日本の「ものづくり」「市場づくり」の問題点を指摘する(2)

今週もいろいろな方とお会いしました。大阪で人と会い午前2時まで酒を飲み、朝5時に起きて新幹線に飛び乗り都内にいったん戻り、横浜で10時からミーティング・・・・と走り回りました。ここで、二つの重要な点を思いました。ひとつは、一人でどこまで手を伸ばせるか? それは実際に何でも一人でやれと言っているのではなく、自分のわからない領域もわからないなりに勘なりを働かせるか?ということです。それには、基礎的な教養が問題とされるでしょう。なにかの専門家であることに安住している人にとっては厳しい話です。しかし、これがどうしても、「ある人たち」には必要です。

「もうグローバルにやらなくてもいいでしょう。これからはブロック経済です」ということを言う人が増えています。それはそれぞれのビジネス事情によりますから、ここでどうとは語りません。でも、ぼくはまず「じゃあ、日本のメーカーで本当にグローバルといえる活動をしてきた会社ってどのくらいあると思いますか?マイクロソフトやコカコーラのようなレベルでね」と聞きます。ここでかなりの人たちが一瞬答えに迷います。「ブロックというけど、それはアジアでしょう?じゃあ、どこまでのアジアを言っているのですか?サッカーW杯の予選リーグ圏じゃないですよね?」と質問すると、インドやタイという答えがかえってきます。でも実際に、インドやタイに滞在してビジネスをしたことのある人たちは、せいぜい台湾かシンガポールくらいまでと答えます。それらの地域で仕事をしていなくても、「基礎的な教養」のあるたちは、タイから西を除外する傾向がみられます。要するに、このインドやタイを入れるかどうかで、異文化の勘所の有無が見えてきます。

二つ目は、ユニバーサルの理解とはどういうことか?とは、ぼくの考えでは多面的な見方をどう包括しどう共通点を見出すかということです。それはコミュニケーションの結果でもあります。したがって、純粋なコンテンツをもって定義づけるべきではなく、常に流動性を含むものです。日欧産業協力センターで配布された資料は、下記でご覧いただけますが、ぼくは世界の三つの火山の写真をもって、日本文化にある固有性へのこだわりを指摘しました。

http://www.eu-japan.gr.jp/japanese/page635.cfm#Anzai

これについて八幡さんの表現をもって追加説明するなら、静岡から眺める富士山と山梨からみる富士山は当然違いますが、それは日本の富士山です。静岡と山梨からみる富士山は姿が違うから富士山ではないという人はいないでしょう。まさしくこれが、ユニバーサルとは何かのヒントになります。ユニバーサルが流動性に富むというのは、換言すれば、ユニバーサルとは「志向性」を言っているのです。西洋文化がかつて普遍的であったわけではなく、「普遍性を志向」した点にこそ特徴があるという現実をよく理解すべきであり、そして多くの識者が言っている「ブロック経済化」とは、(僕の願いも含めるなら)、それは決して知的レベルあるいは頭の中のレベルでの「ブロック」を含んでいるのではない、ということです。「ブロック経済」が、知的閉鎖性であることの弁解であってはいけないわけです。

以上の二点を意識化するのは何の投資もいりません。日々の生活のなかで多視点であることと、それらの共有に努めるだけです。これこそが難しいといえばそうですが、それができないばかりに、何兆円というレベルの無駄が日本経済全体で消費されている・・・・という風に僕の目には映ります。

なお、セミナーでの皆さんに記入いただいたアンケート結果がまとまり、その内容を拝見しました。参加者の3分2以上の方からフィードバックをいただき、およそ肯定的な意見が多かったことにホッとしました。これを参考に場所は未定ですが、次回のセミナーを企画していきたいと考えています。

セミナーの当日残念ながら参加できず、後日、拙著を読んでいただいた方とお会いしました。その方から大橋良介『日本的なもの、ヨーロッパ的なもの』(講談社学術文庫)を頂戴し、今、読んでいます。大橋氏は西田哲学が専門の人です。「ハイテク時代の日本的なもの」「テクノロジーと宗教」という章もあり、どこに産業界へ伝えられるメッセージがあるか?という観点で読んでいます。

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Category セミナー・講演など | Author 安西 洋之