ミラノサローネ 2009(39)-アートフェア

ミラノのアートフェアは規模、質から言ってイタリアで一番というわけではありません。トリノやボローニャにはやや劣ります。特に海外の有力ギャラリーの出展が少ないのが物足りなさとしてあります。アートフェアは個々のギャラリーのプレゼンテーションなので、アーティストの作品は断片的にしかみえず、ある作家の作品をより理解するためというより、どんな作品がマーケットに動いているのかという指針になります。

今日、2-3年ぶりくらいにこのイベント、MiArtを訪ねたのですが、いろいろと変化がありました。まず中国や東欧の作家の作品が圧倒的に減り、それも政治的な主張を前面に出した作品が少なくなりました。それと同時にスーパーリアリズムも一度ほどではない感じがします。経済的な変貌を背景として、投資銀行による勢いある買占めが減少した結果なのでしょうか。コンテンポラリーアートがむやみな動きではなくなった反面、モダンアートはマスターピース的な安定感のある作品が好まれている傾向があるようで、1950-60年代あたりの作品に人が集まっている風景がありました。

ma2

またイタリアという市場の特殊性があるのでしょうが、写真が非常に多いです。ただ、一時流行したリアルな風景を逆にヴァーチャル風に見せる技巧には飽きがきつつあるのではないかという感じもします。これは合成写真や映像アートにも同様に言え、近い将来には力を失うかもしれないと思われます。その一方で、クラシカルな写真の価値が評価されるという流れもあります。

ma1

下はヴェロネーゼの絵画に椅子を置いて、一人の人間がヴェロネーゼの絵画になかにジャンプして中に入ったという合成表現です。一番前にしゃがんでいる人間です。

ma3

次の作品はいまだ市場で億のつく作品です。アート市場の価格形成メカニズムに上手く嵌っているというべきなのでしょうか。

ma6

今まで触れたような合成写真やインスタレーションなどとは別に、いわゆるペインティングには必ず固定ファンがつきます。ある表現手段がブームになるということはありますが、基本的には、表現手段は二の次であり、作家とギャラリーの力量が幸運な関係を作り、それが市場に上手く乗るかということではないかと思います。

ma7

ここで家具デザインの世界へのアドバイスをアート界から得るとすれば、マスターピース買いが増えているように、ある商品の財産価値をより重視する傾向が強まるかもしれません。回転の速いものより、回転とはなるべく縁の遠い長期的に保有し、それが資産シートのなかでマイナスとなりにくい商品を求めるマーケットが良好という兆しがあるかもしれないということです。

このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

Category ミラノサローネ2009 | Author 安西 洋之