2008 ミラノサローネ(7) 軽さ

ヨーロッパではプレゼンが大事です。入り口の趣旨を読んでもらって頷いてもらえば、第一関門突破です。それでは、その具体例を挙げましょう。昨日のブログに載せた作品をよく見てください。楕円形の大理石の上に菊の花びらが散っています。直径が1メートルちょっとあります。厚さ9センチ。表面がだんだん削り込まれていって、そこに水がたまっています。ただ周縁までも水はのび、しかし表面張力でこぼれない。近くからみると、下の写真のようになっています。

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そう、350キロある大理石自身も浮いているのです。下に5センチの台木があります。軽さがありますね。こんな重いモノが軽くみえるにように工夫され、その上には、揺れ動く水があり、はかなき命の花びらが漂います。室内といえど、空気は動き、それを視覚的にもとらえることができるわけです。

90年代後半、携帯電話が一般に普及しはじめた頃、よく「どうして日本の携帯電話は細く長く軽いのに、ヨーロッパの携帯電話は重く厚みがあって扁平なのか?」と話題になりました。西洋人は手が大きく、日本人は小さい。いや、ヨーロッパでは価値のあるものは大理石のように重くなくてはいけないのだ。一方、日本は紙に代表されるように軽いことに価値がある。だから携帯電話も軽い。今から思うと、新しいジャンルの製品に関する懐かしいナイーブな議論です(苦笑)。

しかし、いずれにせよ大理石はどう時代を経ても重いモノであり、それはヨーロッパ文化を暗喩するモノです。それに対し水や花びらは、たとえ世界共通にあるものとしても、不安定な存在のシンボルであるにはかわりなく、これは日本の美学を表現しているだろうと想像できます。しかし、この作品が語りたいことは、これだけではありません。

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Category さまざまなデザイン, ミラノサローネ2008 | Author 安西 洋之