2008 ミラノサローネ(8) 自由な関係性

楕円の大理石とその上の水と花びらが語りかけるのは、ヨーロッパ文化と日本文化の対比というより、二つの文化が現実的にどう向き合うかを疑問として呈している、と表現したほうが良いと思います。ぼくは、この作品を見たとき、あるエピソードを思い出しました。息子に日本語の絵本を読ませていたときのことです。どうも「へ」を「せ」と読むのです。「へとへと」ではなく「せとせと」と。他のひらがなはちゃんと読めるのに。そこで彼にイメージの連鎖を聞いてみました。「へ」は「へび」の「へ」と覚えていました。積み木の「へ」の裏にあるへびの絵を思い浮かべるのです。

次にイタリア語のserpente(へび)という言葉が思いおこします。発音は「せるぺんて」。それで「せ」と読んだのです。よく聞くと、彼の頭にはいつも、数字やひらがなあるいはアルファベットが星雲のように浮いているのです。それらを自由にリンクさせて遊んでいるのです。ひらがなの「て」は数字の「2」の逆。「ろ」は「3」。カタカナの「ヨ」はアルファベットの「E」の反対。彼がどう視点を動かしているのか、ぼくはとても興味があるのですが、謎は尽きないです(苦笑)。さて話をこのアート作品に戻すと、この作品は以下の壁にある作品とポジとネガの関係になっています。

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蝋とワックスでペイントした青いバックのうえに白い豆が埋め込まれています。夜空に浮かぶ星雲のようです。これが大理石の色のコントラストと逆なのはすぐ気づくでしょう。写真では見えませんが、豆は円に近い形をしています。大理石は楕円です。「そんなにしゃちこばらなくても、およその円でお互いに共通点を見出してもいいんじゃない?」という声が聞こえるような気がします。「大理石、花、水、蝋、豆、いろんなマテリアルがあるけど、視点を動かせば、皆、仲良くなれるんじゃないの?」と、そう語っているようにも思えます。ぼくが愚息の遊びを思い出したわけが、これで分かりましたか?

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Category さまざまなデザイン, ミラノサローネ2008 | Author 安西 洋之