ミラノサローネ 2009(43) 4月23日-1

昨日、日本の完成品メーカーが世界観を示すためにはどうするべきか?を書きました。日本の独創性に拘るのはよいですが、そのために本来あるユニバーサル性から腰を引いて袋小路に入るべきではないと思います今朝、茂木健一郎氏のブログを読んでいて、以下の文章が目にとまりました

「ジャパン・クール」などという言葉が流行し、そのポップカルチャー発信地としての力には注目されながらも、学問や人類を動かす哲学、思想においては未だかつて世界の中心地になったことがない極東の首都。

いろいろと思い悩みながらも、気付いてみると、世界の趨勢は自分たちとは全く関係のない場所で動いていた。

寂しい。

そんな感慨を日本人は一度持つべきなのではないか。そうでないと、いろいろなことが変わらない気がする。

先日、ヨーロッパ文化部ノートでコンテンポラリーアートギャラリーの小山登美夫さんの文章を転載しましたが、茂木氏と同じような感慨を吐露しています。やはり、プラットフォームとは何であるかを正しく認識すべきだとぼくは考えています。そんなことを考えながら、今日は、Fabbrica del Vapore に向いました。広い空間で静かな時を過ごすことからはじめたいという気になったのです。

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上はPaolo Ulianの20年間の個展です。エンツォ・マリのところで働きはじめたのが最初のようですが、生活の片隅におかれるオブジェをこつこつとやってきたことに好感がもてます。こういう場所を歩きながら、遭遇したのがBest Up というエコロジーや社会的持続性をプロモートする団体。ぼくは、この団体のサポーターにIKEAがあることに興味を持ち、色々と話を聞きました。詳細は後日書きますが、ここでぼくはイタリアがIKEAのサプライヤー国として、ポーランド、中国に継いで3位であることを知りました。イタリアに欧州市場向けに配送する大きな倉庫が最近出来た理由が、ここで初めて理解できました。

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説明してくれたのは経済学を勉強した女性ですが、「ぼくがスウェーデンでは経済専攻の大学生の人気就職先の一番はIKEAなんだってね」と言ったら、スウェーデンで働いたこともある彼女は「IKEAとグーグルは人を大切にする点で共通するものがあると思うわ」と答え、なるほどと思いました。因みに、エンジニア系ではグーグルの人気が一位です。その後、コルソ・コモ10へ行くと、メンフィスの展覧会です。一昨年末のソットサス逝去とも関係があるかもしれませんが、昨日の王宮の展覧会と繋げてみると、メンフィス展を実施する発想がぼくにはしっくりきました

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メンフィスは80年代のムーブメントですから、若い世代にとっては新鮮だと思いますが、特に多くの中国人がかなり熱い目で見ていたのが印象的でした。中国でいえば天安門事件がおきる前になります。今回、このギャラリーの上、つまり屋上テラスが彫刻家のKris Ruhs の展覧会になっていました。普段、カーラ・ソッザーニが私的にこういう使い方をしているのかと思ってスタッフに聞いたら、この展覧会のためとのことで少々がっかりです。

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コルソコモ10を出てコルソ・ガリバルディに向かう途中にあったのが、これ。竹や金属の筒が沢山吊るされていて、人が中に入るとお互いがぶつかり音がするという仕掛けです。楽しそうに中に入り、竹には「〇〇命」のような落書が一杯あります。

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この近くでドイツ人デザイナー達がやっている展覧会で見たのが以下。全て限定生産らしいですが、彼らの無骨な生活ぶりが想像できて笑えます。TVに椅子やその他がカオス的に組み合わせてあるので、これはアートか?と思ったら、「いや、これらを組むことができる、この赤い締める道具がぼくのデザイン」と聞いて、素朴だなぁと思いました。

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もっと素朴なのが次。「その日に来た洋服なんかを色々な椅子に置いたりしておいて、めちゃくちゃになるでしょう。だから、ぜんぶ、ここにつっこんでしまうの。このケースの中は、だんだんと狭くなっていて、全部じゃないけど、かなりは下に飛び出てくるから、今日、必要なものは、その下から引っ張りだせばいいのよ」

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そう言いながら、デザイナーが自ら下にタラ~ンとなっていたスカーフを引っ張り、自分の首に巻いてくれたのが上の写真です。彼女は洋服をたたむという行為が嫌いで、こういうアイデアを思いついたようです。「アイロンはしないの?」と聞くと「今の洋服はアイロンをかけなくても済む」との答え。化繊の国、ドイツらしい考え方です。ストッキングもはみ出て色気もなにもあったものじゃありません。これも限定生産の売り物というから、ビックリ。TVに椅子もそうだし、このぐちゃぐちゃの洋服も、一見、アートか?と思ったところが、ぼくの浅はかさでした。しかし、経済不況で「不要なものはいらない」と言われるなかで、こういうスタイルにホッとする自分がいるのも確かです。ある点ではMorosoのアフリカ的テイストよりマシかもしれないとも思ったのでした。

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Category ミラノサローネ2009 | Author 安西 洋之