ミラノサローネ 2009(36) サローネの見方ー3

→ 文化を見るには税金で作られた建物に行け!

4月初めにロンドンで開催されたG20サミットの前、米国と欧州の景気対策に関する不協和音が随分と半ば意図的に報道されました。米国と同じように政府資金で経済の底上げをする必要がない、なぜなら我々は通常米国以上の予算をセイフティネットにあてているのだ、というのが欧州、特にドイツの主張でした。大きな政府と小さな政府を象徴するやりとりでした。そして、ヨーロッパは社会主義的な方向を肯定する声も強く、常に政権を狙える位置にあります。日本共産党の党員が伸びているとのニュースは聞きますが、全般的に日本の左翼政党があまりに議会のなかで末席すぎ、アメリカばかり見ている日本人の政治地図のなかに含まれていないことが多く、それがヨーロッパ社会を見誤る大きな原因になっています。

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昨年のはじめ、「ノヴィラーラ物語ー2800年前の船をつくる」というエントリーを書きました。1983年、イタリアチームはアメリカズカップに出場し3位入賞を果たしました。その時のヨットを造ったエンジニア、マルコ・コバウが、2800年前の船を再現し、実験考古学的見地からアドリア海の航海に出た。そういう話を紹介しました。ここでの重要な点は、このお金は、刑務所を出た若者を再生するプログラムとしたあったEU予算が使われたということです。ぼくは、そのとき、米国であれば金持ちがスポンサーになって実行されるプロジェクトかもしれないと感想を書きました。

ミラノサローネで文化の大きな枠組みとその流れを掴まえる努力をすべきだと何度も書き、そのために昨年も今年も、一見サローネとは関係のないと思われるかもしれないエピソードを沢山記してきました。よって、ここで言うことは、公共の建物で開催される展覧会に足を運べ!ということです。上述したように、ヨーロッパは文化の大枠が公共の合意から形成されている部分が大きく、そこで開催されている企画をみれば、私的企業のマーケティングに基づいたコンセプト以上のフレームが見やすいと思うのです。必ずしも、そこに多くの人は来ないかもしれないですが、「ああ、こういうことに税金が使われるんだ」と分かるのは、社会理解の重要なキーです。

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→ それでは何処に行くか?

ぼくが「マックス・ビルのポスターを作ろう」などで何回も書いたドゥオーモ横の王宮もその一つです。昨年は、未来派バッラの展覧会をみて書きました。今年も未来派で”Futurismo 1909-2009, velocita’ + Arte +Azione “(未来派 1909-2009、スピード+アート+アクション)を開催中です。センピオーネ公園横のトリエンナーレは皆さん良く出かけるようですが、このやや郊外になるボビーザのトリエンナーレに足を運ぶ人は少なそうです。ここと記念墓地に近いファッブリカ・デル・ヴァポーレは、昨年、サローネに関するブログを読んでも記載が少なかった場所です。

これらのゾーンは、トリエンナーレの場合は正門の向いに、ファッブリカ・デル・ヴァポーレは敷地内にスタジオや工房が入っています。分野はデザインだけでなく、ダンスやコンテンポラリーアートなど多岐にわたりますが、新しい才能を伸ばすインキュベーター的機能をしており、これらの作品が展示されたりパーフォーマンスが行われています。人も少なく静かに作品を作った本人と語りながら「文化の枠組み探し」をするに適当な場所です。


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Category ミラノサローネ2009 | Author 安西 洋之