トヨタの新しい方向からみえること

トヨタが社長交代となり新しい方向を示していますが、そのなかでぼくが注目している点を記しておきましょう。日欧産業協力センターでのセミナーで、レクサスのデザインフィロソフィーの問題点を指摘し、それがヨーロッパ市場における同ブランドの存在感のなさと関係していると話しましたので、そのフォローアップという意味合いもあります。

6月23日のプレスリリースで発表された組織変更で、4人の副社長が4つの地域を担当することを説明しています。日本、北米、欧州、新興国というそれぞれの地域を副社長レベルでみるというのです。これは市場のそれぞれの性格を重んじるということでしょうから、大きな変化です。25日の豊田章男社長の記者会見を読むと、この背景がよく分かります。まず、前提が以下にあります。

まず第一に、私が社内に徹底したいことは、「もっといいクルマをつくろうよ」という「ブレない軸」を定め、「商品を軸とした経営」を行うことです。 すなわち、「このクルマは何台売るのか、どれくらい利益をだすのか」ではなく、「どのようなクルマなら、この地域で喜んでいただけるのか」、「どれくらいの価格であれば、お客様にご満足いただけるのか」ということを考え、クルマづくりを行う経営です。

地に足がついていないフィロソフィーではなく、商品を軸としているところが大きな転換です。そしてユーザーの懐にもっと入っていこうという姿勢がみえます。そして、これが地域重視の体制を導いています。

二つ目に考えておりますのは、地域、すなわち、「マーケットに軸足を置いた経営」です。お客様やマーケットを直視し、マーケットの変化を捉え、その現場を熟知した人が迅速に判断する経営です。今回の副社長体制では、こうした考え方から、各副社長は地域の責任者となります。

たとえば、ヨーロッパについては、以下のような考えを打ち出しています。クルマ好きらしい新社長の意見です。そして注視すべきは、世界のトップメーカーになっても、ヨーロッパをまだ「クルマ文化を学ぶ場所」と位置づけているところです。

欧州は、各国のマーケットに根ざした、歴史も実力もある有力メーカーが、多数ひしめき合っています。私は、これからの欧州戦略は、ただ単に、力ずくで台数やシェアを伸ばせばいいということではないと思います。「存在感あるメーカー」として、トヨタの特色を生かしたビジネスを展開していくことが、大切です。トヨタの特色と言えば、やはりハイブリッド技術だと思います。環境規制が強まる中で、「ハイブリッドに徐々に軸足を移していくこと」が、今後のトヨタの立ち位置になっていくものと思います。

また、欧州では、クルマが「文化」として、人々の日常生活に溶け込んでいます。 その意味でも、トヨタが「クルマ文化を学ぶ場所」として、引き続き重要な地域でもあります。 私は、もっとクルマと人の距離感を縮めるために、欧州のような「クルマ文化」を、世界の各地域に、広げたいと願っています。

そして、そのヨーロッパ市場で戦うに、EUの環境規制やヨーロッパの環境意識動向を踏まえハイブリッドに軸足を移すと言っています。環境技術がヨーロッパにおけるトヨタのブランドの機軸となり、それを利益の源泉と見込んでいるようです。詳細な戦略は、これから発表される記事や商品をみて具体的にみていかないと分かりませんが、すくなくても、世界統一戦略でレクサスというブランドをアピールし、そのコンセプトのコアに「日本独特の精神性」を入れ込むという形は修正するかもしれないという印象は抱かせてくれます。

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Category セミナー・講演など | Author 安西 洋之