッグチェアはなかなか壮観です。発想としてはボビーザでのザノッタのサッコの展示と同じで、ぼくはこういう手法をポジティブにとらえています。「色だけ変えて・・・・」という否定的な意見が出がちですが、色のもつ意味を過小評価してはいけません。アイデア不足での逃げの一手であることもありますが、色、素材、仕上げというような要素を正当に評価していくべきでしょう。

 

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Category さまざまなデザイン, ミラノサローネ2008 | Author 安西 洋之